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2025-03-27 00:00:00 更新

世界初、非可食バイオマス由来「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の量産・商業化に成功しました

世界初、非可食バイオマス由来「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の量産・商業化に成功しました
―鋳造用RCSバインダー樹脂に適用、化石資源使用量を15%削減しました―

2025年3月27日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOの二つの委託事業「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」、「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」に参画している住友ベークライト株式会社は、植物由来原料を活用した樹脂合成の基幹技術と産業利用の開発を進めてきました。その成果として、非可食バイオマス由来原料であるリグニンを活用した「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の量産化に成功し、世界で初めて商業販売を開始しました。既に鋳造用RCS(レジンコーテッドサンド)バインダー樹脂に採用され、既存樹脂と比較して化石資源使用料を15%削減しました。

住友ベークライトは、「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の量産・商業化を機に、自動車部品や各種バインダーなどへの適用拡大を目指します。


図1 固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂(左)と鋳型製造用途の使用例(右)

1.背景

近年、あらゆる産業において資源循環や温室効果ガス(GHG)排出削減に対する具体的な取り組みが求められており、プラスチックへの関心も高まっています。最終的に焼失・摩耗する用途や長期間使用が想定される用途では、リサイクルが難しく、化石資源由来原料を再生可能なバイオマス由来原料に転換することが有効と考えられます。

NEDOは2010年度から2019年度までに二つの事業※1で、住友ベークライトと非可食バイオマス由来のリグニン成分を樹脂利用する技術開発に取り組みました。住友ベークライトは、NEDO事業の終了後も社会実装に向けた樹脂合成/材料化技術の開発に取り組んできました。

2.今回の成果

(1)固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の量産化

アルカリ触媒下で得られる「液状レゾール型リグニン変性フェノール樹脂」は研究例が多く、木質材料用接着剤では社会実装が進みつつあります。一方、酸触媒下で得られる「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂は、多くのリグニンが溶融溶解しづらいため、社会実装が進んでいませんでした。

住友ベークライトは、リグニンの早期かつ着実な社会実装を進めるため、紙パルプ製造で副生され、調達が安定している「パルプ製造法由来リグニン」を原料とした、リグニン変性フェノール樹脂の量産体制を構築し、世界初となる「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の商業化に成功しました。

(2)鋳造用RCSバインダー樹脂への適用実証

図2 鋳造におけるフェノール樹脂と鋳砂のライフサイクル(とCFP計算範囲)

図3 固形ノボラック型フェノール樹脂の代表用途例

高強度鋳造用「スミライトレジン(R) PR-L-0002」(以下、本製品)はRCS(レジンコーテッドサンド※2)メーカーにバインダー樹脂として採用され、2024年より自動車メーカーで自動車鋳造部品の一部として使用されています。

RCSバインダー樹脂は、砂再生時に焼却されますが、本製品は既存品同様、砂再生を阻害しません。

本製品はバイオマス率※315%であり、既存樹脂と比較して化石資源使用量を15%削減可能です。また、カーボンフットプリント※4は11%削減可能です。

3.今後の予定

NEDOは現在も複数のプロジェクトで、バイオマスを活用した化学品などの社会実装に向けた研究開発に取り組んでいます。これらのプロジェクトの推進により、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献します。

住友ベークライトは、本製品の商業化を機に、多様なリグニンの社会実装促進、フェノール樹脂のサステイナブル化を目指して、自動車部品や各種バインダーなどへさらなる適用範囲の拡大を目指します。環境・社会価値の創出を目指し、今後も環境に優しい技術・製品を開発し社会に貢献します。

【注釈】

※1 二つの事業
※2 レジンコーテッドサンド
鋳物製造に使用する鋳型材料で、砂の表面をフェノール樹脂でコーティングしたものです。金型に充塡(じゅうてん)して加熱することで、保存性に優れるシェル鋳型です。
※3 バイオマス率
樹脂製品中に含まれるバイオマス由来原料の比率として、住友ベークライトにて算出した値です。
※4 カーボンフットプリント
製品の原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を通して排出されるGHGの量を二酸化炭素(CO2)量に換算したものです。本リリースでは、大気中のCO2をバイオマス炭素として固定したと仮定して住友ベークライトにて算出した値です。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO バイオ・材料部 TEL:044-520-5210 担当:大上、山口

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 経営企画部 広報企画・報道課 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • ※新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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