2024 年 2 月 7 日
環境省委託事業における合成メタンの天然ガス自動車燃料利用 および清掃工場への導入モデルの検討について 日立造船株式会社は、清掃工場(ごみ焼却施設)から排出される COを用いて、メタネーション反応によって合成メタンを生産し、天然ガス自動車の燃料として利用するための検討を、いすゞ自動車株式会社(神奈川県横浜市、代表取締役社長 COO 南 真介)の協力を得て行い、このほど、この合成メタンが既存の天然ガス燃料の代替となりうる結果を得ましたので、お知らせします。
本検討は、環境省の「二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業委託業務(清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証事業)」において行ったものです。この事業は、エックス都市研究所(東京都豊島区、大野 眞里代表取締役)を共同実施者として 2018 年から取り組んでいるものであり、2023 年 12 月末をもって終了しました。
当社は、同委託事業において、2022 年度までに清掃工場(神奈川県小田原市「環境事業センター」)から排出される COを用いて 125 Nm3/h の合成メタンを生産する実証試験※1を行いました。実際に稼働中の清掃工場から合成メタンを製造する取り組みは、世界で初めてとなります。
2023 年度は、実証試験で得られた CO2
転換率やメタン濃度などのデータを活用し、天然ガス自動車の燃料として利用する場合の排出ガス成分、エンジン出力、燃費等の考察・試験を行うとともに、清掃工場への導入モデルの検討などを行いました。
排出ガス成分、エンジン出力、燃費等の考察のための試験※2では、いすゞ自動車のガスエンジン「6UV1-TCN」を使用し、合成メタンを模擬したガスをエンジンに供給・稼働させることで実施しました。その結果、合成メタン中のメタン濃度が約 96%以上であれば、既存の国内天然ガス自動車の燃料として利用できる事が確認できました。また、メタン濃度が約 82%以上であれば、燃料性状が不安定な海外市場向けの車両に採用実績があるエンジン制御方法を用いる事で利用できる事が確認できました。なお、メタン濃度 82%は、2022 年度の実証試験での設計値であり、実際に生成できることが確認できています。
清掃工場への導入モデルの検討では、ごみ処理量 300t/日(150t/日×2炉)のごみ焼却施設を想定し、排出される CO2を回収してメタネーション反応を行うことを条件として検討しました。
メタン生産量は CO2回収法や水素の供給量によって異なりますが、最大で約 4,100 万N㎥/年の合成メタン(天然ガス自動車の走行距離にすると、約 1 億 4,500 万 km/年)の生産が可能となるなどの結果を得ることができました。
本委託事業により、清掃工場にメタネーション設備を導入して得られる合成メタンが天然ガス自動車の代替燃料となりうることの確認や、導入モデルの検討などを行うことができました。
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