2023 年 5 月 15 日
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」について株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO:太田 純、以下、当社グループを総称して「SMBC グループ」)は、2023 年度からの 3 年間を計画期間とする中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」を策定しましたので、お知らせいたします。
足許では、社会・経済のグローバル化の反転、欧米を中心としたインフレや金利上昇等、これまで長く続いてきた経済・金融環境に大きな変化が生じています。また、あらゆる分野においてデジタル化がますます加速し、企業活動や個人の消費行動が大きく変容しています。更に、世界が直面する社会課題が多様化、深刻化しており、企業として幅広い社会課題に主体的に取り組むことがより一層求められています。本中期経営計画では、こうしたパラダイムシフトとも言うべき大きな環境変化に対応し、グループの総合力を発揮してこれまでの取組を更に進化させ、前向きにかつ力強く「質の伴った成長」を目指します。
1. 基本方針
「質の伴った成長」の実現に向けて、まず、「社会的価値の創造」を新たに経営の柱の一つに据え、社会課題の解決を主導していくことにより、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこに生きる人々が幸福を感じられる「幸せな成長」、すなわち、Fulfilled Growth に貢献してまいります。また、経営資源を大胆に配分し、スピード感をもって各種施策を進めることにより、資本効率の向上を伴った、飛躍的な収益力の強化を図り、経済的価値を追求いたします。同時に、SMBC グループのあらゆる活動の礎であるお客さまをはじめとするステークホルダーからの信頼を得るべく、経営基盤の格段の強化を進めてまいります。
本中期経営計画の名称である「Plan for Fulfilled Growth」には、社会的価値の創造、経済的価値の追求、経営基盤の格段の強化という 3 つの基本方針を充たしながら、「質の伴った成長」を実現していくとの強い思いを込めております。
(1)社会的価値の創造 : 「幸せな成長」への貢献
SMBC グループは、三井や住友が長きに亘り企業市民として脈々と受け継いできた、社会的価値の創造を目指す事業の精神を、グループの経営理念に反映しており、これまでもグループ各社が持つ様々な機能や商品・サービスを活用し、社会課題の解決に向けた活動に取り組んでまいりました。
しかし、近年、世界的な流れとして経済活動が優先され、社会的価値の創造が疎かにされてきたことで、環境問題や人権、貧困・格差等の社会課題が顕在化し、こうした喫緊の課題の解決に向けた取組が企業経営の大きなテーマとなっており、足許では、社会的価値の創造が、企業にとっての競争の前提になっております。また、わが国では、少子高齢化が進み、低成長が続いていることから、日本の再成長に対する企業の貢献もますます重要になっています。
本中期経営計画のスタートにあわせ、「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の 5 点を、SMBC グループとして主体的に取り組むべき重点課題として定めました。
これらの重点課題に対応して、グループを挙げてこれまでの活動を更に拡大させ、社会的価値を創造し、これを社会への還元に向けていくことで、経済の成長に加え、社会全体や人々が持続的に豊かになるよう、「幸せな成長」に貢献していく方針です。また、今後、従業員一人ひとりが重点課題に主体的に取り組むことを通じて働きがいを感じられるよう、社会的価値の創造に向けた参画意識をより一層高めてまいります。
(2)経済的価値の追求 : Transformation & Growth
前中期経営計画に続き「Transformation & Growth」をキーワードに掲げ、これまでの成長投資や施策の成果を着実に実現させるとともに、大きな環境変化を踏まえた不断のビジネスモデル改革と、海外重点戦略領域におけるフランチャイズの確立に向けた取組を進めてまいります。これにより、事業ポートフォリオを変革し、資本効率の向上を伴った力強い収益力の強化を目指してまいります。
具体的には、環境変化に対応し、
① 国内ビジネスにおいて、今後の金利上昇の可能性も見据え、デジタル化や決済ビジネスの強化、営業体制の見直し等を通じて、より効果的に顧客基盤を拡充しつつ、安定的かつ効率的なビジネスモデルを再構築していく
② バランスシートの拡大のみによらず、多様なリスクソリューションやフィービジネスの強化を進め、資本効率の向上を図っていく
③ 海外ビジネスにおいて、ポートフォリオの入替を進めることで資本効率を向上させながら、米国事業の強化と、アジアにおける第 2、第 3 の SMBC グループの確立を目指す「マルチフランチャイズ戦略」を中心に、グループを牽引する力強い成長を目指していくという、3 つの基本的な考え方に基づき定めた「重点戦略領域」において、徹底的なグループシナジーの追求や、時機を捉えた適切なリスクテイク、新たなチャレンジ・イノベーションを重視して取組を進めてまいります。
(3)経営基盤の格段の強化 : Quality builds Trust
前中期経営計画では、「Quality」をキーワードに掲げ、経営基盤の質の向上に取り組んでまいりました。本中期経営計画では、改めて「Quality builds Trust」をキーワードに掲げ、お客さまをはじめとするステークホルダーからの信頼を得るべく、経営基盤の格段の強化に取り組んでまいります。
まず、昨年、SMBC グループが受けた行政処分等を踏まえて、経営の大前提である、健全な組織文化の更なる浸透と、コーポレートガバナンス・コンプライアンスの質の向上に、グループを挙げて取り組んでまいります。グループ役職員の規律意識醸成に向けた取組や、IT 投資や人材投入を通じた内部管理態勢の強化を、グループ・グローバルベースで進めてまいります。
また、不透明な環境下でレジリエントな事業運営を実現するため、リスク分析力やリスクコントロール力の向上を図ってまいります。更に、ビジネスモデルの拡大や高度化を実現するための、多様で優秀な人材の確保・育成に向けた人的資本投資と人材マネジメントの強化、従来にない大規模かつ積極的な IT 投資を通じたシステムインフラの増強に取り組み、経営基盤の質の向上を進めてまいります。
2. 財務目標
本中期経営計画では、グローバル金融機関として世界で伍していくためにも、従来の延長線上にはない目標を掲げて取り組んでまいります。具体的には、次期中期経営計画(2028 年度)における 1 兆円以上のボトムライン収益を前提に、本中期経営計画においては、その通過点として9,000 億円の実現を目指します。
収益性目標については、ROCET1 の目標を前中期経営計画比+1%引き上げ 9.5%以上とし、その実現を通じて、東証基準 ROE の向上も目指します。低成長・低採算領域から高成長・高採算領域へ経営資源のシフトを進めつつ、従来以上に施策の PDCA と資本効率を意識した経営管理を行い、グループ全体の資本効率を着実に向上させてまいります。
効率性目標については、将来に向けた成長投資や経営基盤強化に向けた資源投入は確りと行いつつ、効率化施策を通じて全体の経費を適切にコントロールする方針のもと、前中期経営計画に続き、ベース経費の削減に努めてまいります。
健全性目標については、目下の欧米金融市場の混乱も踏まえ、改めて健全な自己資本管理に注力してまいります。普通株式等 Tier1 比率は、前中期経営計画に続き 10%程度を目標水準とし、十分な資本水準の維持に努めます。
※1東証基準 ROE:7%程度
※2国内政策金利の変更がない前提
3. 資本政策
健全性確保、株主還元強化、成長投資をバランスよく実現し、持続的な株主価値の向上を目指してまいります。普通株式等 Tier1 比率 10%程度を確保した上で、今後蓄積していく利益は、株主還元と成長投資にバランスよく配分してまいります。
株主還元は、配当を基本に、機動的な自己株取得も実施してまいります。また、配当性向 40%と累進的配当方針を維持しつつ、ボトムライン収益の成長を通じた増配を実現する方針とします。
以 上