2023 年 8 月 9 日
デンカ株式会社
経済産業省「蓄電池に係る供給確保計画」にもとづく助成金交付が決定
~低炭素アセチレン製造技術の確立に向けた技術開発への取り組み~デンカ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:今井 俊夫)は、xEV のリチウムイオンバッテリー等に使用される高機能導電助剤であるアセチレンブラックの国内供給体制の強化拡充について、6 月 16 日に経済産業省の蓄電池に係る供給確保計画の認定を受けました。それに伴い、8 月 8 日に国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構より正式に助成金の交付が決定しましたのでお知らせいたします。
当社は、2023 年度よりスタートした経営計画「Mission 2030」において、スペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの 3 要素をそなえた「3 つ星事業」100%を目指すとともに、CO2排出量 60%削減(2013 年度比)を KPI として掲げています。当社主力製品の一つであるアセチレンブラックは、原料となるアセチレンをカーバイド法・石油化学法の 2 製法(*1)で製造しておりますが、当社グループ 3 か所の製造拠点のうち、大牟田工場で採用しているカーバイド法は製造過程での CO2 発生量が多いという課題がありました。
当社はアセチレン関連製品の製造における CO2 排出量の低減(低炭素化)を目的として、米国のベンチャー企業である Transform Materials 社(本社:米国フロリダ州、CEO:Rachelle Goebel)のマイクロ波プラズマを用いたメタン(炭化水素)からアセチレン・水素を製造する技術(*2)の量産化に関する共同開発契約を締結しています。本助成金を一助として同社の実証・研究設備を導入し、低炭素アセチレンの量産技術構築に向けた開発を進めてまいります。
アセチレンブラックは、超高純度で高い導電性能を有することから、モビリティの電動化と蓄電池の高性能化を支える重要素材として今後も需要の急伸が見込まれており、原料であるアセチレンを低環境負荷かつ安定的に確保する製法の確立は、蓄電池の国内サプライチェーン拡充という日本政府の戦略に合致するものです。また、当社は、2050 年カーボンニュートラルの実現を目指しており、アセチレンチェーン(*3)における CO2排出量の低減は、その達成へ向けた欠かせない取り組みのひとつとなっています。デンカはこれからも、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献し続けます。
■認定供給確保計画の概要
(1)対 象 品 目 アセチレンブラック(導電助剤)
(2)事 業 総 額 約 67 億円
(3)最 大 助 成 額 約 33 億円
(4)取り組み内容 マイクロ波プラズマを用いたメタンからのアセチレン・水素製造技術に基づく量産体制の構築を目的とする技術開発
以 上
(*1) アセチレンブラックを製造する当社グループの工場のうち、大牟田工場はカーバイド法、千葉工場・Denka Singapore Ptd Ltd のメルバウ工場(シンガポール)は石油化学法を使用
(*2)天然ガスの主成分であるメタンをマイクロ波によりプラズマ化することで、アセチレンおよび水素を製造する技術
(*3)アセチレンブラックやクロロプレンゴム等のアセチレンを原料とする製品の生産フロー
【参考:本発表に関する過去プレスリリース(当社ホームページ)】
・2023 年 5 月 25 日「米・Transform Materials 社と低炭素アセチレンチェーン確立に向けた共同研究および実証設備導入契約を締結 ~経営計画「Mission2030」のもと、カーボンニュートラル実現を加速~」
https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1135/20230525_denka_mtoa.pdf
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