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2025-12-24 00:00:00 更新

省エネルギー効果を実現する化学物質変換バイオリアクター技術を開発

省エネルギー効果を実現する化学物質変換バイオリアクター技術を開発

2025年12月24日
東レ株式会社

東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大矢 光雄、以下「東レ」)は、従来の高温・高圧を必要とする化学変換に比べて大幅な省エネルギーを実現する、微生物固定型バイオリアクター※1技術を開発しました。本技術は、従来法に比べてエネルギー消費を約80~90%削減できることを東レ試算で確認※2 しており、工場などにおける運用コストの低減と環境負荷の軽減に大きく貢献します。

本技術は、特定の微生物を木質担体に固定化させ、リアクター内に充填した構造です。変換させたい化学物質を含む水溶液を、リアクターに連続的に接触させることで、微生物の保有する酵素が作用して、対象物質を効率的に目的物質へと変換します。アクリロニトリル(AN)をモデルとした社内実証試験※3では、ANの99.5%以上を変換することを確認しました。変換後の生成物はアクリル酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸であり、活性汚泥処理※4を組み合わせることで、二酸化炭素まで完全分解することが可能です。リアクターは密閉性の高い構造を採用しているため、対象物質が揮発性の場合に特に効果を発揮し、空気拡散によるロス低減と安全性に寄与します。また本技術は、木質担体に固定化する微生物やリアクター構造をカスタマイズすることで、様々な化学物質に対して応用することが可能です。

今後は、社内外の生産現場でさらなる技術検証と運用設計を進め、省エネルギー化に貢献する新たなソリューションとして導入を目指します。東レは、素材技術を通じて、環境課題の解決と持続可能な社会の実現に引き続き取り組んでまいります。


本技術の特長

  1. カスタマイズ性:変換対象となる化学物質や現場条件に応じて、最適な微生物やリアクター構造を選定可能。環境浄化から有価物の生産まで、幅広い用途に応用でき、東レ保有の微生物ライブラリー(約500種)からの選抜が可能。
  2. 高い変換効率:微生物の選定と担体構造の最適化により、高い変換効率を達成。ANでは99.5%以上を有機酸類へと変換。密閉性が高い構造のため、揮発性物質にも適用可能。
  3. 省エネルギーかつ安全:加熱や加圧を必要とせず、エネルギー消費を抑えた安全な運用が可能。


<ご参考>

東レのバイオリアクターを用いた化学物質変換のモデル図

<用語説明>
※1 リアクター
リアクターとは、化学反応を起こす装置全般の総称。そのうちバイオリアクターは、微生物や細胞などの生体触媒を用いて反応を制御する装置を指す。

※2 エネルギー消費削減の東レ試算値について
東レ工場内の既存プロセスを本技術に置き換えた場合の試算。比例費として80~90%、CO2排出量としては90%以上の削減効果を見込んでいる。

※3 ANをモデルとした社内実証試験について
AN水溶液を用いて、約1か月の連続試験を実施して得た結果。

※4 活性汚泥処理
好気性微生物に排水中の有機物を分解させることで、水質を改善する方法。増殖した微生物群を活性汚泥という。微生物の生育および有機物の分解には空気が必要であるため曝気槽を伴う。有機物を含む排水の処理に利用されている。

以 上

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