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2020-07-03 00:00:00 更新

経済産業省 梶山大臣記者会見 - 2020年7月3日 - 冒頭発言 ●非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討 ●電力・ガス取引監視等委員会及び広域的運営推進機関の検証 質疑応答 ●非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討

梶山経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2020年7月3日(金曜日)
11時13分~11時29分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。初めに、私から2点申し上げます。

非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討

まず1点目、資源の乏しい我が国において、エネルギー安定供給に万全を期しながら脱炭素社会の実現を目指すために、エネルギー基本計画に明記している非効率な石炭火力のフェードアウトや再エネの主力電源化を目指していく上で、より実効性のある新たな仕組みを導入すべく、今月中に検討を開始し取りまとめるよう、事務方に指示をいたしました。

具体的には、2030年に向けてフェードアウトを確かなものにする新たな規制的措置の導入や、安定供給に必要となる供給力を確保しつつ、非効率石炭の早期退出を誘導するための仕組みの創設、既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再エネ導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直し等の具体策について、地域の実態等も踏まえつつ検討を進めていきたいと考えております。

また、系統の効率的な利用を促すことで、再エネの効率的な導入を促進する観点から検討が進められております発電側課金についても、基幹送電線の利用ルールの見直しとも整合的な仕組みとなるよう見直しを指示をいたしました。

詳細は、事務方から説明をさせたいと考えております。

電力・ガス取引監視等委員会及び広域的運営推進機関の検証

2点目、さきの国会で6月5日に成立しましたエネルギー供給強靱化法に盛り込まれました電力ネットワークの強化や託送料金制度改革などを着実に実施していくために、電力・ガス監視等委員会と電力広域機関の役割は、ますます重要となってまいります。2015年の発足から5年が経過する中で、両組織のこれまでの活動について、中立性や公平性の観点を含め、第三者に検証いただく場を今月目途で立ち上げたいと考えております。この秋を目途に、しっかりと評価、総括を行い、その結果を踏まえて両組織が求められる機能をしっかりと果たせるように必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

私からは以上です。

質疑応答

非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討

Q: 今、冒頭発言でありました脱炭素へ向けた検討を開始するということなんですが、旧式石炭火力のうち100基程度を2030年度までに休廃止するという報道が出ています。もう少し、より具体的な検討状況を教えてください。

A: より具体的というか、数値は私の方で申し上げてはいないと思っているんですけれども、2018年7月に閣議了解をしたエネルギー基本計画、この中で非効率な石炭火力発電所については、フェードアウトを図っていくという表現がございます。これについては、この表現だけで、具体的な手法について何も今までに仕組みがございませんでした。これらも踏まえて仕組みづくりをしていこうということであります。

Q: ありがとうございます。もう一題、お願いいたします。

高効率の新しい方式の石炭火力発電については、廃止とか、そういったものについては触れられておりませんが、ヨーロッパなどでは、石炭火力は方式を問わず駄目という考え方も主流になってきている中で、国際的な理解が現状の姿勢で得られるとお考えなのかどうかというのをお聞かせください。

A: 国際的な評価というのもあるかと思いますけれども、我が国はエネルギーの資源がない国であります。そして、私はこの記者会見の中でもいつもお話をしておりますけれども、ベストミックスをしていくためには、エネルギーミックスをしていくためには、一つ一つの電源について、放棄をできるものではないということもお話をさせていただいております。そういった中で、いかに温暖化ガスの排出を少なくしていくかという中で、今回の取組をさせていただいているということであります。

日本が、エネルギーがない中でベストミックスをしていく、そして再生可能エネルギーも入れていく中で、調整力として火力も有用な電源であると思っております。そういったことも含めて、しっかりとベストミックスをつくっていくということですし、非効率の石炭火力というのは、多くのCO2を排出するということにつながってまいります。

そういったものを、資源のない国なりにしっかりと考えながら高効率化をしていく、そして、再エネも入れたベストミックスをどうしていくかということを考えていくという中で議論を進めてまいりたいと考えております。

Q: 今の関連で教えてください。今の大臣の御発言をお聞きしますと、いわゆるベストミックスで2030年までに石炭火力の比重26%というのをお示ししていますけれども、今回の取組でどのぐらいの比率を目指しているのか。今の話だと、そのままという理解なんですけれども、そこと併せて、石炭は安定供給や経済性に優れた重要なベースロード電源というふうに位置付けておりますけれども、今後その位置付けを変えていくような考えはあるのか、そこについて教えていただけますか。

