本ページでは、プレスリリースポータルサイト「JPubb」が提供する情報を掲載しています。
―バージ型として国内初、低コストの発電システム技術の確立を目指す―
2019年5月21日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭
NEDOは、北九州市沖約15キロメートル、水深約50メートルの海域に設置した日本初のバージ型浮体式洋上風力発電システムの実証運転を本日開始しました。
実証運転は、2021年度まで実施し、実証機システムから得られる発電量・波圧・係留力などの各種計測値と設計値を比較して設計の妥当性を評価し、また、遠隔操作型の無人潜水機を使用した浮体や係留システムの効率的な維持管理技術、故障を予測し未然に防ぐ技術などを取り入れたメンテナンスに取り組み、安全性・信頼性・経済性を明らかにすることで、低コストの浮体式洋上風力発電システム技術の確立を目指します。
図1 バージ型浮体式洋上風力発電システム
実証機「ひびき」
図2 実証機設置海域(福岡県北九州市沖)
出典:地理院タイルよりNEDO作成
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では2014年度から、水深50メートルから100メートルで適用可能な低コストの次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)※1を開始し、実証海域の選定や浮体の設計・製造に取り組んできました。2018年6月には、バージ型と呼ばれる浮体※2を製作し、同年8月に、このバージ型浮体にコンパクトな2枚羽風車を搭載し、日本初のバージ型浮体式洋上風力発電システム実証機の組み立てを完了しました。
その後、北九州市沖約15キロメートル、水深約50メートルの設置海域まで曳航し、係留、電力ケーブルの接続、試運転調整などを実施し、本日、日本初のバージ型浮体式洋上風力発電システムの実証運転を開始しました。
なお本日、バージ型浮体式洋上風力発電システムの実証運転開始にあわせて、福岡県北九州市において運転開始式を行いました。
また、次世代浮体式洋上風力発電システム(バージ型)「ひびき」建造の記録の動画をYoutubeのNEDOチャンネルで紹介しています。
図3 全体工程概要
実証機システムから得られる発電量・波圧・係留力などの各種計測値と設計値を比較して設計の妥当性を評価し、また、遠隔操作型の無人潜水機を使用した浮体や係留システムの効率的な維持管理技術、故障を予測し未然に防ぐ技術などを取り入れたメンテナンスに取り組み、安全性・信頼性・経済性を明らかにすることで、低コストの浮体式洋上風力発電システム技術の確立を目指します。
(実施体制:丸紅株式会社、日立造船株式会社、株式会社グローカル、エコ・パワー株式会社、国立大学法人東京大学、九電みらいエナジー株式会社)
本システムは、鋼製のバージ型浮体構造物にコンパクトな2枚翼アップウィンド型3メガワット風車を搭載しており、スタッドレスチェーン※4と超高把駐力アンカー※5の組み合わせによる計9本の係留システムで係留し、厳しい気象・海象条件においてもシステムの安全性が確保されるよう設計を行っています。
本実証機の開発において、丸紅(株)がコスト分析、関係機関との調整、日立造船(株)が浮体設計、製作、設置工事、(株)グローカルが風車選定および係留システムの開発、エコ・パワー(株)が環境影響評価、東京大学が本システムの性能評価およびコミュニケーション活動※6、九電みらいエナジー(株)が系統連系協議および電力品質評価についてそれぞれ担当しています。
図4 バージ型浮体式洋上風力発電システム実証機の構成
定格出力 | 3メガワット |
風車形式 | アップウィンド、2枚翼 |
ロータ径 | 100メートル |
ハブ高さ | 72メートル |
風車重量 | 約133トン(ロータ・ナセル) |
浮体特徴 | バージ型浮体構造物 |
浮体材質 | 鋼製 |
浮体形状 | 形状 長さ51メートル×幅51メートル×高さ10メートル (スカート幅6メートルを含む) 喫水 約7.5メートル 重量 3,100トン(風車、バラスト含まず) |
係留システム | スタッドレスチェーン+超高把駐力アンカー 9本 |
総重量 | 9,858トン(風車、係留、バラスト含む) |
NEDO 新エネルギー部 担当:日置、佐藤、岡田 E-mail:floating-wind@nedo.go.jp
NEDO 広報部 担当:坂本、藤本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
情報提供:JPubb