2021年11月2日
ENEOS株式会社
千代田化工建設株式会社
クイーンズランド工科大学
低コスト型有機ハイドライド製法(Direct MCHR)による
豪州産CO2フリー水素サプライチェーン実証の規模拡大に成功しました!
-再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池自動車に充填-低コスト型有機ハイドライド製法(Direct MCH®)による 豪州産CO2フリー水素サプライチェーン実証の規模拡大に成功しました! ~再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池自動車に充填~ ENEOS株式会社(社長:大田 勝幸、以下「ENEOS」)と千代田化工建設株式会社(社長:山東 理二、以下「千代田化工」)、クイーンズランド工科大学(学長:Margaret Sheil、以下「QUT」)は、このたび、2018年から進めているCO2フリー水素の製造、輸送、脱水素に関する技術検証において、世界で初めて実際に使用できるレベルまで規模を拡大し、燃料電池自動車(FCV)へ充填することに成功いたしましたのでお知らせします。
水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに一度貯蔵し、その次に有機ハイドライドの一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)※1に変換する必要があります。本技術検証では、その工程を大幅に簡略化し、水とトルエンから一段階の反応でMCHを製造する、ENEOSが開発した「有機ハイドライド電解合成法※2(Direct MCH®※3)」を採用しています。
2019年3月に、本手法により豪州の再生可能エネルギー由来のMCHを製造し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証を実験室レベル(約0.2kg)で成功しておりましたが、この度、実際に使用できるレベル(約6kg)にまで規模を拡大し、日本においてMCHから水素を取り出し、実際に燃料電池車に充填、走行させることに成功しました。
本サプライチェーン実証で活用する3者の技術は、以下の理由により競争優位性を有しております。
主体
技術
特長
QUT
追尾型太陽光
発電システム
太陽の位置に合わせてパネルの方向を調節し、太陽光を集光・発電するシステム。従来の据え置き型太陽パネルと比較して面積当たりの発電量が非常に高い。
ENEOS
Direct MCH®
水素を介さずトルエンを直接MCHに還元することができる高効率電解プロセス。MCH製造に関わる設備費を約50%低減※4することが可能。
千代田化工
脱水素反応技術
独自技術により開発した脱水素反応装置と触媒を使用したMCHの脱水素が可能であり、水素の収率が非常に高い。
水素の大量消費社会の実現に向けて、ENEOSはMCH製造量を更に増加させるために、Direct MCH®技術を活用する電解槽の大型化に取り組んでおり、本検証はその一環です。2022年度には大型電解槽のベースとなる150kW(電極面積3m2)級の中型電解槽を完成させ、2025年度をめどに5MW級の大型電解槽の開発を目指しております。将来的には2030年度をめどに、CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向け、技術開発を進めております。
今後も3者は、日本の2050年までのカーボンニュートラル実現への貢献に向けて、産学連携でCO2フリー水素製造技術の社会実装に向けた商用規模での技術開発を早期に実現することを目指します。
※1 水素ガスの500分の1の容積で常温常圧の液体。貯蔵や輸送等、取り扱いが容易なことが特徴。
※2 有機ハイドライド電解合成法は、再生可能エネルギー等の電気から水とトルエンを用いてMCHを直接製造する製法。
本合成法に関するENEOSリリース
<「CO2フリー水素」を低コストで製造する世界初の技術検証に成功(2019.3.15)> ※3 Direct MCH®は、ENEOS株式会社の登録商標。
本技術開発の一部は国立大学法人横浜国立大学・光島重徳教授、デノラ・ペルメレック株式会社の共同開発で実施。
※4 ENEOSによる試算、本技術完成時の試算値。
以上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.chiyodacorp.com/media/211102.pdf