2 0 2 4 年 1 0 月 2 9 日
関西電力株式会社
美浜発電所3号機1次系冷却水クーラ海水系統戻り母管の調査状況美浜発電所3号機(定格熱出力一定運転中)において、2024年10月5日19時頃、巡視点検中の運転員が、1次系冷却水クーラ※1の海水系統戻り母管※23系統(A、B、C)のうち、C系統母管の2箇所に塩の析出があることを確認しました。当該箇所の肉厚測定の結果、微小な穴があり、その周辺に減肉を確認したことから、原因調査をすることとし、10月15日にプラントを停止しました。
本事象による環境への放射能の影響はありません。
※1:1次系のポンプやモーター等で発生した熱を除去するための冷却水を海水に より冷却する機器
※2:1次系冷却水クーラ出口から海水を海へ放出する配管
(2024年10月10日、15日お知らせ済)
1.調査状況
10月16日23時45分にプラントを冷温停止状態とした後、C-1次系冷却水クーラ海水出口弁(バタフライ弁※3)下流にある当該配管(以下、T字管)の内面観察等の詳細調査を実施しました。
※3:操作ハンドルを回して弁棒を回転させ弁棒と結合した蝶型の弁体が回転し、流量を調整する弁
(T字管の内面観察結果)
T字管を取り外し、内面観察した結果、微小な穴の周辺を含むT字管上半面にライニング※4の剥離を確認しました。剥離部のT字管内表面には、凸凹状の模様や炭素鋼の腐食がありました。
※4:配管材料と海水が接触しないように配管内面を樹脂等でコーティングし腐食の発生を防止するもの。
(ライニングの点検履歴等の確認)
第14回定期検査(1995年2月)において、T字管を含む1次系冷却水クーラの海水系統の大部分をポリエチレンライニングが施工された配管に取り替えました。その後、定期検査では内面目視点検(1回/1定検)およびピンホール検査(1回/4定検)を実施し、ライニングの健全性を確認していました。
しかし、前回の第27回定期検査(2023年10月)において、T字管内のライニングが広範囲で剥離していることを確認しました。このため補修方法等について検討し、T字管内のライニング全面を海水系統で使用実績のあるエポキシ樹脂系ライニングにより補修しました。また、ライニングの施工記録を確認した結果、施工要領や補修後の外観検査等に問題はないことを確認しました。
なお、補修にあたり、超音波探傷検査でT字管(母材)の肉厚を測定した結果、減肉は確認されませんでした。
(運転操作履歴)
ライニング補修以降のC-1次系冷却水クーラの通水時間・通水流量を確認した結果、2023年11月23日以降、系統切替による約1ヶ月の停止を除き、2024年10月4日まで通水していたことを確認しました。また、海水出口弁は規定開度の約30%で運用し、今運転サイクル期間中に開度変更はないことを確認しました。
(海生生物による影響の確認)
当該系統を含む海水が通る配管内には、海生生物の不活性化を目的として海水電解装置により薬品を注入※5しています。ライニング補修以降の実績を確認した結果、海水電解装置の運転状態に異常がないことを確認しました。
※5:取水路から海水をポンプで汲み取り、海水電解装置により電気分解し次亜塩素酸ナトリウムを作り、配管に注入することで、貝類などの海生生物が循環水管等に付着することを防止する。
(他系統の確認)
現在、A、B-1次系冷却水クーラを使用し、プラントの冷却状態を維持しています。A、B-1次系冷却水クーラ海水出口弁付近の外観点検の結果、塩の析出や異常は認められませんでした。
また、超音波探傷試験による肉厚測定の結果、配管の健全性に問題がないことを確認しました。加えて、点検履歴を確認した結果、C系統と同時期の第14回定期検査で配管を取り替えて以降、ライニングの剥離等はなく、補修した実績はありませんでした。
2.今後の予定
現在、工場において、T字管の断面観察等の詳細な調査を実施しており、それらの結果も踏まえ、対策を検討していきます。
以上
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https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20241029_1j.pdf