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第24031号
再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査
― 2040年度市場予測(2022年度比) ―
■再生可能エネルギー発電システム 2兆1,893億円(103.1%)
風力発電システムが拡大をけん引。2030年度前後から洋上風力発電システムの運用増加
太陽光発電システムは導入が進むも、価格の低下で市場規模は縮小
●第三者所有モデル(PPA、リース) 4,224億円(10.4倍)
住宅向けでは新築・増築時の太陽光発電システムの設置義務化、
非住宅向けでは野立案件の増加などを背景に利用が拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、これまで主流であった太陽光発電システムに加えて、洋上風力の利用を中心とする風力発電システムの伸長が予想され、環境対応に向けてますます拡大する再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査した。その結果を「再生可能エネルギー発電システム・サービス市場/参入企業実態調査 2024」にまとめた。
この調査では、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の5つの発電システムと関連機器・サービスの市場の現状を分析し、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■再生可能エネルギー発電システムの国内市場
市場には、各再生可能エネルギーシステムの設置費用など施工費も含む。
2023年度の市場は、前年度比6.8%減の1兆9,787億円が見込まれる。太陽光発電システムが市場の約6割を占め、次いで風力発電システム、バイオマス発電システムが大きい。
太陽光発電システムは、FIT案件減少の影響がみられるものの、電気料金の高騰を受け住宅で導入が増加しているほか、非住宅でも環境価値ニーズの高まりやPPA(Power Purchase Agreement)、自家消費案件の増加を背景に導入が進んでいる。
風力発電システムは、大型案件を中心に陸上で導入が進んだため大きく伸長している。2023年度は前年度を下回る予想の洋上も国内企業を中心に運用開始の予定があり、今後の伸びが期待されている。
水力発電システムは、マイクロ水力/小水力では2021年度にFIT認定を受けた案件を中心に運転が開始され、1ー5MW未満の案件が増加している。
バイオマス発電システムは、一般木質・農作物残さによる発電が前年度からほぼ半減することなどを受け、縮小が予想される。一方、メタン発酵ガスによる発電は案件の大規模化や自家消費向け導入の動きがみられる。
地熱発電システムは、鬼首地熱発電所や南茅部地熱発電所、南阿蘇湯の谷地熱発電所、森バイナリー発電所などで新設や更新が相次ぐことなどから、伸長するとみられる。
今後は、太陽光発電システムは東京都をはじめとした、地方自治体による新築・増築時の太陽光パネル設置義務条例などを背景に住宅で導入が増加するとみられる。また、ZEH推進に伴う搭載率の向上や蓄電システムとのセット導入の増加によって伸長が予想される。非住宅はオンサイト/オフサイトPPAに加え、FIP案件とバーチャルPPAを組み合わせた導入も増えるとみられ、長期的には環境価値の取得・活用が可能なNon-FIT案件が伸びると予想される。ただし、長期的な生産拡充で太陽光発電システムの価格は下落することから、2040年度の市場は、2022年度を下回るとみられる。
風力発電システムは、陸上では2024年度に90MW、2025年度には72MWの大型ウィンドファーム(集合型風力発電所)が運転開始予定であり、洋上では2025年度に220MW級のウィンドファームの運転開始が予定されている。長期的には、大型陸上システムの新設は減少するものの、洋上では2030年度前後から運転開始の計画も多いため、風力発電システムが太陽光発電システムに代わって市場拡大をけん引するとみられる。2040年度の市場は2022年度比4.5倍が予測される。
水力発電システムは、2022年度以降の1MW以上のFIT認定受付終了により、新規計画件数が減少することなどから、長期的には縮小に向かうとみられる。
バイオマス発電は、未利用木質による発電(2,000kW未満/以上)が既にピークアウトしているほか、一般木質・農作物残さによる発電がバイオマス燃料の持続可能性証明を取得しにくいため不透明感をもたらしている。ただし、メタン発酵ガスによる発電は今後も年間20ー30件程度の導入が予想され、自家消費/再エネ価値取得を目的とするNon-FIT案件も増加するとみられるため、一定の規模を維持すると予想される。
