2024 年 3 月 21 日
九州旅客鉄道株式会社
住友商事株式会社
住友商事九州株式会社
でんきの駅合同会社
JR 九州×住友商事グループによる共同事業“でんきの駅川尻”の完工について
~世界初、EV のリユースバッテリーを鉄道沿線地や遊休地での系統用蓄電事業に有効活用~九州旅客鉄道株式会社(代表取締役社長執行役員:古宮洋二、以下、「JR 九州」)、住友商事株式会社(代表取締役社長執行役員 CEO:兵頭誠之、以下、「住友商事」)、住友商事九州株式会社(取締役社長執行役員:髙橋和之、以下、「住友商事九州」)により出資し設立された、でんきの駅合同会社(職務執行者:河野宏樹・小島慶太、以下、「でんきの駅」)は、熊本県熊本市に、第 1 号案件「でんきの駅川尻」を完工しました。今後、設備の本格稼働に向け、各種試験を行った後、系統用蓄電池として需給調整市場(※1)および容量市場(※2)に参入します。
1.でんきの駅 事業内容
2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の大量導入を見据えた電力ネットワークの安定化・次世代化が不可欠です。再エネは日照、風などの自然条件によって発電量が大きく変化するため、電力の安定供給が難しくなってしまう場合があります。そのような状況の中、再エネの普及・拡大の鍵を握るソリューションとして、電力系統の需給バランスを調整する系統用蓄電池の役割が重要になっています。特に、太陽光発電を中心に再エネ導入量の多い九州地域では、その役割が重要となります。
でんきの駅では、JR 九州が管理する鉄道沿線地・遊休地を有効活用し、JR 九州の保守管理ノウハウと住友商事グループの蓄電事業ノウハウを生かして系統用蓄電事業を行っていきます。
2.「でんきの駅川尻」について
「でんきの駅川尻」では、鉄道沿線地特有の土地形状に合わせた専用設計の「バッテリー・ステーション」システムを構築しました。また、蓄電池は、住友商事と日産自動車との合弁会社であるフォーアールエナジー株式会社が提供する EV バッテリーのリユースを定置用(電力事業用)として活用できるように、経済的価値の高い設計でシステム化した、「EV バッテリー・ステーション」を採用しています。
図1:上空からの外観 図2:正面横からの外観 図3:内観
3.今後の事業展開
JR 九州、住友商事、住友商事九州は、2024 年 2 月 7 日に熊本市とカーボンニュートラルの実現に向けた連携協定を締結しました。今後、「でんきの駅川尻」を皮切りに、熊本市内において事業を展開しながら、JR 九州のネットワークと住友商事グループの蓄電事業に係るノウハウを生かし、九州エリア全体の鉄道沿線地・遊休地などで事業拡大を進めていきます。さらに、でんきの駅をプラットフォームとして、災害時には蓄電池の電力を開放するなど、地域に安全・安心を提供する地域エネルギーサービスを検討していく予定です。
(参考:熊本市とのカーボンニュートラルの実現に向けた連携協定)
■ でんきの駅 会社概要
出資者
九州旅客鉄道株式会社
BS ホールディングス株式会社(※)
住友商事九州株式会社
設立年月 2023 年 4 月 12 日
所在地 福岡県福岡市
事業目的
JR 九州が管理する鉄道沿線地・遊休地における蓄電事業
(案件開発・蓄電アセット構築・保守管理・蓄電事業としての運用)
(※) BS ホールディングス株式会社:蓄電アセット保有・管理する住友商事 100%子会社
■ 「でんきの駅川尻」設備概要
事業場所 熊本県熊本市南区川尻(鹿児島本線川尻駅 九州新幹線高架脇)
事業者 でんきの駅合同会社
完工日 2024 年 3 月 21 日
事業開始 2024 年 9 月(予定)
定格出力 1.5 メガワット
実効容量 6.0 メガワット時
システム概要
・EV リユースバッテリー約 350 台分を収納
・スケールアップ(高出力・大容量化)のための制御技術
・電池交換式
・短工期、安全設計を実現する筐体構造
・鉄道沿線の形状に合わせた専用設計
補助事業 経済産業省 令和 4 年度補正 系統用蓄電システム・水電解装置導入支援事業
(※1) 需給調整市場:周波数制御や電力需給バランス調整を行うために必要な「調整力」を、日本全体にわたって広域的に調達する市場
(※2) 容量市場:将来にわたる日本の電気の「供給力」(kW)を確保する市場