令和5年11月10日
四 国 電 力 株 式 会 社
伊方発電所における通報連絡事象(令和5年10月分)および通報連絡事象に係る報告書の提出について○ 令和5年10月に当社から愛媛県および伊方町ほか関係自治体に通報連絡した事象は以下の1件です。本事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事 象 発生月日 発表月日 県の公表区分
1.伊方発電所1、2号機 碍子洗浄水タンクへ
の送水配管からの水漏れについて 10 月 5 日 - C
○ 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町ほか関係自治体に報告書を提出いたしました。
事 象 発生月日 発表月日 県の公表区分
1.伊方発電所3号機 スチームコンバータの不具合について 5 月 1 日 6 月 12 日 C
2.伊方発電所3号機 発電機用窒素ガス封入装置からの窒素ガス漏えいについて 5 月 26 日 6 月 12 日 C
3.伊方発電所3号機 使用済燃料乾式貯蔵施設設置工事に使用する仮設電源ケーブルの損傷について7 月 2 日 8 月 10 日 C
4.伊方発電所3号機 使用済燃料ピット監視カメラの不具合について 7 月 26 日 7 月 26 日 B
県の公表区分 A:即公表
B:48 時間以内に公表
C:翌月 10 日に公表
PP:可能となった段階で速やかに公表
(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(令和5年10月分)
(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要
以 上
別紙1
伊方発電所における通報連絡事象の概要(令和5年10月分)
1.伊方発電所1、2号機 碍子洗浄水タンクへの送水配管からの水漏れについて
伊方発電所1、2号機の屋外(管理区域外)において、10月5日、碍子洗浄水タンクに送水する配管より水が漏れていることを保修員が確認しました。その後、碍子洗浄水タンクに送水するポンプ(碍洗送水ポンプ)を停止し、漏えいは停止しました。
調査の結果、碍子洗浄水タンクに送水する系統の配管工事において、配管端部に閉止治具を取り付け後、碍洗送水ポンプを起動したところ、閉止治具が脱落し、漏えいしたことを確認しました。
その後、閉止治具が脱落しない処置を行い、碍洗送水ポンプを起動した後、当該箇所に漏えいがないことを確認し、10月6日、通常状態に復旧しています。
今後、詳細を調査します。
なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。
伊方発電所1、2号機 碍子洗浄設備 概略系統図
別紙2
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要
1.伊方発電所3号機 スチームコンバータの不具合について
(1)事 象
伊方発電所3号機は第16回定期検査中のところ、スチームコンバータ※1(管理区域外)の加熱管の非破壊検査を実施した結果、5月1日14時35分、加熱管の広範囲に減肉を確認し、当該設備が必要な蒸気を生成する能力を有していないと判断しました。
その後の検討の結果、スチームコンバータの修理には期間を要することから、スチームコンバータを使用せず、補助ボイラにより補助蒸気を供給することとしたため、本事象によるプラント運転への影響はありませんでした。
また、本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
※1 純水を2次系の蒸気で沸騰させ、プラント補助設備(空調設備、洗濯設備、廃液蒸発装置など)を運転するための補助蒸気を供給する設備。プラント補助設備への補助蒸気の供給は、補助ボイラとスチームコンバータにて供給可能。
(2)原 因
調査の結果、スチームコンバータ内に供給された溶存酸素が含まれる水(純水)により、スチームコンバータ加熱管表面に酸素の影響による酸化物の皮膜が生成され、経年使用に伴い酸化物の皮膜の生成、剥離が繰り返されることにより、加熱管外面の減肉が徐々に進行し、基準以上の減肉に至ったものと推定しました。
なお、加熱管の減肉を検知できる渦電流探傷検査(以下ECT)※2について第4回定期検査の後は実施しておらず、当該部分の減肉の進展を把握できておりませんでした。
