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2026(令和8)年6月12日
京都大学
科学技術振興機構(JST)
京都大学 大学院理学研究科の畠山 琢次 教授、儘田 正史 准教授、越智 純毅 助教、片岡 宏太 修士課程学生(研究当時)、Lee Taehwan 博士課程学生らの研究グループは、「多重共鳴」とよばれる分子設計を発展させ、極めて小さな半値幅の発光を示す有機材料の開発に成功しました。
一般的な有機材料の発光は、40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)を超える半値幅(ピークの半分の高さでの幅)を有します。広い半値幅は、さまざまな色が混ざった光を意味し、ディスプレーが表現できる色域を制限する要因となります。有機発光材料を用いた有機発光ダイオード(OLED)は、スマートフォンなどのディスプレーで広く実用化されているため、より高精細な次世代ディスプレーの開発に向けて有機材料の発光半値幅を狭くする技術開発が求められています。畠山教授らが2016年に見いだした分子設計指針によって、過去10年間で狭帯域発光を示す材料開発が大きく進展しました。しかし、これらの材料からの発光でも、レーザーのような理想的な単色光と比べると、依然としてスペクトル幅が大きいのが現状です。
畠山教授らの多重共鳴とよばれる分子設計は、発光に関与する電子の励起状態(エネルギーが高い状態)と分子振動の相互作用を抑制し、半値幅が広がるのを防ぐことができます。今回の研究では、多重共鳴効果を示す基本単位を適切な位置で複数連結することで、多重共鳴効果を保ちながら、励起子を分子全体にわたって広く非局在化できる新規材料を設計し、低極性溶媒中において半値幅5.5ナノメートルの極めて狭い発光を実現しました。さらにOLED素子においても、従来材料を大きく上回る先鋭な発光特性を達成しました。
本成果は、レーザーとは異なる「自然放出」光に基づくLEDにおいても、「誘導放出」に由来するレーザー特有の単色性に迫ることが可能であることを示したものであり、次世代ディスプレーの実現に加え、LEDの応用範囲を拡張する新たなエレクトロニクスへの展開が期待されます。
本研究成果は、2026年6月11日(米国東部時間)に国際学術誌「Science」にオンライン掲載されました。
本成果は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「含BNナノカーボン分子の自在合成と配向制御」(JPMJCR22B3)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費補助金(JP23K20039、JP26H00376)の支援を受けて実施されました。
安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
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