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2024-02-22 15:00:00 更新

高浜発電所4号機の蒸気発生器伝熱管損傷に関する原因と対策について

2024年 2月2 2日
関西電力株式会社


高浜発電所4号機の蒸気発生器伝熱管損傷に関する原因と対策について


高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、2023年12月16日から実施している第25回定期検査において、3台(A、B、C)ある蒸気発生器(以下、SG)の伝熱管全数※1について渦流探傷検査(以下、ECT)※2を実施しました。その結果、A-SGの伝熱管2本およびC-SGの伝熱管2本について、いずれも管支持板部付近に外面(2次側)からの減肉とみられる有意な信号指示※3が認められました。


※1 過去に有意な信号指示が認められ、施栓した管等を除き、A-SGで3,238本、B-SGで3,245本、C-SGで3,248本、合計9,731本。


※2 高周波電流を流したコイルを伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物のきず等により生じた渦電流の変化を電気信号として取り出し、きず等を検出する検査であり、伝熱管の内外面の両方を検査している。


※3 割れを示す信号や20%以上の減肉を示す信号の指示。


(2024年1月22日お知らせ済)


当社は、これまでの調査結果や原因と対策を取りまとめ、本日、原子力規制委員会に原子炉施設故障等報告書を提出しました。


1.信号指示が認められた伝熱管の調査


伝熱管の外面減肉については、2018年以降の高浜発電所3号機および4号機の定期検査(3号機:第23回~第26回、4号機: 第22回~第24回)において、これまで計28本確認しており、直近の事例(3号機:第25回・26回、4号機:第23回・第24回) では、原因はスケール※4による摩耗減肉と推定しています。このことから、信号指示が認められた箇所について、小型カメラを用いた外観観察等を実施しました。


※4 2次冷却水に含まれる鉄分が、SG器内に流れ集まって伝熱管に付着したもの。


(1)信号指示が認められた箇所の外観観察


A、C-SGの管支持板下面に信号指示が認められた伝熱管4本について、小型カメラを用いた外観観察を実施した結果、いずれも周方向に摩耗減肉とみられるきずを確認しました。


その大きさは、幅約1mm 以下、周方向に約3mm から約7mm でした。


なお、きずの周辺にはスケール等の付着物は認められなかったものの、当該伝熱管周辺の管支持板下面に接触痕を確認しました。


(2)SG器内のスケールの残存状況調査および伝熱管表面の観察小型カメラを用いて、A、C-SGの管板、第1から第5管支持板上面の調査を実施した結果、過去の調査と同様にスケールおよびスラッジ※5が残存していることを確認しました。


また、近傍の伝熱管表面を観察した結果、局所的にスケールが剥離した痕跡を確認しました。


※5 スケールが砕けて小さくなったもの。


(3)異物混入の可能性の調査


A、C-SG器外の系統を対象に、SGブローダウン系統およびタービンサンプラインの仮設ストレーナ等の開放点検を実施した結果、異物はありませんでした。


また、小型カメラを用いて、A、C-SGの管板、第1から第5管支持板の上面およびきずが認められた第3、6管支持板の下面の調査を実施した結果、異物はありませんでした。


(4)薬品洗浄による効果の確認


SG器内に残存しているスケールを取り出し、これまでの薬品洗浄による効果を確認するため、断面観察および摩耗試験を実施しました。


(断面観察)


高浜発電所3号機および4号機では、2018年以降に発生した外面減肉事象を踏まえ、これまでに332個のスケールを対象に断面観察および摩耗試験を実施しており、薬品洗浄後のスケールは全体的に稠密層の厚さが薄くなっていることを確認しています。


これらのデータ拡充等を目的として、今回は、稠密なスケールが多く堆積していると考えられる箇所(A、B、C-SGの管板、第1管支持板および第2管支持板の上面)から、比較的大きなスケールを 60個取り出し、断面観察を行いました。


その結果、稠密層が主体のスケールを1個(約9mm×約7mm)確認しました。また、前回定期検査(第24回)において実施した薬品洗浄前のデータと比較した結果、全体的に稠密層の厚さが薄くなっていることを確認しました。


(摩耗試験)


断面観察を実施した60個のスケールのうち、摩耗試験が可能な大きさ(約10mm×約5mm 以上)である10個を対象に試験を実施した結果、伝熱管を摩耗させる可能性のあるスケールは確認されませんでした。


2.過去のSG伝熱管の外面減肉事象の調査で得られた知見


(1)これまでの定期検査等における調査結果


(スケールの発生・減肉メカニズム)


