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2021-05-14 00:00:00 更新

経済産業省 梶山大臣記者会見 - 2021年5月14日 - 冒頭発言 ●電力需給対策 質疑応答 ●洋上風力発電 ●エネルギー資源 ●原子力発電新増設・リプレース ●半導体 ●電力需給対策

梶山経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2021年5月14日(金曜日)
8時52分~9時07分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

電力需給対策

初めに私から1点申し上げます。

4月末に電力広域的運営推進会議が取りまとめた電力需給見通しでは、この夏は安定供給に必要な供給力はかろうじて確保できるものの、ここ数年で最も厳しい見通しとなっています。また、近年発電を巡る事業環境の悪化等による火力発電の休廃止が相次いでおり、この冬については現時点では、東京電力管内において安定供給に必要な供給力が確保できない見通しであります。

こうした厳しい状況を踏まえて、夏及び冬における電力の安定供給確保に向けた緊急の対応として、発電・小売事業者に対する供給力確保の働き掛け、需要家に対する協力要請、需給状況に関するタイムリーな情報提供、その他必要な制度的な措置の検討といった事項について、早急に対策をまとめるよう事務方に検討を指示をいたしました。

電力の安定供給確保に万全を期すため、5月中を目途に取りまとめた上で、速やかに実行に移してまいります。

詳細は事務方から説明をさせていただきます。

私からは以上です。

質疑応答

洋上風力発電

Q:2点お願いいたします。


1点目ですが、洋上風力に関連してなのですけれども、先日東芝とGEが洋上風力発電の設備を共同生産することで正式発表いたしました。

現在の内容では、GEが技術や部品の供与を受けて、東芝が主に組立て、輸送、そういった部分を担当する内容というふうに出ているのですけれども、洋上風力産業国内育成で一歩前進かとは思うのですが、部品産業を育成するという意味で、そういう国の狙いの中で、この提携についてどういうふうに受け止められているかというのを教えてください。

A:洋上風力は再エネ主力電源化の鍵であると考えています。そのためグリーン成長戦略や洋上風力産業ビジョンに基づいて、魅力的な国内市場を創出し、強靱な国内サプライチェーンの形成を促す取組を進めているところであります。特に欧米風車メーカーによるアジア拠点の誘致競争が過熱する中、国内外からの投資を呼び込むことが重要です。こうした動きの中で、今般の東芝とGEの提携発表はサプライチェーン形成に資する具体的な動きとして歓迎をしております。

報道発表では、GEは東芝と共に日本のサプライチェーンを共同で構築するとされておりまして、今回の合意を第一歩として、部素材、設置工事、設置後のメンテナンスなど、幅広い国内産業への波及効果を期待をしたいと思っております。

現実には今、国内のメーカーはありませんから、海外のメーカーの力を借りながら、そして国内でのメンテナンスの実施、そしてさらには製造であるとか部品調達という形で、段階を追ってそういうふうになっていくと思いますので、その第一歩であると思っております。そういったものも含めて、海外メーカーとの連携というのはこれからも出てくるものだと思っております。

エネルギー資源

Q:続いてなのですけれども、資源業界の話なのですが、脱炭素化の強まりの中で上流事業を見直す動きが出てきております。先日ENEOSホールディングスが石炭事業の売却、それから石油資源開発がカナダのシェール事業の権益を手放す発表をいたしましたが、資源に乏しい日本で、こうした動きが将来の安定的な資源の確保の懸念につながる可能性もあると思うのですけれども、こういった動きをどういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。

A:両者の発表については承知しておりますけれども、日本のエネルギーの安定供給に支障が生じるものではないと考えております。今までの輸入比率であるとか、輸入しているか、していないかということも含めてですけれども、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいく中でも、天然ガスや石炭等のエネルギー資源は引き続き国民生活や経済活動の基盤となるものであり、カーボンリサイクルなどの脱炭素技術の開発、実用化とともに、その安定供給確保が不可欠であると考えております。