※2 材料の微小な欠陥などを検出するための非破壊検査で、材料表面に渦電流を流して、材料に発生する電磁誘導の変化から検査対象のきずとその深さを検出する手法。
(3)対 策
・スチームコンバータ加熱管全数156本に基準以上の外面減肉を確認したことから、次回定期検査(令和6年度)にてスチームコンバータ加熱管の取り替えを実施します。
なお、加熱管取り替えまでの間、プラント補助設備で使用する補助蒸気については、引き続き補助ボイラにより供給することから、プラントの運転に問題はありません。
・加熱管の減肉状態を監視するため、加熱管のECT頻度を、過去の点検実績を踏まえ、4定検毎に実施する保全計画に見直しました。
なお、点検頻度は、本事象が経年使用により減肉が徐々に進展する事象であり、約5年間運転した後の第4回定期検査におけるECT結果では急激な減肉の進展がなかったことを踏まえ、4定検毎に設定しました。
・類似機器であるスチームコンバータドレン冷却器について、約30年間の運転で減肉は認められませんでしたが、今後は減肉状態を定期的に監視するために、8定検毎に計画している開放点検に合わせてECTを実施するよう保全計画を見直しました。
伊方発電所3号機 スチームコンバータの断面概略図
2.伊方発電所3号機 発電機用窒素ガス封入装置からの窒素ガス漏えいについて
(1)事 象
伊方発電所3号機は第16回定期検査中のところ、5月26日13時50分、発電機用窒素ガス封入装置※(管理区域外)にて窒素ガスの漏えいを確認し、詳細な点検が必要と判断しました。
点検の結果、第16回定期検査で取り替えた発電機用窒素ガス封入装置の接続継手のOリングが適正に装着されていないことを確認しました。
このため、当該Oリングを新品に交換し、漏えいがないことを確認し、同日18時23分、正常状態に復帰しました。
なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。
※ 発電機内の回転子や固定子等の冷却のため、運転中、発電機内部には水素ガスが封入され内部を循環しているが、万一当該水素ガスが漏えいする恐れのある場合に、安全のため緊急に窒素ガスを発電機内に封入し、水素ガスと置換するため、窒素ガス封入装置が設置されている。
(2)原 因
調査の結果、発電機用窒素ガス封入装置の組み立てにおいて、窒素ガス封入装置の入口弁が適正な位置よりも若干下方向に固定されていたことにより、仮締めの段階で入口弁とL字配管との間に隙間ができ、その隙間に気づかず組み立て作業を継続したことで、L字配管と圧力調整器の接続継手部にズレが生じ、その状態で最終締め付けを行っていたことを確認しました。
これらの確認を踏まえた原因調査の結果、L字配管と圧力調整器の接続継手部の締め付けが不足するとともに、組み立て作業において、当該接続継手部に生じた間隔が拡がり、Oリングとの接触が不均等になったことで内圧を受けたOリングの一部が押し出され、窒素ガスを密封することができなくなり、漏えいに至ったものと推定しました。
(3)対 策
・入口弁の固定位置を調整し、圧力調整器-L字配管-入口弁のズレを解消するとともに、Oリングを新品に取り替えました。
・入口弁は、現状は固定金具にて固定としていますが、ボルトによる固定とすることで、より強固に固定できることから、次回定期検査時に現在の位置でボルト固定できるよう、固定板のボルト穴の位置を調整します。
・今後、メーカが同様な装置を製作する際は、組み立て時に位置調整が可能な設計とすること、また接続継手を締めつける前に、接続継手部に隙間がないことを確認することを標準発注仕様書に反映します。また、製作時において接続継手部に隙間がないことを確認するようメーカへ要請しました。
・発電所での圧力調整器点検時などに接続継手の分解・組立を行う際は、接続継手の締め付け前に接続継手部に隙間がないこと、および締め付け状態を確認する手順を標準作業要領書に記載します。
3.伊方発電所3号機 使用済燃料乾式貯蔵施設設置工事に使用する仮設電源ケーブルの損傷について
(1)事 象
通常運転中の伊方発電所3号機の使用済燃料乾式貯蔵施設設置工事場所(管理区域外)において、7月2日19時25分、運転員が工事に使用する仮設電源ケーブルの損傷を確認しました。
このため、損傷した仮設電源ケーブルを接続している工事用分電盤※1②から取り外し、更に上流にある工事用分電盤①内の電源ブレーカのスイッチを「切」としました。
