2023 年 4 月 3 日
富士電機株式会社
国立大学法人東京大学 エネルギー総合学連携研究機構
富士電機と東京大学 再生可能エネルギーの普及拡大に向けて
社会連携研究部門「電力システムイノベーションの実現」を開設
富士電機株式会社と国立大学法人東京大学エネルギー総合学連携研究機構は、再生可能エネルギーの普及拡大に寄与する共同研究を目的とした社会連携研究部門「電力システムイノベーションの実現」を開設しましたので、お知らせします。
1.背景
再生可能エネルギー(以下、再エネ)の更なる普及拡大に向けて、FIP(Feed-in Premium)制度※1の導入や自己託送制度※2の改正、需給調整市場※3の開設等の電力システム改革が進められています。
電力は需要と供給のバランスが崩れると停電などを引き起こす原因となるため、発電量と消費量を一致させる計画値同時同量が原則ですが、発電量が気象条件に左右される再エネの導入が増加することで、電力需給の差分(インバランス)が発生しやすくなります。
FIP 制度においては、発電量の実績が計画値を下回った場合、発電事業者は一般送配電事業者に対してインバランスに応じた料金を支払わなければなりません。また、需給調整市場では、一般送配電事業者が発電機や蓄電池の充放電などによる「調整力」を調達してインバランスを補填・吸収しますが、調整力の提供元である発電事業者やアグリゲータは、市場価格の予測に従い最適な調整計画を立てる必要があります。
ここでは、再エネの発電量やそれに基づく市場価格を高精度に予測することが求められますが、発電量の予測には気象予報を用いるため、気象予報の誤差が発電量の予測値に影響を及ぼします。
2.今後の取り組み
社会連携研究部門「電力システムイノベーションの実現」では、電力の需給予測に関する両者の知見や技術を活用し、気象予報の誤差に影響されにくい、AI を使った再エネの発電量と市場価格の予測技術の開発等を行います。本社会連携研究部門の特任教授を務める松橋教授は、電力分野の予測・最適化の第一人者であり、電力システム改革に関する最新の知見を有しています。
富士電機は、本研究部門で開発した技術を自社のエネルギーマネジメントシステム(EMS)※4に適用し、再エネ発電事業者やアグリゲータなどに提供。新市場における事業展開を支援します。
富士電機と東京大学は、本研究とその社会実装を通して、再エネの更なる普及拡大に貢献します。
【設置期間】
2023 年 4 月 1 日から 2026 年 3 月 31 日(3 年間)
【代表教員】
松橋隆治(東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授)
※1:再エネ発電事業者が卸売市場などで売電したときに、売電価格に一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度。2022 年 4 月に導入。
※2:企業などが、自家発電した電力を一般送配電事業者が所有する送配電ネットワークを利用して自社工場などに送電する際に、一般送配電事業者が提供する送電サービス。2021 年 11 月に改正。
※3:一般送配電事業者が電力供給区域の需給バランス調整等を行うために必要な調整力を、当該エリアを越えて広域的に調達する市場。2021 年 4 月に開設。
※4:エネルギーの使用状況を可視化し、エネルギーの運用を最適化するためのシステム
■本件に関するお問合せ先
富士電機株式会社
技術開発本部 デジタルイノベーション研究所
デジタルプラットフォームセンターAI 研究部
☎042-514-8396
東京大学 エネルギー総合学連携研究機構
☎03-5841-8758