経済産業省としては、エネルギー資源の供給が一瞬たりとも途絶することのないよう、引き続き積極的な資源外交やJOGMECによるリスクマネー供給等を通じた海外権益獲得や供給源多角化、地政学リスクに左右されない国内資源開発の推進、石油備蓄の確保など、あらゆる政策を総動員して取り組んでまいります。

石炭についていろいろな議論がされていますけれども、要は大気中に地球温暖化ガスを排出しないということができるような技術開発というものも取り組んでいるわけでありますから、そういったことも含めて海外との交渉も含めてしているところでもありますし、非常に厳しく見ている国もありますけれども、いろいろな議論が出てきているということでもありますので、そういった中でルールづくり、日本の地位確保というものもしっかりとやってまいりたいと思っています。

原子力発電新増設・リプレース

Q:原発について伺います。

昨日の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、複数の委員から原発の新増設やリプレースについて、きちんと明記すべきだという声が上がっておりました。経済産業省として新増設、リプレースの方針について、方針を示すのは経済産業省の責任かと思うのですけれども、新しいエネ基に新増設、リプレースについてきちんと明記するようなお考えはおもちですか、見解をお願いします。

A:エネ基に向けて今議論をしているということであります。原子力については、まずは国民の信頼回復という大前提がつきます。昨日の議論の中でも、皆さん委員の方々から、そういう前提でという御意見も頂いたわけであります。既存の原発の再稼働を進めることがまずは重要、現時点では新増設、リプレースは想定をしていないという政府の考え方に変わりは現時点ではありません。

その上で、昨日に限らずタブーなしでしっかりと議論するという考え方の下で、基本政策分科会において原発の新増設、リプレースも含め御議論をいただいているということで、昨日初めて出たということではありません。ここまでタブーなしでやっていきましょうという方針の下に、こういった議論が出ているということであります。これらも参考にしながら検討をしていくということになると思います。

Q:今の質問に関連して、ちょっと質問させていただきたいのですけれども、自民党の中でリプレース、新増設を求める声がかなり強まっていて、議連の中では安倍前総理が顧問として加わっておられるという中で、大臣として党の意見に対する御認識はいかがでしょうか、伺います。

A:これは先ほど申しましたように、基本政策分科会でもタブーなしでいろいろな議論をしていただいている。特に党の中でもそういった中での議員連盟ができているものだと思っております。

それぞれの考え方だと思いますよね。こういう考え方もある。ああいう考え方もある。その中で現実にどうやれば安定供給が維持できるのか、そして日本のエネルギーミックスというものができるのか、そして2050年のカーボンニュートラルができるのかというものを含めて考えていく必要があると思っています。

ですから、そういった意見も参考にさせていただきますけれども、全てこれは除外するということはしていません。全ての意見について。例えば再エネ100%というものも現実には無理だという方もたくさんおいでになるけれども、これもお話を聞いてみなくては分からない。そして、こういう場合にはコストは掛かってくるかもしれない、場合によっては。

というのは、例えば不安定電源が不安定になった場合に、どういった形で調整力を発揮するのかというときに、もう一つ投資が必要になるかもしれない。そういったことも含めて、コストの部分と安定供給と安全の部分と、そういったものも含めて総合的に議論をしていくということと、日本はやはり資源のない国であって、ほかの国のようにこのエネルギーでいくんだということを決め打ちできるような状況ではないということも、多くの方に理解をしていただかなくてはならないことだと思っています。

Q:今の質問に関連するのですけれども、原発に関しては昨日も委員から発言で、新増設にするにせよリードタイムが必要なので、いろいろと考えると今回の今決断するしかないというふうに、政府が原子力の扱いについて方針を決めてほしいという声があったのですけれども、そこで今回決めざるを得ない状況にあるとは思うのですけれども、大臣としてはその辺の切迫感というか、決断しなければならないということに関してはどうお考えですか。

A:リードタイムがどのくらい必要かというものも含めてよく考えていかなくてはならないということと、あとありとあらゆる技術や手法、電源というものを組み合わせて、カーボンニュートラルというものも考えていかなくてはならないと思っています。