地熱発電は、2024年度に安比地熱発電所、小国町おこしエネルギー地熱発電所、八丈島地熱利用事業、2025年度に奥飛騨ジオエナジー、わいた第2発電所などで導入が計画されており、導入ピークは過ぎたものの市場は一定の規模を維持するとみられる。
◆注目市場
●第三者所有モデル(PPA、リース)
第三者所有モデルは、事業者が顧客と電力購入契約(PPA)を結び、導入した太陽光発電システムで電力を供給する「PPAモデル」と、自家消費型太陽光発電システムを定額で貸与する「リース」に分類できる。市場は、PPAモデルは太陽光発電システムによる自家消費分と電力会社への余剰売電分の料金、リースは太陽光発電システムの利用料金を対象とする。
2023年度の市場は前年度比35.0%増が見込まれる。オンサイトPPAが高い割合を占めており、住宅向けは、ローコスト志向の中小ビルダーを中心に、新築戸建住宅で採用が進んでいる。ZEH推進の動きも導入を後押しする。非住宅では、大面積屋根の施設における普及が済んでいるため、中小規模案件が増加している。
今後は、住宅向けは、認知向上に加え、太陽光発電システムと蓄電システムをセットとしたPPAのラインアップが拡充されることで、伸びるとみられる。また、東京都や群馬県、京都府、京都市、川崎市などでは、住宅の新築・増築時に太陽光発電システムの設置を義務化する動きがあるため、太陽光発電システムの導入初期費用を抑える方法として普及が進むと予想される。非住宅向けは、太陽光発電システム自体のコスト削減と電気料金上昇に伴い、野立案件によるオフサイトPPAが増えるとみられる。これらの伸びにより、2040年度の市場は、2022年度比10.4倍が予測される。
●太陽光発電併設蓄電システム
太陽光発電システムに併設され、電力平準化や非常時のバックアップ電源、電力需要のピーク時に利用するピークカットやピークシフト、自家消費などに使用される。ここでは蓄電容量300kWh未満のリチウムイオン電池を使用した蓄電システムを対象とする。
2023年度は、住宅用は、FIT価格低下や前年から続く電気料金の高騰などを受け、発電した電力の全量自家消費を行うために導入が増加している。公共・産業用も、電気料金高騰に伴う自家消費需要の増加や1台当たりの蓄電容量の増加によって伸びている。
卒FITユーザーが毎年10万戸以上発生するため、今後も住宅用は引き続き伸びるとみられる。長期的には、自家消費需要に加え、電力の需給バランスを整えるDR(デマンドレスポンス)やVPP(バーチャルパワープラント)などの各種エネルギーサービスやEVの普及、システム価格低下によるストレージパリティの達成なども住宅用の伸びを後押しする。公共・産業用は、EV・PHV用充電器やV2Xシステムと蓄電システムを併設または一体化させたシステムとして需要の増加が期待される。加えて、DR、VPPやインバランス料金補償サービスなどの拡充による伸長が予想される。
●洋上風力発電機
洋上に設置される風力発電機を構成するタワー、ナセル、ハブ、ブレードを対象とした。基礎、送配電ケーブル、設置工事費は除いた。
2022年末に、国内初の大型商用洋上風力発電である「秋田港・能代港洋上風力発電施設」が完工した。2023年度は、富山県入善町沖と北海道石狩湾新港で運転が開始された。
今後は、2025年度に福岡県北九州港、2026年度に鹿島港、2028年度に秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖、2029年度に新潟県村上市、胎内市沖、長崎県西海市江島沖、2030年までにむつ小川原港でそれぞれ洋上風力発電の運転開始が予定されており、2040年度に向けて市場は大きく拡大すると予想される。
現在、発電コストは平均37.0万円/kWであるが、量産化と風力発電機本体とタワー部の大型化によるコストダウンに伴って2030年度には2023年度の6割程度にあたる平均22.7万円/kWになると予測される。また、中国メーカーをはじめ海外製が多い現状から、ナセルやブレードなど各種資機材の国内生産に向けた取り組み進展もコスト削減につながると予想される。
◆調査対象
発電システム2024/4/1
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。また、内容は予告なく変更される場合があります。上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。
情報提供:JPubb