2025年7月3日
千代田化工建設株式会社
当社エネルギーマネジメント事業における、需要家*1の工場設備を活用した需給調整市場*2での取引開始について千代田化工建設株式会社(本社:横浜市、代表取締役社長:太田 光治、以下「当社」)は、需要家(本件は東京証券取引所プライム市場に上場する製造業、以下「当該需要家」)の工場設備を活用し、一般社団法人需給調整力取引所が運営する需給調整市場(以下「需給調整市場」)での取引を開始しましたのでお知らせいたします。
近年、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの急速な導入により、発電所など電力供給設備のみで電力の需給バランスを維持することが困難になっています。電力は需要(使用量)と供給(発電量)を常にバランスさせる必要があり、この需給バランスが崩れると、周波数変動が発生し、停電などのリスクが生じる可能性があります。その中で需給調整市場は、電力の供給側の調整力*3のみならず、需要側の調整力も得ることで、電力システムの安定性を確保する重要な役割を果たします。一方、需給調整市場への参入にあたっては、電力の変動に適切に対応するために、調整力の供出に関し、応動時間、継続時間、許容範囲など、さまざまな技術的要件が設けられています。
このたび当社は、長年蓄積したプラントエンジニアリングの知見と実績に基づき、当該需要家の設備特性を分析しました。当分析を経て、製品品質や安全性への影響を排しつつ、工場設備の潜在的な価値を最大限引き出すための支援を行い、調整力の供出を実現いたしました。その結果、需給調整市場での取引実施に必要な事前審査に合格し、実運用においても市場要件への安定的な対応が可能であることを確認しました。当社と当該需要家は、需給調整市場と連携した工場設備の最適な運転を通じて、地域社会の系統安定化へ貢献してまいります。
当社はエネルギーマネジメント事業を通じて、工場設備を保有する事業者と共に電力システムの安定化および再生可能エネルギーの普及を牽引してまいります。また、総合エンジニアリング会社として、カーボンニュートラルの実現に資する蓄エネルギー事業、水電解事業(Power to X)、水素事業、炭素循環事業といった様々なソリューションを揃え、お客様の事業構想や技術開発に伴走した事業も手掛けています。当社のパーパス「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」のもと、今後もお客様との共創を第一に、事業の成功を実現するパートナーとして、エネルギーと環境の調和、健やかで豊かな未来の実現を目指し、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
当該需要家 ユーティリティ設備責任者のコメント
弊社は容量市場*4に参入していましたが、昨今問題となっている系統安定化へのさらなる貢献およびユーティリティコスト削減のため、需給調整市場への参入を決めました。
需給調整市場では、容量市場と異なり任意の時間帯に入札が可能な点*5も魅力的でした。今後も系統安定化を通じて地域社会への貢献を進めてまいります。
工場設備の潜在的な価値を最大限引き出すための支援イメージ
電力と熱を同時に生成・供給できるコージェネレーション設備や生産設備などの工場設備特性を考慮して、通常の生産活動に支障をきたすことなく調整力を供出し、経済価値を最大化するための支援をします。例えば、コージェネレーション設備での発電量を増加させた際には蒸気量も増加するため、電力の調整だけでなく工場全体の蒸気バランスを考慮した運用を検討・提案いたします。
また、熟練オペレーターの引退や技能伝承といった事業課題、あるいは電力市場が求める高度な技術的要件への対応のために、工場設備の自動制御化にも対応可能です。
更に、工場設備のカーボンニュートラル化検討や、その手段としての水素利活用、二酸化炭素の適切処理に関する提案にも対応可能です。
当社エネルギーマネジメント事業について
(https://www.chiyodacorp.com/jp/service/energymanagement/)*1 電気の供給を受けて使用する者。例えば、製造業の工場など。
*2 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御、需給バランス調整を行うために必要な調整力を調達するために開設された市場。
(https://www.eprx.or.jp/outline/outline.html)*3 電力使用量や発電量を調整する力のこと。
(https://www.eprx.or.jp/contact/jukyuchoseishijo/faq.html)*4 中長期的に発電/節電することができる能力(キロワット)が価値として取引される市場で、具体的には 4 年後の電力供給力を確保するための市場。需給調整市場と併用可能。
*5 需給調整市場では、応動前週または応動前日に入札を行う。このため、工場の稼働予定を基に入札判断が可能。
以上
この件に関するお問い合わせ先 :IR・広報・サステナビリティ推進セクション 池尻、宮崎
Email: chiyoda_pr@chiyodacorp.comURL:
https://www.chiyodacorp.com/jp/contact/index.php