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2020年9月28日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭
NEDOは2040年以降の社会実装を視野に、高効率でゼロエミッションを実現する水素発電技術の開発に着手します。このたび産業技術総合研究所ら8機関からなる1件の研究開発テーマを採択し、高い発電効率を持つ1400℃級水素発電システムとクローズドサイクルの共通基盤技術を開発するとともに、社会実装に向けたシナリオを検討します。本事業によってCO2やNOxなどを発生させる従来の発電システムとは一線を画す大規模な水素利用技術の基盤を確立し、水素社会の実現に貢献します。
水素は燃料として利用した場合にCO2を排出しないだけでなく、エネルギーキャリアとして再生可能エネルギーなどを貯蔵・輸送・利用できる特性も備えています。この特性によりこれまで難しかった海外の豊富な再生可能エネルギー資源や未利用エネルギー資源の活用などが可能になることから、エネルギー資源の乏しい日本は水素をエネルギー安全保障と温暖化対策の切り札として位置付けています。
こうした中、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年から「水素利用等先導研究開発事業」を実施し、再生可能エネルギーから高効率・低コストで水素を製造する技術や水素を長距離輸送する技術、再生可能エネルギーの長時間貯蔵を容易にするエネルギーキャリア技術、大規模な水素利用技術の研究開発に取り組んできました。いずれも2040年以降の社会実装という長期的な視点に立ち、水素が「カーボンフリーなエネルギーの新たな選択肢」としての地位を確立することを目指すものです。
今回採択した「水素利用等先導研究開発事業(従来技術を凌駕する超高効率発電共通基盤研究開発)」では、酸素水素燃焼タービン発電の基盤技術開発に着手します。酸素水素燃焼タービン発電は、燃料として水素を、酸化剤として酸素を用いることで、燃焼による生成物を水蒸気のみとすることができ、原理的にCO2、NOx、Soxは発生しません。また、ブレイトンサイクル※1とランキンサイクル※2を組み合わせた、全く新しいクローズドサイクル※3により作動流体※4として用いる水蒸気のエネルギーを徹底的に有効利用することで、従来のガスタービン・コンバインドサイクル発電(GTCC)よりも約10%高い発電効率の実現を見込めます。
本事業では、これまでの研究開発成果や有識者との議論を踏まえ、高い発電効率(約68%)と経済性の確保が見込める1400℃級発電システムを対象として、安定した酸素水素燃焼を可能にする高温高圧燃焼機器を開発するとともに、使用する材料の高温高圧耐性などクローズドサイクルに共通する課題を抽出し、その基盤技術を開発します。これにより、CO2やNOxなどを発生させる従来の発電システムとは一線を画す大規模な水素利用技術の基盤を確立し、水素社会の実現を目指します。
図 酸素水素燃焼タービンと発電効率のイメージ
従来技術を上回るポテンシャルを有する超高効率発電を対象として、以下の研究開発を実施します。
酸素水素燃焼を含むクローズドサイクルシステムに潜在する共通課題を取り上げ、クローズドサイクルに共通するコジェネ利用時の変動対策に関するシミュレーションや高温高圧耐性シール技術、耐高温高圧水蒸気材料、冷却技術などの技術を確立する。
バーナーの形状・構造・材料と燃焼の安定化のための制御などにより、酸素水素高温高圧燃焼機器の実機試験を可能とする試験器製作のための基本設計を完成させる。
本事業で取り組む基盤技術開発によって2040年に本技術をベースとする超高効率発電が社会実装されるための社会ニーズと製品スペックの最適化を検討し、その実現に向けたシナリオを提示する。
NEDO 次世代電池・水素部 担当:原、高岡、小池、後藤 TEL:044-520-5261
NEDO 広報部 担当:坂本、鈴木(美) TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
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