2025 年 6 月 20 日(金)
大型放射光施設「SPring-8-Ⅱ」向け蓄積リング用真空機器を受注
~ 高い技術力で高性能化・省電力化に寄与 ~
カナデビア株式会社は、このほど、国立研究開発法人 理化学研究所(五神 真 理事⾧、以下、理研)より、大型放射光施設「SPringス プ リ ン グ- 8エイト」(兵庫県佐用郡佐用町)を高性能化する「SPring-8-Ⅱツー蓄積リング用真空機器」を受注いたしました。当社の技術力を生かして同施設の高性能化・省電力化に寄与し、サーキュラーエコノミーの実現やバイオ分野などでのモノづくりの基盤整備に貢献します。
SPring-8 は、電子を光速に近い速さまで加速させ、磁力で曲げることによって生まれる「放射光」を使ってナノレベルで物質の構造などを詳しく分析できる施設です。1997 年の共用開始から 25 年以上が経過していることから、SPring-8-Ⅱへのアップグレードが、文部科学省の事業予算の交付を受けて理研によって進められています。それにより、現在の約 100 倍の明るさを誇る世界1位の最高輝度となりますが、消費電力は半減、保守コストも低減させる計画です。
今回、当社は、電子を真空状態で加速して放射光を取り出すための円形の設備「蓄積リング」を構成する真空機器について、設計・製作・現地据付などを担います。蓄積リングは周⾧ 1,435mに及び、48 のセルに分割された大掛かりな設備であると同時に、電子を扱うため、すべてを高い精度で作り上げることが求められますが、当社は、同様の放射光施設への納入実績のほか、試作の経験を活かして、真空機器の核である「チェンバ」のレーザー溶接や緻密に調整した正確な設置などを進めてまいります。
大型放射光施設は、次世代半導体や疾患に関するたんぱく質の構造解析、脱炭素化を可能にするための素材の性能向上など、先端科学が求められる様々な分野で活用されます。一方、海外の施設の高性能化が顕著であり、SPring-8-Ⅱの整備は、循環型社会の実現と日本の成⾧のために不可欠であるとも指摘されています。
当社は、総合エンジニアリング企業として、この「国家的プロジェクト」とも言える事業に参画し、新たな産官学融合の場を下支えしてまいります。
なお、本件の概要は以下のとおりです。
1.案 件 名:SPring-8-Ⅱ蓄積リング用真空機器
2.発 注 者:国立研究開発法人 理化学研究所
3.納 入 先:SPring-8(兵庫県佐用郡佐用町)
4.サイズ等:周⾧ 1,435m、48 セル+予備 1
5.納期:2029 年 3 月 30 日
6.受 注 額:63 億円(税抜き)
(終)