2023 年 9 月 25 日
液化バイオガス・液化 CO2 の製造販売事業をドイツで本格始動
~ 輸送分野での再生可能エネルギー利用に貢献 ~
日立造船株式会社の 100%子会社で、ごみ焼却発電や再生可能ガスプラントの設計、建設、保守・運営などを手掛ける Hitachi Zosen Inova AG(スイス、以下、HZI)が、ドイツ テューリンゲン州で、液化バイオガス(LBG)と液化二酸化炭素(液化 CO2)の製造および販売事業を本格的に始動させます。
本事業では、既存のバイオガスプラントから調達したバイオガスを精製し、温室効果ガス削減証明(GHG Quota)とあわせて、再生可能な貨物・輸送用燃料として販売するとともに、精製過程で分離・除去される CO2 を副産物として再利用し、液化 CO2として医療や製薬、食品業界向けに化石由来の CO2の代替品として販売します。
HZI は液化バイオガスの分野で事業を拡大させる方針で、本件では調達や製造、販売など一連の流れを手掛けていきます。
本事業に向けては、2022 年 3 月にドイツのエネルギー会社 biogeen と合弁会社「Blankenhain Verflüssigungs GmbH」を設立しており、今回はこの合弁会社から受注する形で、同州 Blankenhain にある既存のバイオガスプラントに液化などの設備を併設します。(同バイオガスプラントは、HZI の子会社である Hitachi Zosen Inova Schmack GmbH が 2011 年に建設し、農業や食品加工で生じる残渣や家畜糞尿からバイオガス(CH4)を製造しています。)
今回のバイオガスの精製で用いる技術は、薬剤によってバイオガスから CO2 などを除去するアミン吸収方式で、純度を高めたバイオメタンは、液化した上で販売します。また、精製過程で分離された CO2はこれまで大気中に放出されていましたが、本事業では CO2の回収・再利用も行います。
今回建設に着手した設備は、2024 年末頃の稼働開始を予定しており、年間で約 3,700 トンのLBG と約 7,500 トンの液化 CO2 の製造が可能となる見通しです。 EU では、今月改正された「Renewable Energy Directive(REDⅢ)」を通じて加盟国に対して、①2030 年までに輸送部門のエネルギー最終消費量に占める再生可能エネルギーの割合を少なくとも 29%にする――もしくは②再生可能エネルギー使用により、化石燃料を用いたベースラインと比較し 2030 年までに少なくとも 14.5%の温室効果ガス原単位を削減する――のいずれかの目標を選ぶことを求めています。再生可能エネルギーの一つであるバイオガスの需要拡大が見込まれる中、HZI は、乾式メタン発酵設備ではすでに欧米を中心に 100 件を超えるプラントの建設実績を有しているだけでなく、今後シナジーが見込まれる液化バイオガスの事業開発に注力しており、本事業はドイツで2件目のプロジェクトとなります。
日立造船グループでは、今後もグループ一体となってクリーンエネルギーに対する知見や技術の提供を通じ、地球環境に貢献していくことを目指します。
なお、本設備の概要は以下のとおりです。
(1) 発注・所有:
Blankenhain Verflüssigungs GmbH(HZI がbiogeen と設立した合弁会社)
(2) 建 設 地:
ドイツ テューリンゲン州 Blankenhain (biogeen 社所有のバイオガスプラントに併設)
(3) 生 産 能 力:
液化バイオガス(LBG)年間約 3,700 トン、液化 CO2 年間約 7,500 トン
(4) 製 品 用 途:
LBG=輸送用燃料、液化 CO2=医療・製薬・食品業界
(5) 稼 働 開 始:
2024 年末頃(予定)
(終)