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2022年4月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
大崎クールジェン株式会社
NEDOと大崎クールジェン(株)は、革新的な低炭素石炭火力発電技術の確立を目指す「大崎クールジェンプロジェクト」の第3段階に入りました。具体的には、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)設備に、MW(メガワット)級の燃料電池設備(SOFC)を組み込んだCO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を、4月18日に開始しました。
本実証試験では、第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備に燃料電池を組み合わせて、石炭をガス化したガスからCO2を分離・回収後、得られる高濃度水素ガスを燃料電池に供給し、燃料電池の発電特性や燃料電池内部の温度分布を把握します。また、燃料電池モジュールを並列運転した時の運用性、さらに高圧運転した場合の挙動を調べるなど、CO2分離・回収型IGFCシステムの実現に向けた試験を行います。
実証試験の目標は、本実証試験の成果を500MW級の商用機に適用した場合に、CO2回収率90%の条件で47%程度の送電端効率(高位発熱量基準)の見通しを得ることとします。
今後、高効率な石炭火力発電とCO2分離・回収が両立する技術を確立し、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。
図1 第3段階の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)実証試験に用いる燃料電池設備
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と大崎クールジェン株式会社※1は、石炭火力発電から排出される二酸化炭素(CO2)を大幅に削減するため、究極の高効率石炭火力発電技術とされる石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)※2とCO2分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実現を目指す「石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業※3」に取り組んでいます。
本実証事業は、
の順に実施し、中国電力株式会社の大崎発電所構内に建設した実証試験設備で、システムの基本性能やプラント運用性・信頼性・経済性を検証するものです。
2017年3月から開始した第1段階の実証試験では、170MW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの効率となる送電端効率40.8%(高位発熱量基準※6)を達成し、実用化後の商用発電プラント(1500℃級IGCC)に換算して送電端効率約46%(高位発熱量基準)の達成に見通しが立ちました。
また2019年12月から開始した第2段階の実証試験は継続中ですが、CO2分離・回収設備におけるCO2回収率90%以上、回収CO2純度99%以上の目標を達成しています。
そして今般、第3段階として、燃料電池(SOFC※7)設備が完成し、4月18日から実証試験を開始しました。第3段階では、CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備において石炭をガス化したガスからCO2を分離・回収後、得られる高濃度水素ガスに対する燃料電池の発電特性や燃料電池内部の温度分布を把握し、2基の燃料電池モジュールを並列運転した時の運用性を検証します。さらに、ガスタービン系統との連係※8を想定して燃料電池の運転圧力を高めた場合の挙動などを調べることで、将来の500MW級商用機に適用した場合にCO2回収率90%の条件で、送電端効率47%程度(高位発熱量基準)の見通しを得ることを目標とします。なお、本実証試験は「MW級のSOFCを組み込んだCO2分離・回収型IGFC」として世界で初めてとなります[2022年4月大崎クールジェン(株)調べ]。
図2 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)実証事業の概要
表 CO2分離・回収型IGFC実証試験の項目および実施内容
項目 | 実施内容 |
---|---|
燃料電池の基本性能検証 | 燃料電池(SOFCモジュールを2基並列)において、高濃度水素ガスによる運転・制御方法を確立するとともに、発電特性を把握する。 |
燃料電池の運用性検証 | 燃料電池モジュールの並列拡張の検証、CO2分離・回収設備との連係運転に係る協調性の検証、ガスタービン連係を想定した高圧運転試験およびシステム全体効率に関する検討を行う。 |
燃料電池の信頼性検証 | 累積時間3000時間程度の運転を行い、高濃度水素ガス運転における電圧低下率を確認する。 |
CO2分離・回収型IGFC実現に向けての検討 | CO2分離・回収型IGFCの技術確立および商用化に向けた課題や技術動向を整理するとともに、経済性を検討する。 |
本実証試験を実施し、さらに本事業とは別に開発が進められているCO2の利用※9・貯留技術と組み合わせることで、CO2をほとんど排出しない石炭火力発電が実現できます。本技術を確立させることで、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。
NEDO 環境部 担当:戸島、福原、吉田 TEL:044-520-5293
大崎クールジェン(株) 総務企画部 担当:森本、森安 TEL:0846-67-5250
NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、鈴木、根本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
情報提供:JPubb