2025 年3月 31 日
ポート株式会社
系統用蓄電所事業への新規参入に向けた検証開始に関するお知らせ
当社は、本日系統用蓄電所事業への新規参入に向けた検証を開始することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.系統用蓄電所事業参入検証の背景
当社は「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、WEB マーケティング×セールスの融
合で、企業の経営課題を成果報酬型で解決する成約支援事業を展開しております。エネルギー領域では、電力・ガス事業者の販促支援や業務支援サービスを提供しており、電力事業者向けの支援においては、電気の新規契約獲得(販促支援)だけでなく、電気開通までの業務支援(開通支援)も行っており一気通貫型での成約支援サービスを提供しております。現在、総成約件数は年間 60 万件以上で国内最大規模※1の成約支援事業者となっております。
日本国内では、2050 年のカーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギーの導入拡大が進んでいることにより、天候や時間帯によって変動する発電量に対応する調整力の確保や、電力需要が少ない時間帯で発生する余剰電力を有効活用することが課題となっております。
これらの課題を解決するために、電力系統に直接接続することで市場を通じた調整力や供給力の提供が可能となる系統用蓄電池活用への期待が高まり、日本国内の系統用蓄電池市場規模は 2022 年実績 4,170百万円が 2030 年には 75,800 百万円に拡大されると予測されています。※2
当社としましては、先述のような社会課題性や市場成長性に加えて、当社取引先の電力事業者の電力調達支援(業務支援)を目的として、系統用蓄電池事業への参入検証を開始することといたしました。 なお、系統用蓄電所事業への参入検証にあたり、大手エネルギー事業会社出身者を複数名採用することで事業開発組織を 2023 年 10 月に組成しており、本格参入検証のために系統用蓄電所開発を既に3ヶ所進めている状況となります。
※1:2024 年3月期通期決算説明資料
※2:富士経済「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2023 -ESS・定置用蓄電池分野編-」
2.系統用蓄電池の効果及び各市場概要
系統用蓄電池は、大規模な電力網(系統)に直接接続され、電力需要が低い時間帯に充電し、需要が高
い時間帯に放電することで、電力の需給バランスを調整する蓄電システムになります。このため系統用蓄
電池は、太陽光発電や⾵力発電等の天候や時間帯による発電量の変動と電力需要とのギャップ調整に貢献
できます。
このような系統用蓄電池の特性を生かし、卸電力市場、需給調整市場、容量市場という各電力市場取引
で、最適な取引を行うことで収益確保が可能となります。
卸電力市場:需要家に供給するための電力量(kWh 価値)を取引する市場。
需給調整市場:周波数維持のための調整力(ΔkW 価値)を取引する市場。
容量市場:将来に必要となる供給力(kW 価値)を取引する市場。
3.当社が目指す系統用蓄電所事業
当社が展開している成約支援事業において、電力供給の安定化はエネルギー領域の事業状況における健全性の担保と継続的な発展につながるものと考えているほか、当社取引先の電力事業者の電力調達の支援等、サプライチェーンに更に深く入り込むことで、既存エネルギー領域の成約支援事業の更なる拡大にも寄与するものと考えております。 収益面においては、系統用蓄電所事業による収益はストック性の高い収益を見込めるため、当社グループ全体での事業ポートフォリオの強化にもつながるものと考えております。
なお、検証にあたり設置する3ヶ所の蓄電所の資金については手元資金及び銀行借入にて充当しておりますが、今後系統用蓄電所事業に本格参入する際に必要な資金については、当社グループの M&A や資本業務提携等の成長投資に必要な銀行借入枠に影響しないようなグリーンローンの活用等のスキームによる資金調達も行っていく予定となります。
4.系統用蓄電所事業の概要
2025 年3月期において既に以下3ヶ所の蓄電所開発を進めており、全て 2026 年3月期の稼働を予定しております。
名称
群馬太田蓄電所
群馬伊勢崎蓄電所①
群馬伊勢崎蓄電所②
所在地
群馬県太田市世良田町
群馬県伊勢崎市北千木町
群馬県伊勢崎市北千木町
蓄電池出力
約2MW
約2MW
約2MW
蓄電池容量
約8MWh
約8MWh
約8MWh
着工
2024 年 11 月
2024 年 11 月
2025 年5月予定
稼働開始(予定)
2025 年6月予定
2025 年6月予定
2025 年 10 月予定
5.稼働開始時期
2025 年6月(予定)
6.支出する予定額の合計額
検証のための3ヶ所の蓄電所について、土地及び権利の取得並びに蓄電池とその付帯する設備費用として約 10 億円程度を予定しております。
7.今後の見通し
系統用蓄電所事業が 2026 年3月期業績に与える影響については算定中で、2026 年3月期通期業績予想に織り込んで 2025 年5月 14 日に公表予定になります。また同日にあわせて公表予定の中期経営計画では、新規事業開発を通じた新たな柱を作ることを目指しておりますが、エネルギー領域のさらなる拡大に向けて、系統用蓄電所事業の収益計画についても織り込む予定でおります。
以上
(参考)当期業績予想及び前期実績
売上 収益
EBITDA ※1
将来収益込み EBITDA※2
営業 利益
税引前 利益
当期 利益
親会社の 所有者に 帰属する 当期利益
基本的 1株当たり当期利益
業績予想
(2025 年3月期)
百万円
21,100
百万円
3,850
百万円
5,550
百万円
3,150
百万円
3,080
百万円
1,965
百万円
1,965
円 銭
148.71
前期実績 (2024 年3月期)※3
15,580
2,650
3,697
2,217
2,146
1,530
1,456
118.23
※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+固定資産除却損及び評価損益+株式報酬費用
※2 将来収益込み EBITDA=EBITDA+将来収益
※3 2025 年3月期において、株式会社ドアーズに係る取引を非継続事業に分類しております。これにより、売上収益、EBITDA、将来収益込み EBITDA、営業利益、税引前利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しております。