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気候変動リスクを当社グループ最大のリスクと捉え、省エネ車両(鉄道・バス)の導入と再生可能エネルギーの使用を進め、モーダルシフトを促進するとともに、グリーンビルディングの取得・開発を拡大していきます。
当社グループでは、CO2排出量を2013年度比で46%以上削減することを目標に掲げています。
2022年度の排出量は192,162tで、基準年度である2013年度の309,902tに対して38%削減となりました。特に、当社の鉄道の効率性を測るエネルギー原単位(分母:走行距離)では5年間で5.5%削減しましたが、不動産の効率性を測るエネルギー原単位(分母:延床面積)では1.0%の削減にとどまっています。
これからも省エネルギー車両を導入するほか、不動産・流通施設にもエネルギー効率の高い設備の導入を進め、「南海環境ビジョン2030」の目標達成を目指していきます。当社グループでは2050年にCO2排出量実質ゼロの目標を設定しており、省エネルギー施策はもとより、再生可能エネルギー、創エネルギー、代替エネルギーの導入・活用、カーボンオフセットの活用など、あらゆる方策を検討・実施していきます。
世界では平均気温が上昇、極端な高温、大雨の頻度や洪水が増えており、気候危機ともいえる状況にあります。そこで、当社では気候変動による事業への影響を想定してリスクマネジメントを強化し、その対策を事業戦略と一体化していくための取り組みを始めています。2021年9月には気候変動に起因する金融市場の不安定化リスクの低減を目的としたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※の提言に賛同しました。
※
国際機関である金融安定理事会によって2015年に設立。気候変動に起因する自社の事業リスクと事業機会を評価し、財務上の影響を把握して情報開示することを提言しています。
当社グループは環境負荷データの信頼性を高めるため、2021年度実績のエネルギー起源CO2 排出量(スコープ1、2)について、デロイト トーマツ サステナビリティ(株)により「南海電気鉄道株式会社および連結子会社54社のエネルギー起源CO2排出量算定報告書(2021年度)」に関する第三者保証を取得しています。
「独立した第三者保証報告書」
2023年4月28日第三者保証報告書(PDF:2,285KB)
当社グループの事業活動によるCO2排出量(スコープ1・2)に加え、サプライチェーンで発生する間接排出量(スコープ3)について2021年度実績の算定を行いました。その結果、購入した製品・サービスが約60%を占めていることが分かりました。
(単位:t-CO2)
上流(調達) | 1. 購入した製品・サービス | 439,118 | 下流(販売) | 9. 輸送、配送(下流) | – |
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2. 資本財 | 82,124 | 10. 販売した製品の加工 | – | ||
3. スコープ1、2に含まれない 燃料及びエネルギー関連活動 | 37,161 | 11. 販売した製品の使用 | 16,282 | ||
4. 輸送、配送(上流) | – | 12. 販売した製品の廃棄 | – | ||
5. 事業から出る廃棄物 | 8,129 | 13. リース資産(下流) | 139,502 | ||
6. 出張 | 1,155 | 14. フランチャイズ | – | ||
7. 雇用者の通勤 | 2,110 | 15. 投資 | 19,470 | ||
8. リース資産(上流) | – | 合計 | 745,051 |
※サプライチェーン:事業活動における商品等の調達、製造、物流、販売、廃棄に関わる一連の流れ
※カテゴリー4、8、9、10、12、14は、重要性の観点から除外しています
※第三者による保証を受けていません
2022年度の当社鉄道用電力の使用量は211,167千kWh(2021年度比1.0%削減)、そのうち運転用電力量は183,373千kWhで全体の86.8%を占め、残りの付帯電力量は27,794千kWhでした。鉄道用電力使用量全体では2022年度は2012年度と比較して12.8%低減しています。付帯電力とは信号設備、踏切設備および駅設備(照明、空調、エレベーターなど)のために使用される電力のことです。夏季・冬季の節電(室内温度の厳守など)や駅の照明を順次LEDに切り替えるなど、省エネへの取り組みを進めています。
「VVVF制御」は、電圧や周波数を変化させながら交流モーターを制御し、電車の加速力や速度を制御するものです。
従来の車両と異なり電気抵抗を使わないため、エネルギー効率の高い制御が可能です。
また、「回生ブレーキ」は、電車がブレーキをかけたときにモーターを発電機として作用させ、発生した電気を架線に戻して、近くを走行しているほかの電車に供給する仕組みです。発生した電力を再利用することで使用電力量を節約することができます。
これらの方式により従来の車両と比べて電力の削減が可能となるため、搭載車両の導入を進めています。
上り線と下り線のき電線(電車に電気を供給する線)を接続することで、き電抵抗を減らし、電線で消費されている電力損失の低減を図っています。これにより回生ブレーキにより発生した回生電流が接続箇所を流れるため、上下の列車間でお互いに効率よく利用することで電力消費量の削減を図っています。さらに力率改善用進相コンデンサを設置することで、電気を使用する際に生じるロスを減らし、電力効率を改善しています。
VVVF制御の12000系
消費電力を低減した8000系
2022年度から2024年度にかけて、既存設備のCO2排出削減に寄与するような省エネ設備への更新を計画しています。具体的な計画としては、南海ターミナルビル全体を賄う熱源設備を高効率なものへ更新するとともに、現状の負荷能力に応じた適正能力・台数に変更し、ライフサイクルコストを削減することを検討しています。
また大規模施設の隅々へ冷水を供給するポンプに負荷に応じた運転制御を可能とするインバータを設置することで、搬送動力を抑制し、使用電力を削減することも検討しています。それら設備の更新とともに、熱源コントローラーやBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を導入するなど、設備の制御の自動化や運用の最適化、見える化を図り、既存設備とともに、エネルギー使用量をさらに削減していく予定です。