なお、本事象によるプラントへの影響および周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
※1 使用済燃料乾式貯蔵施設設置工事に使用する各電気機器へ電源(100Vまたは200V)を分配する盤のことで、過電流もしくは漏電を検知し、遮断する機能を有する電源ブレーカを内蔵している。文中の工事用分電盤①~③は次頁の概略系統図を参照のこと。
(2)原 因
調査の結果、次の流れで仮設電源ケーブルが損傷したと考えました。
ケーブル敷設状況から、足場上への型枠材の仮置き時に当該仮設電源ケーブルと型枠材が接触し、当該仮設電源ケーブルのシース※2に外傷が生じました。その後、外傷部分から幾度も雨水が侵入したことで、絶縁抵抗が低下し、工事用分電盤①の電源ブレーカの電源スイッチを作業終了時に「切」としていなかったため、繰り返す小さな漏れ電流による熱の発生から、さらに絶縁体の劣化が進みました。そして最終的に、事象発生の前日の降雨で導体間が導通したことから、短絡※3損傷に至ったものと推定しました。
※2 ケーブルを構成する材料で、導体・絶縁体の一番外側にある被覆部分のこと。
※3 電線やコードなどの絶縁劣化により、電位差のある2点間(3相ケーブル間)が、抵抗が小さい導体(今回は雨水)で接続され、電線から電線へ瞬時にして電流が直接流れる現象のこと。
(3)対 策
・工事用分電盤②と工事用分電盤③の間に敷設されていた仮設電源ケーブルを新しいケーブルに取り替えました。
・工事用仮設足場に敷設する仮設電源ケーブルは、型枠材等で損傷を与えない位置に敷設することを徹底するよう作業要領書に反映し、工事関係者に対し周知しました。
・屋外で風雨等に曝される場所で使用する仮設電源ケーブルは、ケーブル内部へ水の侵入を伴う外傷が無いか外観点検(月1回)を実施することを作業要領書に反映し、工事関係者に周知しました。
・工事用分電盤の大元の電源ブレーカは、作業終了時に電源スイッチを切ることを徹底するよう作業要領書に反映し、工事関係者に周知しました。
・これらの周知内容については、その他の工事に反映できるよう、作業要領書の作成・確認の際においても同様の対策がとれるよう、社内規定に記載しました。
工事用電源 概略系統図
今回損傷のあった電源ケーブルの断面図
4.伊方発電所3号機 使用済燃料ピット監視カメラの不具合について
(1)事 象
通常運転中の伊方発電所3号機において、3号使用済燃料ピット監視カメラ※1が正常に動作しないことを運転員が確認したため、7月26日7時48分、保安規定に定める運転上の制限※2から逸脱しました。
その後、保修員が当該サーバの再起動操作を行い、使用済燃料ピット監視カメラの画像表示状態に問題ないことを確認しましたが、起動に通常より時間がかかっていたため、念のため当該サーバを予備品に取り替えました。
予備品に取り替え後、監視カメラの画像表示状態に問題はなく、設備に異常がないことを確認し、同日16時55分に運転上の制限の逸脱から復帰し、通常状態に復旧しました。
なお、本事象によるプラントへの影響および周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
※1 通常の温度計とは別に、重大事故等が発生した場合に使用済燃料ピットエリアの温度を監視する赤外線サーモカメラ。
※2 使用済燃料ピット監視カメラ1台が動作可能であること。
(2)原 因
調査の結果、本事象は、使用済燃料ピット監視カメラのサーバのハードディスクが個体差および経年使用によって不調となり、OSが不動作となったことにより、使用済燃料ピット監視カメラ表示モニタの画面表示が真っ暗になる等、正常に動作しなかったものと推定しました。
なお、使用済燃料ピット監視カメラのアプリケーションは、正常に動作していることから、本事象はアプリケーションの異常ではないと判断しています。
(3)対 策
・当該サーバについては、予備品との取り替えを実施しました。
・ハードディスクの不調を早期に発見するため、定期点検(月例点検)において、ログを確認する手順を作業要領書に追加しました。また、当該サーバと同様に、重大事故時等に使用される設備で、通常は待機状態となっているサーバについても、同様にログを確認する手順を作業要領書に追加しました。
・当該サーバについては、メーカによるハードディスクの取り替え後に予備品として保管します。