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第25087号
ZEH、スマートホーム、高気密高断熱などの注目住宅と
関連住宅設備の国内市場を調査
― 2040年度ストック市場予測(2024年度比) ―
●ZEH 235.1万戸(3.4倍) ZEH-M 349.4万戸(5.9倍)
2027年度の新定義移行後も、長期的に新築市場の高気密高断熱化とあわせて堅調に拡大
●スマートホーム 343.8万戸(14.1倍)
住宅の付加価値向上として業界での注目度が向上、戸建・集合住宅双方で導入物件の増加
●自動制御型DRサービス 12.4万戸
蓄電システムやエコキュートの付帯サービス展開や、スマートホームのDR機能拡充で伸長
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、物価高や建築業界の人材不足を主因とする住宅価格の上昇が継続する中、新築住宅を中心に高気密高断熱化と高効率設備機器の導入が進み、事業者による新たな展開が活発化している、住宅市場・住宅分野のエネルギー関連市場を調査した。その結果を「2025年版 住宅マーケット別建築・機器・サービス市場調査」にまとめた。
この調査では、住宅・注目住宅(戸建住宅、分譲マンション、賃貸マンション・賃貸アパート、オール電化住宅、ZEH、ZEH-M、高気密高断熱住宅、スマートホーム)8市場と、注目住設機器として給湯8品目、キッチン3品目、空調・暖房乾燥5品目、創蓄電4品目、スマートツール2品目の市場について、現状を調査し、将来を予想した。また、住宅における自動制御型DRサービスの動向も整理した。
◆注目市場
●ZEH、ZEH-M[ストック市場]
室内環境の質を維持しながら断熱性能の向上などにより大幅な省エネルギーを実現するとともに、再生可能エネルギーなどの導入によって年間の一次エネルギー消費の収支ゼロを目指した住宅で、戸建住宅をZEM(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、集合住宅はZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)とした。なお、ZEH、ZEH-Mともに2027年度以降に新定義が適用されるため、2027年度以降は新定義の住宅を対象とする。
ZEHは、ZEHビルダー/プランナーが年々増えており、2024年度末時点で登録事業者数が6,000社程度となり、大手ハウスメーカーだけでなく、地域で展開する事業者への登録も広がっている。それら事業者の活発な展開、また、国や地方自治体による補助事業の後押しにより、市場は拡大している。
新築住宅での採用が大部分であり、特に注文住宅が市場をけん引している。既築住宅でのZEHリフォームは課題が多く、今後も新築での採用が中心になると予想される。2027年度の新定義では蓄電池の導入が要件に加わるため、新規採用はやや減少し、2030年度のフロー市場は10万戸を下回るとみられる。2030年度以降はZEHの利点がより広く伝わることにより、再び採用増加が予想され、2040年度のストック市場は235.1万戸が予測される。
ZEH-Mは、補助事業の後押し、ZEHデベロッパーの登録事業者数が増えていることなどから、市場は堅調に拡大している。再エネ要件により賃貸アパートなどの低層集合住宅はZEH-M Ready(一次エネルギー削減率75%以上・再エネ含む)以上が多く、中高層が多い分譲・賃貸マンションはZEH-M Oriented(一次エネルギー削減率75%以上・再エネ不要)が多い。
ほぼ新築向けのため、長期的には新築着工戸数が減少することから、ZEH-Mのフロー市場は減少が予想される。ただし、住宅分野での環境施策が強化されており、大手デベロッパーだけではなく、中小デベロッパーやハウスメーカー・ビルダーのZEH-M展開が進むため、新築集合住宅のZEH-M仕様物件の比率は増加が期待される。そのため、ストック市場は、分譲マンション、賃貸マンション・アパートのいずれも拡大し、2040年度には349.4万戸が予測される。
●スマートホーム
赤外線リモコンやセンサーなどを設置し、照明・空調・給湯・セキュリティ関連の住設機器や家電と連携させ、スマートフォンやタブレットなどでIoTプラットフォームによる遠隔での家電操作、スマートスピーカーを介した音声操作が行える住宅を対象とする。
スマートハウスの訴求により住宅販売価格の上昇、賃貸マンションなどでは賃料の向上も可能となり、標準化しやすい戸建建売や集合住宅で他社物件と差別化するため、ハウスメーカーやデベロッパーが導入を進めている。また、マンションや戸建建売住宅でスマートハウスを導入したそれら事業者の横展開により、戸建注文住宅での採用も伸びている。スマートロックやスマートリモコンの販売増加から、一般消費者のスマートホームへの認知が上昇していることも市場の追い風となっている。スマートハウスの標準採用を進める事業者も増えており、今後は新築を中心に導入が増加し、順調な市場拡大が予想される。さらに、2022年にはスマートホームの共通規格Matterが公開され、中長期的にスマートホーム関連のデバイスや住設機器・家電製品の対応が浸透すると考えられる。共通規格化により、より簡便で数多くの住設機器・家電製品の連携接続が可能となることでスマートホーム市場のさらなる拡大に寄与するとみられる。●高気密高断熱住宅
「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が設定したHEAT20 G2・G3グレードの戸建住宅を対象とする。国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の基準では断熱等級6、7に相当する。
国内住宅の多くは省エネ・断熱性能がまだ低い状況であるが、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて2022年にHEAT20や断熱等級6以上が新設されており、省エネ・断熱性能向上が図られている。それにより、大手ハウスメーカーを中心にHEAT20 G2グレード以上に対応した住宅商品・ブランドが拡充され、メーカーによってはG2グレード相当を標準化する動きもみられるため、市場は拡大を続けている。
また、新たな補助金としてGX志向型住宅が制定され、G2グレード以上が対象になるため、市場はさらなる拡大が期待される。さらに2027年度以降、ZEHがG2グレード相当以上と新たに定義されることも、市場拡大を後押しするとみられる。新築住宅向けが大部分であり、リフォーム・リノベーションの対応は限定的である。
市場の大半がG2グレードである。G3グレードは、高断熱性能を確保する住宅設計の人材・ノウハウや開口部建材の採用による建築費の増加などから、現状、一部のハウスメーカー・ビルダーが展開しているのみであるが、長期的には他社との差別化を押し出して緩やかな普及が期待される。
●自動制御型DRサービス[ストック市場]
住宅用蓄電システム、エコキュート、ハイブリッド給湯器などの住宅機器を電力リソースとして、電力需給バランスの自動制御によるDR(デマンド・レスポンス)サービスに対応する住宅を対象とする。国内の住宅政策として、太陽光発電とZEH/ZEH-Mの普及、それに伴う再エネの自家消費拡大が掲げられている。これに合わせて、住宅用蓄電システムやエコキュート、ハイブリッド給湯器などの設備機器拡販に向けて、機器の付帯サービスとして、自動制御DRサービスの提案が広がるとみられる。
現状、DRの応答性が高い住宅用蓄電システムを主リソースとして展開されており、同システムの普及状況から戸建住宅が市場の大部分を占める。集合住宅は、エコキュートやハイブリッド給湯器のヒートポンプ式・貯湯型給湯器が自動制御DRのリソースとして考えられ、2030年度頃から大手デベロッパーでのサービス導入が増えると予想される。各住戸をまとめた1棟単位での制御運用も考えられ、共用設備として蓄電システムを導入し、各住戸のリソースと連動制御する形も想定される。
◆調査対象
注目住宅
・戸建住宅注目住設機器
【給湯】2025/9/1
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情報提供:JPubb