3 エリア以上のデータセンター間における系統連携型エネルギーマネジメント技術の確立
ならびにワークロードシフトの高速化について
~再生可能エネルギーの地産地消ならびに周波数調整への活用可能性の確認~ 2025 年 7 月 28 日
東京電力パワーグリッド株式会社
株式会社日立製作所
東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 社長執行役員:金子 禎則、以下、「東電 PG」)と株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長兼 CEO:德永 俊昭、以下、「日立」)はデータセンター(以下、「DC」)間でのワークロードシフト※1による電力系統連携型エネルギーマネジメントに関する実証実験を実施し、その結果、3 エリア以上におけるワークロードシフトを含むエネルギーマネジメント技術の確立ならびに高速化を実現しました。
なお、本技術については特許出願済みです。
実証実験のイメージ図
国内では 2050 年のカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が加速しています。また、近年では生成 AI の急速な普及により、DC の電力需要が大幅に増加する見通しであり、電力系統へ接続するまでの期間の長期化や、発電抑制ならびに設備増強に伴う社会コストの増加が課題となっています。
東電 PG と日立は、DC を活用したエネルギーマネジメントによる電力系統における電力需給バランスの最適化をめざした実証実験を 2022 年 10 月から実施し、DC を分散制御するエネルギーマネジメントの「基礎技術」を確立しました※2。
今回は、今後増加が見込まれる DC を電力の調整力として活用するため、東京都内 2 カ所および神奈川県内の計 3 カ所の DC 間において、電力系統連携型エネルギーマネジメントに関する実証実験を実施しました。実証では、DC 間で最適にワークロードをシフトすることで各エリアの再生可能エネルギーを有効活用するとともに、大容量ネットワークならびに蓄電池などの DER※3を活用することで調整力創出の高速化に成功し、周波数調整※4への活用可能性を確認できました。また、膨大な電力を消費する生成 AI アプリケーションにおいてもダウンタイム※5がほぼ無く、ワークロードシフトすることが可能であることを実証できました。
今後、東電 PG と日立は、DC における一連の実証を通じて確立した技術とノウハウを電力需要に対する調整力に活用するとともに、事業化の検証も進め、ワット・ビット連携※6などによるカーボンニュートラルの実現と、電力の安定供給、社会コストの低減をめざしてまいります。
※1 ワークロードシフト: 計算負荷(コンピューティング負荷)を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用などを促進する技術
※2 2023 年 7 月 5 日ニュースリリース
: 東京電力パワーグリッド、日立製作所※3 DER: Distributed Energy Resources の略で、分散型エネルギー源
※4 周波数調整: 電気の周波数を一定に保つために電気の供給と需要のバランスを調整すること
※5 ダウンタイム: ユーザーがアプリケーションを使用できない時間
※6 ワット・ビット連携:電力の単位「W(ワット)」と情報通信の単位「bit(ビット)」を組み合わせた造語であり、官民一体で、電力と情報通信のインフラ整備を一体的に進め、持続可能で効率的な社会基盤を築くための構想
別紙:3 エリア以上のデータセンター間における最適ワークロードシフトによる需給調整力の創出ならびに地産地消によるカーボンニュートラルの実現に向けた実証の詳細 以上