非可食バイオマスからの繊維・樹脂・フィルム原料供給に向けて本格始動
-タイ子会社の非可食糖製造設備を拡充-
2023.08.22
東レ株式会社
東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大矢 光雄、以下「東レ」)は、このたび、2017年1月に東レとDM三井製糖株式会社が膜利用糖化プロセスの技術実証を行う目的で設立した、Cellulosic Biomass Technology Co., Ltd.(本社:タイ王国バンコク市、以下「CBT社」)に対して、東レが12億円の増資を引き受け、出資比率を67%から84.4%に引き上げました。東レは今回の増資により、食糧問題の回避やカーボンフットプリント低減を可能とする非可食糖の製造技術を基軸とした、非可食バイオマス由来の基幹ポリマー原料の早期事業化を目指します。
東レは、2030年までに基幹ポリマー製品の原料のうち20%を再生資源化することを目標とし、使用済みプラスチック製品のリサイクルやバイオマス由来材料への転換、原料としてのCO
2使用などの技術開発に取り組んでいます。
これまでに、サトウキビの搾りかすであるバガスを原料とした非可食バイオマスから得られる糖(以下、「非可食糖」)の製造について、分離膜を用いた省エネ型の製造技術を確立しました。また、バガス原料から高付加価値品であるポリフェノールの併産技術も確立しています。
今回の増資を契機に、既存のバガスを原料とした非可食糖を製造する設備に加えて、キャッサバパルプを原料とした非可食糖の製造設備を新たにCBT社に導入し、キャッサバパルプ由来の非可食糖の製造能力を5t/日に拡充します。また、バイオマス燃料が利用可能なボイラーの導入や、排水処理の能力増強を行い、非可食糖製造における用役費のコストダウンを図ります。
本技術によって製造される非可食糖は、これを用いて化学品製造する際の微生物発酵への適用可能な品質、また、保存や輸送時の安定性を確認しています。今後、CBT社で製造する非可食糖を、東レグループにおける各種化学品原料の非可食原料化に向けて、アジピン酸等の自社での原料開発に加えて、すでに可食糖から化学品を製造している化学企業への非可食糖の有償提供を行い、バイオマス原料化を進める企業とのビジネス連携を進めます。また、高付加価値品のポリフェノール類についても、国内外企業と連携して市場展開を進めます。
さらに、2030年までに10万t/年規模の非可食糖製造技術を確立し、非可食糖を原料としたポリマー原料のサプライチェーン構築により、サーキュラーエコノミー社会の進展に貢献します。
なお、非可食糖の技術確立においては、NEDO国際実証事業(2016~2022年度)の支援を受けて、DM三井製糖株式会社と共同で実施しました。また、NEDO事業終了後は実証設備をCBT社が買取り、事業化を進めています。
CBT社の詳細は、以下のとおりです。
【CBT社の概要】
1.会社名 | : Cellulosic Biomass Technology Co., Ltd. |
2.所在地 | : 本社 タイ王国バンコク市、事業所 タイ王国ウドンタニ県 |
3.設立時期 | : 2017年1月 |
4.資本金 | : 6億バーツ |
5.出資額(増資後) | : 東レグループ 5億600万バーツ(出資比率84.4%) : 三井製糖 9,400万バーツ(出資比率15.6%) |
6.事業内容 | : 膜利用糖化プロセスの技術開発および関連製品の事業化検討 |
7.生産能力(増資後) | : バガス由来非可食糖3t/日、キャッサバ由来非可食糖5t/日 |
CBT社の非可食糖製造プロセス
CBT社全景(2023年8月)
このリリースの画像:
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【ご参考】
■2023年4月17日ニュースリリース
「非可食バイオマスを用いた糖製造技術の実証について」
https://www.toray.co.jp/news/details/20230410162320.html■2022年8月24日ニュースリリース
「世界初 非可食バイオマスを原料とする糖からナイロン原料を創出」
https://www.toray.co.jp/news/details/20220817150637.html■2018年7月6日 ニュースリリース
「膜利用糖化プロセスのタイ実証プラント竣工式開催について」
https://cs2.toray.co.jp/news/toray/newsrrs01.nsf/0/259C8D39B2313DB7492582C0002CC23E■NEDO「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」
https://www.nedo.go.jp/activities/AT1_00175.html 以 上
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