当社では、鋼索線(高野山ケーブルカー)のCO2排出削減推進の一環として、2021年6月から関西電力株式会社の「再エネECOプラン」を適用することにより、再生可能エネルギー100%で運行しています。これにより、CO2排出量を年間で約50t削減します。
なお、国内のケーブルカーにおいて、再生可能エネルギーを100%使用して運行する事例は初めてです。
※
「再エネECOプラン」は、関西電力株式会社が非化石価値取引市場から調達した、太陽光・水力・風力発電等の環境価値を付加した電力を使用するプランです。このプランを利用することで、実質的に再生可能エネルギーによる電力として取り扱うことができます。また、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」において、同プランで使用する電気をCO2排出係数をゼロとしてCO2排出量を算定することができます。
鋼索線(高野山ケーブルカー)車両外観
バス事業では、軽油の代替エネルギーとして水素を燃料とした燃料電池バスを2021年度に3台導入(徳島バス2台、南海バス1台)、電気バスを2022年度に2台(南海バス)を導入し、運行を開始しています。
今後も引き続き、「地球環境保全への貢献」として、環境負荷の低減、持続可能な社会の実現に貢献します。
太陽光発電の活用については、南海本線羽衣駅と泉大津駅と泉佐野駅のホーム上屋などに太陽光発電システムを設置し、泉大津駅では1日当たり電力使用量の約3割を太陽光発電で賄っています。
当社グループの住之江興業のボートレース住之江(大阪市住之江区)に当社が設置している太陽光発電所の年間発電量は568千kWh、淡輪太陽光発電所(大阪府泉南郡岬町)の年間発電量は623千kWhです。
淡輪太陽光発電所写真
・橋本市小峰台二丁目における太陽光発電事業計画の公表および縦覧並びに別記第1号様式(PDF:547KB)
・太陽電池(パネル)の支持物の構造強度に関する書面(PDF:6,504KB)
当社グループが運営する鉄道や船舶(フェリー)の輸送量あたりのCO2排出量は、鉄道が自家用乗用車の約1/5※、船舶が営業用貨物車の約1/5※であり、旅客並びに貨物輸送におけるCO2排出量削減を図るための効果的な手段の一つであると考えられます。
当社グループでは、鉄道を中心とした公共交通ネットワークを形成し、駅を拠点としたまちづくりなどを進め、地域の発展に加えカーボンニュートラル社会の構築に貢献しています。
※
出典:国土交通省Webサイト(運輸部門における二酸化炭素排出量)
当社は、一般社団法人環境共創イニシアチブの定めるZEHデベロッパーに登録しました。
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ZEH[ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ゼッチ)]とは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味でゼロとすることを目指した住宅のこと。
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ZEHデベロッパーとはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)実証事業の趣旨に基づき、「ZEH-M普及に向けた取組計画」「その進捗状況」「ZEH-M導入計画」「ZEH-M導入実績」を一般に公表し、ZEH-Mの案件形成の中心的な役割を担う建築主(マンションデベロッパー、所有者等)や建築請負会社(ゼネコン、ハウスメーカー等建設会社)のこと。
CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)とは機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトのことです。当社はCDPの質問書に対し、気候変動およびウォーターを毎年回答しています。
当社のCDPスコア | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
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気候変動 | B | B | B | B | B |
ウォーター | A- | B | B | B | B |
当社は、政府を挙げての国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」および「COOL CHOICE できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン(みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクト)」に賛同しています。
具体的な取り組みとしては、宅配ロッカーの設置(住ノ江駅、泉大津駅、岸和田駅、貝塚駅、三国ヶ丘駅、白鷺駅、金剛駅)、省エネ鉄道車両の導入、パーク&ライド、LED照明への切り替え、グリーン購入の推進等に積極的に取り組んでいます。
貝塚駅宅配ロッカー
2015年、すべての国が参加する形で、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が採択され、世界共通の目標として、世界の平均気温上昇を2℃未満にする(さらに、1.5℃に抑える努力をする)こと、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが打ち出されました。
「COOL CHOICE」は、CO2 などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」など地球温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」をしていこうという取組です。
※宅配便の再配達は、環境負荷の増加や社会的損失を招いていることから、再配達削減に向けて新たな取り組みが必要となっています。
このようなことから、環境省が2017年3月から、「COOL CHOICE できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」を立ち上げ、広く国民・民間企業の賛同を呼びかけている。
情報提供:JPubb