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2024-10-09 00:00:00 更新

スマートメーターの電力使用データを活用し、関西電力送配電様における安定かつ効率的な電力供給に貢献


PRESS RELEASE

2024年10月9日
富士通株式会社

スマートメーターの電力使用データを活用し、関西電力送配電様における安定かつ効率的な電力供給に貢献


当社は、関西電力送配電株式会社(注1)(以下、関西電力送配電)様の安定かつ効率的な電力供給を実現するため、データを活用するオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」(注2)のサービスを提供しており、2025年3月の稼働を目指して取り組んでいます。

近年、激甚化する自然災害や労働人口減少、燃料費の高騰といった様々な社会課題に直面する中、電力供給の一端を担う送配電事業者は、平時や有事を問わない電力の安定供給や、再生可能エネルギーの利用促進、送配電設備の維持管理、運用コスト削減といった様々な課題解決の必要に迫られています。

本サービスは、関西電力送配電様が保有する電力供給に関連する様々なデータを「Fujitsu Data Intelligence PaaS」により収集・蓄積・可視化し、安定かつ効率的な電力供給を支援します。これにより、現地に設置されている設備のエラー発生時の迅速な検知と調査、対処を可能とします。また、本サービスのほかに電力使用データを用いて、次世代スマートメーターに搭載される遠隔アンペア制御機能により、計画停電を回避した際の効果算定の検証も実施しており、今後の次世代スマートメーターの本格導入に向けて電力レジリエンス強化に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて電力使用データを活用することで、担当者、管理者、経営層といった様々な視点に応じた分析を可能とし、業務の高度化および意思決定の迅速化を実現します。

関西電力送配電様における取り組み

スマートメーターの電力使用データをもとに設備のエラー状況を可視化し、調査業務を効率化

近年、住宅用太陽光発電は国や自治体の補助金施策などもあり普及してきました。これに伴い、送配電事業者では設備の稼働状態や使用量、発電量の計測状況など確認業務の効率化が求められています。

関西電力送配電様は、これまで帳票出力していたエラー情報について、「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を活用することで、スマートメーターの30分ごとの電力使用データを抽出、かつ、設備・工事情報とも紐づけし、故障の恐れのある対象設備の状況をダッシュボードにより可視化しました。これにより、従来、エラー検知を受けて、現場担当者がエラー内容から複数のシステムと照らし合わせて調査し、必要に応じて現地出向を実施していましたが、紐づけられた情報をもとに設備故障の兆候などを効率的に捉えることが可能となります。加えて、現場出向実績を「Fujitsu Data Intelligence PaaS」に入力しデータを蓄積することで、エラー傾向・分析なども可能になり、エラー抽出精度を継続して向上させることができます。さらに、調査業務効率化に向けてエラー帳票を可視化するアプリケーションのパイロット版を2024年6月に開発完了し、現在、2025年3月の本稼働を目指して取り組んでいます。

今後も、当社は、関西電力送配電様における設備や事柄などのデータの繋がりをデジタル空間上に表現したデジタルツインの領域を拡張し、より高度かつ様々な視点でのデータ利活用を促進することで、データドリブンな意思決定および業務改革を支援します。

図1. エラー検知業務の現行とあるべき姿のイメージ


図2. エラー検知ダッシュボードの画面(注3)

次世代スマートメーターの遠隔アンペア制御機能に関する有効性を検証

安定かつ効率的な電力供給の実現に向けて、遠隔アンペア制御機能の発動効果の有効性を検証しました。遠隔アンペア制御機能は、今後導入が見込まれる次世代スマートメーター(注4)の機能の一つであり、需給バランスの回復が見込めない際に、大規模な停電を避けるための最終手段として実施する計画停電に代わる新たなスキームとして期待されています。経済産業省の試算(注5)では計画停電の回避により、10年間で1,350億円から1,500億円の便益が見込まれています。継続して電気を使用するためには、遠隔アンペア制御機能で設定された電流上限値を超えないよう、需要者による節電行動の協力が必要です。そのため、関西電力送配電様をはじめ一般の送配電事業者では、需要者への影響を評価し、供給力の不足量に応じた最適な制御値を算定する必要があります。

本検証では、「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を活用し、管轄する約1,300万件の中からランダムに選んだ約10万件のスマートメーターから取得した30分ごとの電力使用データを用いて、天候など諸条件の過去類似日の需要実績をもとに、今後の次世代スマートメーターの普及率や使用できる電流値の上限であるアンペア制御値を可変しながら、電力使用量の削減効果を可視化できるアプリケーションを3か月で試作し算定しました。これにより、時間帯ごとのエリア全体の抑制効果とともに、需要者に節電の協力を求める必要のある時間帯や削減量などの影響範囲をより効率的に確認することができました。次世代スマートメーターの普及率が低い状況では削減効果も小さくなることから、次世代スマートメーターの普及状況に応じた期待効果の見極めが必要となります。また、季節・時間帯によっても発動効果が大きく異なるため、高圧や特別高圧も含めたほかの節電手段とも組み合わせた最適制御値の検討が必要である点など、データ起点での分析の高度化を行うことで、遠隔アンペア制御機能のポテンシャルや実運用に向けた課題と今後の施策を明らかにできました。

図3. 制御値と抑制効果のイメージ


図4. 遠隔アンペア制御シミュレーションのアプリケーション画面(注3)

今後について

当社は、本取り組みを通じて、今後も関西電力送配電様における安定かつ効率的な電力供給に貢献するとともに、経営課題の解決に向けた業務変革をデータとAIの活用により支援します。また、当社は電力業界向けに「Fujitsu Data Intelligence PaaS」の新機能としてAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を活用した電力需要予測や設備点検の省力化などを2024年10月中旬に提供予定です。今後も「」のもと、データとAIによる経営の高度な意思決定を通じて、お客様のビジネスの成長と社会課題の解決に取り組んでいきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1

    関西電力送配電株式会社:
    本店:大阪市北区、代表取締役社長:白銀 隆之。

  • 注2

    「Fujitsu Data Intelligence PaaS」:
    AIサービス「Fujitsu Kozuchi」と、企業、業種を超えたデータ連携とトレーサビリティを実現するブロックチェーン技術「Fujitsu Track and Trust」、「Palantir Foundry」や「Microsoft Azure」などのデータ基盤の3つで構成されたプラットフォーム。

  • 注3

    「Palantir Foundry」上で構築したアプリケーション。© Palantir Technologies Inc.

  • 注4

    次世代スマートメーター:
    2014年に導入が開始された現行の電力用スマートメーターの使用期限を迎えるにあたり、経済産業省資源エネルギー庁が2020年9月から2022年3月にかけて開催した「次世代スマートメーター制度検討会」で有識者や業界関係者が機能などを検討したもの。

  • 注5

    経済産業省の試算:
    経済産業省資源エネルギー庁 「次世代スマートメーター制度検討会」の「次世代スマートメーター制度検討会とりまとめ」(2022年5月)より。

関連リンク

  • 「Fujitsu Data Intelligence PaaS」紹介サイト
  • 当社のSDGsへの貢献について

    2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

    本件が貢献を目指す主なSDGs

    本件に関するお問い合わせ



    プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。


情報提供:JPubb

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