理想の形は、それは再生可能エネルギー100%ということかもしれないけれども、現実にそれが可能なのかどうなのか、そしてほかの技術開発をしているもの、2030年に関しては現状の延長で想定できるものが中心になりますけれども、2050年になると、今研究開発しているものもブレイクスルーして実用化になる可能性もある、ということも含めて、これは要らない、これは要るという取捨選択はまだ早いと思っておりますので、そういったことも含めて、今あるものをどう生かしていくか、そしてそれをある程度の比率にするためにはどうしたらいいのかということも、今おっしゃったようなことも含めて、しっかり検討していかなくてはならないと思っています。そういった形でエネルギー基本計画を出してまいりたいと思っています。

半導体

Q:各社報道で出ているのですが、自民党の方で半導体戦略の議員連盟が近く発足されるということで、経済産業省の方でも既に3月から半導体戦略に関する話合い等が行われているのですが、与党との連携、今後どういうふうに進めていくか、お考えをお示しください。

A:例えば今回のカーボンニュートラルに関しても、例えば水素の議員連盟があったり、原子力の議員連盟があったり、再生可能エネルギーの議員連盟があったりということで要望を受けています。そういったものの中で、いいものはしっかり取り入れていくということになろうかと思います。

また、半導体についても同じということでありまして、今までの開発を先行してきたという点では日本が一番だったと思うのですけれども、市場化のところでなかなか難しかった。それは中国という大きな市場、アメリカという大きな市場、EUという大きな市場がどれだけそこに投資できるかという決断がつかなかったということでもあると思います。

それはそこまでは事実として受け止めた上で、次世代の半導体、特にカーボンニュートラルを目指す上で温度管理とかセンサとか、そういう省エネのパワー半導体であるとか、あとはロジック半導体であるとかセンサであるとか、そういったものに関しては今から海外の企業と連携をしながら、日本が主力になれる素地がある、ということで思っておりますから、そういったものをどう進めていくか、そしてこれは政府が考えるだけではなくて、企業との連携、市場との連携ということも必要になりますから、そうなったときに今度は大きな資金が必要になる。そうなったときには金融との連携というものも必要になってくる。また、全体として世界中のESG投資であるとか、そういったものの呼び込むための評価の方法であるとか、企業の在り方であるとかということも含めて、総体的に考えていかなくてはならないことだと思いますので、議員連盟の御意見をしっかり伺ってまいりたいと思います。

電力需給対策

Q:冒頭の電力需給のお話なのですけれども、改めてなのですけれども、この冬も電力需給が厳しくなって、そしてこの夏についても、来冬についても非常に厳しいという見通しもあります。

電力需給について、改めて今回こういう見通しになっていることへの受け止めをもう少しお伺いしたいのと、あとは安定供給への考え方について一言。

A:これはカーボンニュートラルに向けての道のりの中で石炭開発、あと化石燃料に由来する電源というものは、なかなか難しい状況になっているということ、それでこれは技術開発も含めて我々は考えていこうと思っていますけれども、なかなか企業への評価であるとか、また事業の採算性であるとか、事業環境ということを考えたときに、それは退出をさせていこうという考え方もあると思います。

そういった中で、いかに安定供給をしていくかという中で、技術開発があることと、あとはそれに代わるもの、スクラップ・アンド・ビルドではないけれども、どういう代替のものがあるのかということも考えていかなくてはならない。それは電源そのものだけではなくて、系統のネットワークも含めてどういった対応が可能なのかということ。また市場も含めてどういう情報をしっかりと出していくことによって市場が安定できるのかということ。また燃料の調達という点も含めて情報の管理というものはしっかりしていかなくてはならないということ。いろいろなものが組み合わさってということだと思っておりますので、検討をする審議会等もありますし、我々も知恵を振り絞って、ここの厳しいところを乗り切っていかなくてはならないと思っています。

なかなか電力が安定供給ができないからということに逃げ込むつもりはありません。2050年のゴールを目指して、何がいい形でベストミックスという形でできるのか、そのために外部からの電源のみではなくて、どういう方策があるのかということも含めてしっかり対応してまいりたいと思っています。

詳しくは今日また事務方からレクをさせますので、お聞きいただきたいと思います。

以上

最終更新日:2021年5月17日


情報提供:JPubb

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