A: これは現状がそうだということじゃなくて、2030年に目標とすべきエネルギーミックス値ということなんですね。現状では、なかなかこれはエネルギーミックスというのも難しい状況にあると思います。それらを実現するためにどうしたらいいかという中で、様々なエネルギーの可能性も進めているということであります。そして、火力発電は先ほども申しましたように、調整電源や、また災害時の立ち上げのときの電源として非常に重要な電源であるということには、考え方は変わりはありません。

そういった中で、CO2、温暖化ガスを少なくしていくという中で、こういった取組が現状、取組を今から始めていこうということで、こういう議論を始めるわけであります。エネルギーミックスに関しては、今の時点では変わりはございません。

Q: ベースロード電源の位置付けに関しても変わりないと。ベースロード電源という位置付けについても変わりないということですか。

A: ベースロード電源であり、再生可能エネルギーを主力電源化というお話をしていますけれども、これは様々な場でお話をさせていただいておりますけれども、これが唯一無二の主力電源ということではなくて、例えば石炭であるとか原子力であるとか、そういったものと匹敵するようなものまで持っていきたいということでの主力電源化という話をさせていただいております。

そういった中で、資源のない国がいかに安定供給をしていくか、安全に安定供給をしていくかということを考えながら、ベストミックスというものを目指していくということであります。

Q: 関連で、今回の取組ですけれども、大手電力会社だけじゃなくて中小の発電事業者なんかも対象になるのだと思うんですが、その場合、地域の雇用に影響を与えることも考えられると思うんですけれども、その辺についてはどうお考えでしょうか。

A: そこはしっかりと、地域の雇用というものは経済を考えながらということになりますし、地域性というのもありまして、例えば沖縄電力は原子力がない。そして、ネットワークもほかの本土とつながっていないという中でやっているようなところもある。北海道は産炭地だということもあるし、また、ほかのエネルギーとの関連もあるという中で、そういった地域性というものを考えながらやっていくということで、経過措置も考えながらやってまいりたいと思っています。これは具体的な議論はこれからということになります。

そういったことも、まるっきり全然考えずに絶対的にということではなくて、地域性とかそういったものも考えながら、どういう経過措置が必要なのか、どういった誘導策が必要なのか、どういった対応策が必要なのか、規制とか税でどんなものが必要なのかということを、全て、あらゆる条件というものを排除せずに検討していくということであります。

Q: 関連なんですけれども、国際的に石炭削減を求める声も高まっている中での今回非効率のところは見直すということだと思うんですけれども、そこの改めて意義ですとか狙いというところを、改めて。非効率を削減する意義、狙いを教えてください。

A: これは温暖化ガスの排出ということでは、かなり多い形になるんですね。少しでもやっぱり少なくしていくということが必要だと思っております。これはSCクラスということになるんですが、効率的なものはUSC以上のクラスということだと思っておりますけれども、今の時点ではそういうことだと思っておりますけれども、少なくともやっぱりそういったものを、排出量が多いものは少なくしていくということ、併せてやらなくちゃならないこともたくさんあるわけですね。イノベーション、技術開発という中で電池の技術、蓄電池の技術の開発も必要でしょう。そして、CO2を貯留する仕組み、CCSなどでやっておりますけれども、それは適地が少ないということで量も限られている。それだけではなくて、今度はその貯留したものをどう活用して複製物をつくっていくか、セメントとかプラスチックに混入させるという手もある。

様々な技術開発が今されているわけでありますけれども、形にはなってきているけれども、コストがまだ合わない状況という中で、これらも含めて、どういう形で日本のエネルギーを供給していくかということを総合的に考えなければならないと思っています。

Q: 関連で2点なんですが、大臣が旧式の石炭火力、非効率な部分をフェードアウトされていくというふうにおっしゃいまして、なおかつ現状のエネルギーミックスを変えないという形、エネ基で示した部分を変えないということだと、代替としては、どういった形のエネルギーが想定され得るのか。再生可能エネルギー主力化というお話もありましたけれども、それだけでは成し遂げられない部分もあると思うので。

A: これはマイナスだけじゃなくて、例えば今、更新中の高効率の石炭火発もございます。そして、再稼働に向けて、今、安全審査であるとか、その安全審査後の整備をしている原子力発電所もあります。CO2を減らすという中、温暖化ガスを減らすという中では、原子力発電も一つの選択肢だと思っております。

