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2020-12-03 00:00:00 更新

―電力中央研究所・スカパーJSAT― 太陽光発電出力の予測手法の創出へ~『ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム』で宇宙と地上から雲を追跡して予測~

―電力中央研究所・スカパーJSAT― 太陽光発電出力の予測手法の創出へ
~『ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム』で宇宙と地上から雲を追跡して予測~

2020年12月03日

一般財団法人 電力中央研究所(本部:東京都千代田区、理事長 松浦 昌則、以下 電中研)とスカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉 英一、以下 スカパーJSAT)は、衛星画像と複合地上センサーによる全天画像、および、AIを用いた『ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム (ハイブリッド予測システム)』の開発を共同で進めることに合意しました。宇宙(衛星)と地上(複合地上センサー)の両面から取得した雲画像から雲の動きを追跡することで、これまでは技術的に実現が難しかった数分先から1時間先までの太陽光発電出力の予測精度向上を図ります。この技術をシステム化し、2022年に短時間予測を強化した太陽光発電出力予測のサービス開始を目指します。

  • <技術開発と適用範囲のイメージ図>

地球温暖化を止めるには人間活動に伴うCO2の排出をネット(正味)ゼロにする必要があります。世界では120以上の国々が2050年にネットゼロ排出を達成することを目標に掲げており、日本でも政府が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しています。脱炭素社会に向けては、再生可能エネルギーの主力電源化が期待されており、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)が開始されてからは、太陽光発電の導入が急速に進み、今後の利用拡大にも注目が集まっています。一方、太陽光発電は天気・雲の変化によりその出力が大きく変動するため、電力の安定供給においてその高精度な予測が重要な課題となっています。
この課題の解決に向け、電中研とスカパーJSATは両者の独自技術である衛星予測と複合地上センサー予測を組み合わせたハイブリッド予測システムの開発に共同で取り組みます。具体的には、電中研が開発している衛星画像による日射予測・解析システム「SoRaFAS(ソラファス)」とスカパーJSATが開発している複合地上センサー、全天画像解析、日射予測「AI SolarMi(そらみ)」による短時間予測システムの技術を組み合せることで、数分先から1時間先までの太陽光発電出力の予測精度向上を目指します。

従来、電中研は再生可能エネルギーの導入・利用に関する様々な研究を行い、電力会社等に技術を提供してまいりました。特に再生可能エネルギー分野における気象予測技術の適用を進めており、太陽光発電出力の予測に向けては、気象庁の静止気象衛星ひまわり8号で取得したデータに基づく日射量予測・解析システムとしてSoRaFASの開発を進めております。本システムは、電力会社の系統エリアを対象とし、現況と最大6時間先までの日射量や太陽光発電出力の予測を日々自動で予測・解析するシステムとなります。※1
今回、電中研が共同開発者としたスカパーJSATは、2017年より雲を解析するAI「KMOMY(くもみ)」を開発しております。その機能の一部はスマートフォンアプリ「くもろぐ」として無料公開しており、撮影した雲の画像をアプリが判別し、世界気象機関(WMO)の定義に基づいて、雲の形(名前)や状態を表示する機能を提供しています。※2 スカパーJSATは、雲判別精度85%以上を有するKMOMYの技術を応用した短時間日射予測AIのSolarMiを開発し、電中研の予測システムと組み合わせることで、高精度な日射予測の実現を目指します。

電中研とスカパーJSATでは、ハイブリッド予測システムの開発にあたり、複合地上センサーの全天カメラ画像と衛星画像、および、雲の種類判別技術を組合せ、画像上の雲と雲の状態(雲の規模、雲底高度、雲頂高度、雲の厚み)を特定し、特定した雲の移動を追跡する技術に関して共同で特許を出願しております。雲の移動を予測できると、日射量の変化を予測することが可能となり、日射量と太陽光発電の設備容量を組み合せることで、太陽光の発電出力を予測できるようになります。

  • <電力中央研究所の赤城試験センターでの日射量の予測イメージ図(開発中)>

■YouTubeで動画もご覧いただけます:https://youtu.be/_X1jWqmOlfw

太陽光発電は天気により発電量が大きく左右されるため、電力の安定供給に必要な需給バランスの調整運用が重要となります。一方で、脱炭素化のためには太陽光発電を有効に活用していくことも必要です。これらに適切に対応していくには、太陽光発電の正確な発電出力予測が求められています。

電中研は、今般共同研究開発する技術を基に、地域・地点を対象とした1時間以内での高精度・高解像度の日射量と太陽光発電出力の予測技術の構築を図り、電力系統や地域の需給の安定化に寄与することを目指します。
スカパーJSATは、今般共同開発する技術を基に、精度の高い太陽光発電出力予測サービスの提供を開始し、さらに国内の電力会社やその他電力関連産業とともに、プラットフォーム化して事業展開することを目指します。さらに、この取り組みを通じ、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の達成を目指してまいります。※3
また両者は、本技術開発を通じて、電力の安定供給に貢献するとともに、太陽光発電の余剰電力を減らし、太陽光発電を有効に活用していくことで、脱炭素化に向けた低炭素電源の導入を目指します。

※1:https://criepi.denken.or.jp/research/news/pdf/den485.pdf
※2:https://www.skyperfectjsat.space/news/files/pdf/news_sjc_jp_20181030_02.pdf
※3:スカパーJSATが本事業において達成を目指すSDGsのゴール

■各組織の概要

一般財団法人 電力中央研究所
本部 :東京都千代田区大手町1-6-1
代表者 :理事長 松浦 昌則
設立 :1951年11月7日
事業内容 :
電気事業の運営に必要な電力技術及び経済に関する研究・調査・試験、及びその総合調整などを行い、それによって技術水準の向上を計り、電気事業における業務の能率化に寄与することを目的とした電気事業の中央研究機関です。電気事業が直面する課題の解決に向けた研究開発を着実に推進するとともに、2050年の日本の目指す姿には「持続可能で社会に受容されるエネルギーシステム」が不可欠であると考え、この実現に向けて研究に取り組んでいます。また、「電気事業の課題解決に寄与する中央研究機関」かつ「客観的な科学技術研究により社会に貢献する学術研究機関」として、電気事業と社会に貢献していきます。

スカパーJSAT株式会社
本社 :東京都港区赤坂1-8-1
代表者 :代表取締役 執行役員社長 米倉英一
設立 :1994年11月10日
事業内容 :
放送と通信融合のトップランナーとして、アジア最大の19機の衛星を保有する、衛星有料多チャンネル放送と衛星通信を提供している国内唯一の事業会社です。加入者数約300万を誇る日本最大の衛星有料多チャンネルプラットフォーム「スカパー」を通じて多種多様なエンタテインメントをお届けし、日本・アジア・オセアニア・ロシア・中東・ハワイ・北米をカバーする衛星通信サービスは、「社会の安心・安全・便利」を支えています。また、宇宙データを活用した世界最先端のテクノロジーを活用したビジネスソリューションを開発し、お客様のより一層のデジタルトランスフォーメーション推進への貢献に向けて事業活動を推進してまいります。

ホームページ :https://www.skyperfectjsat.space/
サービスサイト:https://www.jsat.net/jp/spatio-i.html

以上


情報提供:JPubb

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