スケールは2次冷却水に含まれる鉄分が、SG器内に集まって伝熱管に付着したものであり、スケールの生成と関係するSG器内への鉄イオンや鉄微粒子の持ち込み量について調査を実施した結果、高浜発電所3号機および4号機については、SGの運転時間が他プラントよりも長いことなどから、持ち込まれた鉄分の量が多いことを確認しています。


また、福島第一原子力発電所事故後の長期停止中は、腐食防止のため、SG器内をヒドラジン水による満水保管にしており、その状態を模擬した試験を実施した結果、時間の経過とともにスケールを構成する鉄粒子が結合し粒径が大きくなることを確認しています。粒径が大きくなれば伝熱管との接触面積が減少するため、プラントの運転等に伴い伝熱管からスケールが剥離しやすい状態になっていたものと推定しています。


減肉メカニズムについては、メーカ工場で再現試験等を実施した結果、SG器内の2次冷却水の上昇流により、スケールの形状によっては管支持板下面に押し付けられその場に留まり、伝熱管がプラント運転に伴う振動でスケールと繰り返し接触し、摩耗減肉が発生することを確認しています。


(薬品洗浄によるSG器内への影響)


薬品洗浄におけるSG器内の残存スケール量の違いがSG器内構成部材に与える腐食影響を評価した結果、スケール量が少ない場合には、炭素鋼製の管群外筒等の腐食量が相対的に大きくなることを確認しています。


(2)これまでの薬品洗浄による効果の確認


高浜発電所3号機および4号機において、2018年以降に発生した外面減肉事象への対策として、これまで2回、SG器内の薬品洗浄を実施しています。


(1回目)


高浜発電所3号機および4号機の定期検査(3号機:第24回、4号機:第23回)において薬品洗浄を実施した結果、回収したスケールが脆弱化していることを確認しています。


(2回目)


高浜発電所3号機の前々回定期検査(第25回)において、スケールによるものと推定される伝熱管の外面減肉事象が再度発生したことを踏まえ、薬品洗浄効果の確認試験を実施した結果、スケール近傍にスラッジが存在する場合はスケールの脆弱化効果が低減することを確認しています。このため、高浜発電所3号機の前々回定期検査(第25回)および4号機の前回定期検査(第24回)において実施した薬品洗浄の前に、SG器内のスケールおよびスラッジを可能な限り除去することとし、小型高圧洗浄装置を用いて管支持板上面も含めたSG器内を洗浄しました。その結果、SG器内の残存スラッジの回収量が増加したことから、SG器内のスケールの多くが脆弱化し、除去できたことを確認しています。


また、高浜発電所3号機の前回定期検査(第26回)において、スケールによるものと推定される外面減肉事象が発生した際に、改めて薬品洗浄効果の確認試験を実施した結果、伝熱管を損傷させる可能性のあるスケールがさらに大きく減少していることを確認しました。


3.外面減肉事象に関する知見の総括


これまでの高浜発電所3号機および4号機のSG器内から取り出したスケールの調査により、スケールの脆弱化が図られていることを確認しています。また、SG器内の洗浄を実施したことで、鉄分の総量も減少しています。


さらに、現状の2次系給水の水質管理では、配管内面等からの鉄分の溶出はほとんどなく、SG器内への鉄分の持ち込み量を十分抑制できていることから、今後、新たに厚みのある稠密層を有するスケールが生成される可能性は低いと考えています。


一方で、伝熱管を損傷させる可能性のあるスケールを完全に除去するには至っていない状況を踏まえ、今後実施するSG取替えまでの間、 SG器内のスケールに係るデータ拡充を図る観点から、引き続き、高浜発電所3号機および4号機の定期検査において、伝熱管表面のスケール付着・剥離状況等を確認していきます。


4.推定原因


伝熱管の外面減肉が認められた原因は、これまでに発生した事例と同様、過去に持ち込まれた鉄分により伝熱管表面に生成された稠密なスケールが前回の定期検査(第24回)時の薬品洗浄の後もSG器内に残存し、プラント運転中に管支持板下面に留まり、そのスケールに伝熱管が繰り返し接触したことで発生した摩耗減肉と推定しました。


5.対策


これまでの対策や効果を踏まえ、スケールの残存量のさらなる低減のため、小型高圧洗浄装置の改良等により、SG器内の洗浄を強化します。なお、きずが認められた伝熱管4本については、高温側および低温側管板部で施栓し、使用しないこととします。


今後も毎定期検査時にSG器内のスケールを調査するとともに、長期的な信頼性を確保するという観点から、予防保全策として第27回定期検査においてSGの取替えを計画しています。


以 上


公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240222_1j.pdf


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