それらも含めて、地球温暖化対応というものをしっかりとやっていかなければならないと思います。あれも駄目、これも駄目という中で、選択肢が限られた中でできるかというと、私はできないと思っている。そして、日本の限られた資源の中で、どういう組合せをしていったらいいのかというのが、ベストミックスだったり、エネルギーミックスと言われるものだと思っておりますので、それをやれるものはしっかりやっていこうということなんですね。

今、例えば償却が終わりに近づいているとか終わったプラントというのは、コストは安くなるわけですけれども、コストは安いけれども、温暖化ガスをそのまま流していっていいかといったときに、総論は、やはり地球環境に、皆さん賛成なんだけれども、各論、価格の点であるとか企業の経営であるとかという中で、いろんな議論がまだ各論では出てくるんですね。地球温暖化を防止するためというのは、皆さん、経済家の方もみんな賛成なんですよ。金融界も含めて、いろんな対応もしているということなんですよ。でも、では各論はどうなのといったときに、いろんな話が出てくる。

もう一回、声も届かないような川の両岸で議論しているよりも、しっかりそういう一つの俎上に置いて議論をしていきましょうということが、私のこれからの、この意義だと思っております。

Q: もう一つ、関連で特に後半でおっしゃったコストの部分とか、フェードアウトしつつも安定供給のためには残さなきゃいけない石炭火力もある中で、そういった部分を維持するとなると、国民の負担というのも想定されると思うんですが。

A: 何を残すと。

Q: 非効率の石炭火力も、いざというときのために維持しなければならないとなると、電力会社も含めた負担、国民の負担というのは想定されると思うんです。その辺りの大臣のお考えはいかがですか。

A: それは最低限の負担にしていくということですよね。やはり国民生活もあるし、産業上、経済上の電力のコストというのは、「産業の米」と言われるように、これはコストにしっかりと乗ってくるわけですから、そこをどうしていくかということと、あとは世界の中で、ある程度のコスト負担は認めた上で温暖化ガス削減に努めていこうというEU的な考え方と、あと、やはり当面しっかりと産業競争力をつけていこうとか、そして、どうしてもやっぱり、考え方が根本的なところで合わないということで、そこから抜けている国もあるわけですけれども、日本は特殊な国ではあります。島国でネットワークが大陸とつながっていない。そして、資源も少ない。そういった中でも、あまり言い訳せずにやれることはやっていきましょうということなんですね。

こういったものを、逆に経産省が現場を知っているわけですから、一つ一つの積み上げで、いかに温暖化ガスを減らせるかということを考えていくべきだと私は思っておりまして、総論で、こういうことをやっていくかやっていかないか、石炭火発全廃か全廃じゃないかというような議論よりも、一つ一つできることをやった上で数値を重ねていこうというのが私の考えであります。

Q: 石炭火力の関係で、輸出支援について要件を厳格化するという一部報道がありましたけれども、現在の政府内の調整状況について御説明ください。

A: これは今議論をしているところで、石炭火力の輸出支援については、次期インフラシステム輸出戦略骨子策定に向けて、関係省庁で議論をしているという段階であります。詰めの段階に来ていると思っておりますので、このお答えは控えさせていただきたいと思います。

大事なことは、我が国の世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献するという視点ということだと思っています。世界には、経済発展に伴うエネルギーの需要拡大に対応するために、経済性や自国内に資源が賦存することなどから、石炭をエネルギー源として選択をせざるを得ない途上国が存在するという現実も踏まえて、関係省庁としっかり議論をしていくということと、国と国との信頼関係等もあります。日本が手を引けばいいということだけで済む話でもないと思っております。

Q: 今、議論の詰めの段階ということだったんですけれども、その国際的な流れからすると、要件を緩和するのはなかなか考えづらいところで、基本的には厳格化していくことで調整されているのか、そこら辺というのはどうなのでしょうか。

A: 現状よりも、はっきりとさせていくということだと思います、厳格化に向けて。ただ、その中でどうしていくかということを、最終の詰めの段階で今やっているということで御理解をいただきたいと思います。

また機会をつくりますので、すみません。

Q: 大臣、小泉環境大臣と今日の発表は合意されているんでしょうか。

A: 合意はしていないが、政府としては合意していますよ。それは官邸も含めて。

Q: 小泉大臣と話し合っていますか。

A: 小泉大臣とは折に触れて話し合ってあります。閣議で席が隣ですので。

参考にさせていただきます。

以 上

最終更新日:2020年7月3日


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