新着情報 本設太陽光パネルを仮設現場事務所で先行利用する日本初の試みで『ZEB』を取得

2024/11/26

戸田建設（株）（本社：東京都中央区、社長：大谷 清介）と（株）村田製作所（本社：京都府長岡京市、社長：中島 規巨、以下「村田製作所」）は、この度、村田製作所の生産子会社である（株）福井村田製作所（所在地：福井県越前市、社長：野村 愼治、以下「福井村田製作所」）のセラミックコンデンサ研究開発センター建設工事において、本設で設置する太陽光パネルを仮設現場事務所で利用し、建物完成時に移設して本設として利用する日本初となる試みで『ZEB』^※1の認証を取得しました。当社はZEB設計技術を利用した環境配慮型施工を計画し、また、村田製作所は建設時におけるスコープ3の温室効果ガス削減に向け、両社で取り組みを開始しました。

• ※1ZEB(ネット･ゼロ･エネルギー･ビル)とは、快適な室内環境を実現しながら、高断熱化や設備の高効率化による省エネ、太陽光パネルによる創エネにより、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。エネルギーの削減率により4つのランクに分けられ、最高ランクの『ZEB』は100％以上の削減が必須。

写真1 『ZEB』仮設事務所

写真2 仮設事務所用太陽光発電所

取り組みの背景と効果

気候変動対策として企業に温室効果ガスの排出抑制が求められるなか、当社はZEBプランナー登録企業として2025年度に自社が手掛ける設計・コンサルティング業務のうち、ZEB相当案件が占める割合を50%以上とすることを目標に掲げています。村田製作所は、温室効果ガス全体排出量の12.6%に該当するスコープ3カテゴリ2（自社の資本財の建設・製造に伴う排出）で排出される温室効果ガスについて、サプライチェーン全体で低減する取り組みを進めており、2050年度でのスコープ3を含むサプライチェーン全体におけるカーボンニュートラルを目指しています。

図1 当社のZEB相当案件の目標

図2 2023年度 村田製作所の温室効果ガス排出量

当社と福井村田製作所は越前たけふ駅周辺の街づくり地区において、民間企業として初進出となるセラミックコンデンサ研究開発センターを建設するにあたり、『ZEB』仮設現場事務所を計画（以下、本計画）しました。これは駅周辺の脱炭素化に向けたまちづくりのコンセプト^※2にも適合しております。本設建物に設置する太陽光パネルを発注者と施工者が協働して利用することで、建物のライフサイクルを通じて温室効果ガスを削減し、地域に貢献します。

本計画により仮設現場事務所で使用する電力を削減することで、電力換算^※3で年間約22.9t-CO₂のCO₂を削減できる見込みです。また、仮設利用を終えた太陽光パネルは破棄せず本設でも継続して使用するため、限りある資源の有効活用にも繋がります。

• ※2越前たけふ駅周辺のまちづくり、官民連携（PPP）プロジェクトのコンセプトより
• ※3CO₂排出係数 0.499kg-CO₂/kWh（北陸電力2022年度調整後実績値）で換算

図3 ZEB仕様の有無によるCO₂排出量の比較

『ZEB』取得に向けた工夫点

当社は2022年8月1日に「日本初、仮設現場事務所において『ZEB』取得」としてプレハブ事務所の『ZEB』化をリリースしています。今回は、建築工事の仮設現場事務所で汎用的に使われているユニットハウスのZEB化モデルを構築しました。

本計画では屋根・壁・1F床の断熱材追加や窓への遮熱フィルム貼付けによる外皮性能の向上、執務室の運用を見越したうえで容量を最適化した高効率空調機の計画、LED照明の配置により、一次エネルギー消費量54%の省エネを達成しました。また太陽光パネルによる発電も加味することで、正味103%の削減が可能となります。

ほかにも、福島県での補助金事業の知見^※4を基に建設現場向けに開発した、設置と撤去が容易な架台を採用した太陽光発電システムを導入しています。このシステムは移設と撤去を前提とした現場事務所（ユニットハウス）との相性がよく、他現場での再利用が可能です。

• ※43社共同による建設現場における再エネ活用と移設容易な創蓄システムの実証研究

【計画概要】
■『ZEB』ユニットハウス型事務所概要
・建物規模：9連棟×2階建て延床面積306.52m²
・外皮仕様：断熱材、遮熱フィルム設置
・空調設備：容量適正化PAC+高効率機器
・換気設備：換気扇
・照明設備：LED器具
・給湯設備：高効率LPG給湯器
■再エネ概要
・太陽光 ：PV容量 21.12kW
PCS容量 16.00kW

図4 BELS認証

IoTセンサ等の活用による遠隔での見える化を実施

本計画では、IoTセンサや太陽光発電量の遠隔監視システムを配置し、温度や主要な電力の使用量、発電量をクラウドで24時間モニタリングすることでZEBの効果検証を行います。他にも、この技術を応用することで、現場事務所の温熱環境をヒートマップ化して空調の細かな設定が可能となり、省エネを行いながら快適性の向上が図れる上、居室環境の可視化は社員の気候変動に対する啓蒙にも活用できます。

更なる環境配慮型施工に向けて

本計画では現場事務所への各種再エネ・省エネ技術の実装により『ZEB』を取得していますが、それでも賄いきれない電力は外部から購入する必要があります。そこでオフサイト（エネサーブ（株））から再エネ電力を購入し工事用電力へあてがう事で、更なる環境配慮型施工を実現しています。

また、本計画では断熱塗料実証棟（ユニットハウス）を建設し、断熱塗料の効果も並行して検証しています。実証棟では断熱材を入れることで外皮性能を向上させていますが、さらに断熱塗料を使用することで将来様々なユースケースで建物の外皮性能を向上させることができないか検証しています。

図5 現場全体におけるCO2排出削減量

今後の展開

本現場事務所の運用を通して、省エネ性・快適性を都度検証し、さらなるZEB化の推進・脱炭素社会の実現に貢献します。

<引用元>

村田製作所HP https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/environment_murata/climate_change

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。

• Adobe Acrobat Reader ダウンロードページ