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第24014号
EMS(エネルギーマネジメントシステム)関連の国内市場を調査
―2035年度国内市場予測(2022年度比)―
■EMS・関連システム、サービス、ハードウェア 2兆6,887億円(2.1倍)
先行して見える化関連品目が成長。その後エネルギー削減を目的とした品目の需要も高まる
●見える化ツール 157億円(52.4%増)
SCOPE3把握の必要性から製造業を中心に中小規模事業者の導入が進み、今後も拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、製造業を中心とした脱炭素対策の推進や、DX化に伴う需要急増に対応する半導体関連工場の新設・増強によって市場拡大が期待されるEMS(エネルギーマネジメントシステム)の関連市場を調査した。その結果をエネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2024にまとめた。
この調査ではEMSとその関連システム8市場(EMS5市場、関連システム3市場)、関連サービス4市場、関連ハードウェア16市場の最新動向をまとめ、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■EMS関連(EMS、関連システム、サービス、ハードウェアの国内市場
脱炭素やDXといったメガトレンドの中、製造業を中心に脱炭素対策への注力度が高まっている。サプライチェーンにおけるCO2の総排出量(SCOPE3)把握ニーズが高まったことで、エネルギーの見える化を実施する企業が大企業だけでなくサプライチェーンに関わる中小規模の企業へと広がっている。また、再エネの自家消費に関連した太陽光発電システム関連設備や蓄電システムのニーズも高まっている。DX化に関連するものとしては、半導体関連製造拠点やデータセンターの新設・増設が活発であり、それに伴う設備投資の影響で主に関連ハードウェア市場に好影響をもたらしている。
将来的には見える化を経てエネルギー削減のフェーズへ移行し、運用改善や省エネ、再エネ利用に関するシステムやサービスの市場が拡大していくと予想される。また人手不足により設備管理の省力化ニーズも年々高まっており、自動化や省力化関連の市場も伸びていくとみられる。
■主要なEMS、サービス市場
BEMS(Building EMS)は、BASとエネルギー監視特化型システムに大別される。
BASは、主に延床面積が数万㎡規模以上の大規模施設でビル管理ツールとして利用され、サブシステムとしてBEMSの機能を持つ。首都圏を中心とした再開発プロジェクトの進展で需要は堅調であり、2023年度は前年度までの受注残への対応が進められているが、システムベンダーの人手不足により、引き合いに対応仕切れないケースもみられる。今後は更新案件も増えていき、2020年代後半まで需要は旺盛であるとみられる。将来的には人口減少やオフィス需要の減少により採用が減る懸念があるが、人手不足による建物管理の省力化ニーズが高まり、多拠点統合管理用途や導入コストに対する抵抗感が大きい中小規模施設で、クラウドベースのシステムが普及し市場をけん引していくと予想される。
エネルギー監視特化型システムは、近年は小売電気事業者における付加サービスとしての設置増加が市場をけん引してきたが、2023年度は燃料価格高騰に伴って小売電気事業者の展開は消極的である。一方で製造業において省エネ・脱炭素の取り組みとして、電気料金高騰に伴うエネルギーコスト削減対策や、二酸化炭素排出量把握に向けたエネルギー使用状況の可視化に取り組むケースがみられ、市場は微増が予想される。将来的には世界的な脱炭素化の加速により、中小規模事業者における省エネニーズの高まりが期待される。
CEMS(Community EMS)は、特定の地域・街区における住宅や業務・産業施設のエネルギー使用状況などを統合的に管理するためのシステムである。近年、CEMS導入によるエリア全体の脱炭素化やエネルギー需給最適化の実現と、それにより地域の高付加価値化を実現できるため注目度が高まっている。エリア再開発や、製造業をはじめとした事業者による遊休地を活用したCRE(Corporate Real Estate)案件、環境省の「脱炭素先行地域」事業に関連した地域エネルギーマネジメントなどが増えており、今後も市場拡大が続くとみられる
HEMS(Home EMS)は住宅向けが対象であり、家庭内のエネルギーの見える化や設備機器の制御などを行うためのシステムである。直近では太陽光発電システムの発電量や蓄電システムの蓄電容量の見える化などを目的に導入され、電気代高騰を背景に太陽光発電システムや蓄電システムを搭載した住宅が増加していることや新築戸建住宅のZEH比率の上昇により、市場が拡大している。一方で、住宅価格高騰により高機能なHEMSが導入されにくいことや、低価格なHEMSの普及により市場は2030年度以降マイナスに転じると予想される。
◆注目市場
●見える化ツール【EMS関連ハードウェア】
主に業務・産業施設で採用されるエネルギーの使用状況を可視化するための電力計測機器やデータ収集機器を対象とする。「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」の対象になる大規模事業所においてエネルギー管理システムの構築用途で採用されてきた。
近年はカーボンニュートラルへの取り組みが加速するなか、サプライチェーンにおける環境負荷の把握の必要性が高まっている。大手企業と取引する中小規模の事業者においても製造時のエネルギー利用状況の把握が求められ、見える化ツールの導入が増加している。
今後、脱炭素経営の定着により、現状はエネルギー見える化を実施していない中小規模の事業者まで採用が広がっていくと予想される。また労働力不足に伴ってエネルギー管理や設備管理の省力化システムのニーズが高まり、市場を後押しすることも期待される。
◆調査対象
EMS・関連システム2024/2/8
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。また、内容は予告なく変更される場合があります。上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。
情報提供:JPubb