2023 年 12 月 22 日
カーボンニュートラル LNG の調達に関する基本合意
~ 舶用エンジンの製造工程から GHG を削減する取り組み ~日立造船株式会社のグループ会社である日立造船マリンエンジン株式会社(熊本県玉名郡長洲町、取締役社長:山口 実浩、以下、HZME)は、このほど、舶用エンジンの陸上試験運転向けに西部ガス株式会社(福岡県福岡市、代表取締役社長:道永 幸典)からカーボンニュートラル LNG を調達することに関し、同社と基本合意しました。
カーボンニュートラル LNG は、原料ガスの採掘~輸送~消費するまでに発生する温室効果ガスを、CO2クレジット※等で相殺(カーボン・オフセット)し、地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNGのことです。
HZME は、本社兼工場に常設している技術開発用の 4 気筒テストエンジン(日立-MAN B&W 4S50ME-T9(定格出力 7,120kW))においてカーボンニュートラル LNG での陸上運転を 2024 年の 3 月に予定しています。また今後、HZME で複数台製造予定の LNG 焚き舶用エンジンについても、陸上試運転はカーボンニュートラル LNG を一部活用する予定です。カーボンニュートラル LNGを利用することで、テストエンジンを定格出力で運転した場合、通常の LNG と比較して 65 トン/日、重油焚きとの比較では 86 トン/日のCO2削減効果があります。カーボンニュートラル LNG の利用は、舶用エンジンの製造工程から排出される GHG を削減することにつながります。
HZME は、舶用エンジンにおける世界最大のブランドメーカーである MAN Energy Solutions SE(ドイツ、以下、MAN)のライセンシーとして約 3,000 台の製造実績を有し、近年では舶用エンジンからの NOx 排出削減装置である舶用 SCR 装置を MAN と共同で開発するなど、舶用エンジンの環境負荷低減に関する技術開発を行ってきました。また、2023 年 3 月末にはメタノールを燃料とした陸上テストエンジンも受注しています。HZME は、低炭素及び脱炭素燃料に対応した新型エンジンの製造販売を通じ、海運会社等の使用者側で排出される GHG の削減に貢献し、海運・造船業界のサプライチェーン全体における GHG 排出削減に取り組みます。
IMO(国際海事機関)は、国際海運分野からの GHG 排出量を 2050 年に半減させ、今世紀中早期にゼロにすることを目指す「GHG(温室効果ガス)削減戦略」を 2018 年に採択していましたが、2023 年 7 月に目標を大幅に引き上げ、2050 年頃に実質ゼロを目指すことを新たに採択したため、舶用エンジンの燃料を従来の重油焚きから LPG、LNG、メタノール、アンモニア、水素など GHG排出量が少ない燃料への転換が海運・造船・舶用機器業界にとって喫緊の課題となっています。
両社は、カーボンニュートラル LNG の利用促進を通じ、今後も積極的に GHG 削減に貢献してきます。
※信頼性の高い認証基準の下、森林保全プロジェクト等におけるCO2削減効果を第三者検証機関が認証し、クレジットとして発行されたもの。
なお、本合意に関する概要は以下のとおりです。
1.買い主:日立造船マリンエンジン株式会社(熊本県玉名郡長洲町)
2.売り主:西部ガス株式会社(福岡県福岡市)
3.供給量:約 46t
(終)