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2018-11-14 00:00:00 更新

電池不要のIoT機器が実現。超低消費電力SOTB™プロセス技術を採用

電池不要のIoT機器が実現。超低消費電力SOTB™プロセス技術を採用

~従来の技術では不可能だった超低電流で動作する画期的なエナジーハーベスト専用組み込みコントローラを開発~

2018年11月14日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

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ルネサスのSOTB採用エナジーハーベスト専用組み込みコントローラ

ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)はこのたび、IoT機器の電池の使用や交換が完全に不要になるエナジーハーベスト(環境発電)専用の組み込みコントローラを開発し、ベータ顧客向けに提供を開始したことを発表します。ルネサス独自の画期的なSOTB™(Silicon On Thin Buried Oxide)プロセス技術を採用することにより、従来のマイコンでは実現不可能であった、低アクティブ電流と低スタンバイ電流の両立を実現しました。このSOTB技術を採用した新コントローラは、極めて低電流で動作するため、電源を供給するための電池を全く使用しないで、光や振動、流量などの微量の環境発電を使用したエネジーハーベストなIoT機器を開発することが可能です。これにより、スマートウォッチ、ウエアラブル機器、フィットネスウェアや靴など、民生からヘルスケア、工場や住宅、農業、公共インフラ分野など幅広い応用分野に、電池のメンテナンスが不要という新たな市場を創出します。

サンプルは2019年7月から一般ユーザに順次提供を開始し、2019年10月より量産を開始する予定です。ルネサスは本新製品を使用した、エナジーハーベストのデモンストレーションを2018年11月13日からドイツのミュンヘンで開催されているelectronica 2018に出展しています。electronica 2018では、エナジーハーベストを用いた新たなエンドポイントインテリジェントという新市場をユーザが体感できるデモンストレーションを展示しています。

ルネサスの執行役員常務兼インダストリアルソリューション事業本部長の横田善和は次のように述べています。「今回ルネサスは、SOTBプロセス技術を採用し、今までにない低電力デバイスの開発に成功しました。この技術革新により、エナジーハーベストシステムを構築するときの問題点を解決するソリューションをお客様に提供できることを嬉しく思います。電池が不要で、電池交換の必要が無いエナジーハーベストシステムはスマート社会に必須の技術であり、ルネサスはその実現と拡大に貢献してまいります。現在ルネサスは、組み込み機器にAIを活用するe-AIを推進しており、この新技術SOTBにより、組み込み機器の応用領域を拡大することでますますエンドポイントのインテリジェンス化を加速してまいります。」

SOTBプロセス技術をルネサスとして初めて採用した組み込みコントローラ「R7F0E」は、CPUには32ビットArm® Cortex®を使用しています。最大動作周波数は64MHzのため、センサデータ等をエンドポイントで高速に処理したり、複雑な解析や制御機能を実現することが可能です。アクティブ電流は20µA/MHz、ディープスタンバイ電流は150nAと、従来の低電力マイコンの約10分の1の消費電力です。

また、「R7F0E」は、エナジーハーベスト機器を、効率的に、コスト効率も良く開発できるよう、独自に設定できるエナジーハーベストコントローラ(EHC)を内蔵しています。そのため、外付け部品を削減可能となり、シンプルなシステム構成により堅牢性も高まります。太陽光や振動、圧電素子などのさまざまな種類の発電素子に、電圧安定化回路なしで直接接続できるため、エナジーハーベストシステムで問題となる起動時の突入電流に起因する誤動作を防ぎ、さらに堅牢なシステム設計が可能です。加えて、EHCは、コンデンサや二次電池のような外付けの蓄電デバイスを管理する機能も備えています。

一方、「R7F0E」が極めて低電力であるという特長を活かして、エナジーハーベスト以外にも、究極的に低消費電力な機器を設計したいというエンジニアのニーズにも応えるため、例えば(1)外部変化を見逃さないために14ビットA/Dコンバータを起動していても、3µAという極めて小さい電流での動作が可能、(2)わずか1 nA/KBの消費電流で256 KBのSRAMデータを保持可能、(3)画像データを保持するのに実質的に電力が不要なMIP(メモリインピクセル)(注1)LCDに接続可能で、グラフィックデータを回転・拡大・反転できる低電力回路を内蔵しているため表示機能が必要な機器にも対応可能、などの特長があります。

組み込み用コントローラ「R7F0E」の主な特長

  • CPU:Arm® Cortex® -M0+
  • 動作周波数:32 MHz、最大64 MHz(ブーストモード)
  • メモリ:最大1.5MBのフラッシュメモリ、256KBのSRAM
  • 消費電力(3.0V動作時):
    • アクティブ電流:20µA/MHz、
    • ディープスタンバイ電流:150nA(リアルタイムクロック発振器、リセットマネージャ動作時)
    • ソフトウェアスタンバイ電流:400nA(コアロジックと32KBのSRAMのデータ保持、リアルタイムクロック発信器とリセットマネージャ動作時)
  • エナジーハーベストコントローラ回路により、発電素子を直接接続可能、蓄電デバイスの管理が可能
  • A/Dコンバータ: 14ビット、32KHz動作、消費電流3µA
  • MIPディスプレイに接続可能で、グラフィックデータを回転・拡大・反転できる低電力回路を内蔵
  • 真性乱数生成器(T-RNG)、各R7F0E固有のID、AES暗号など充実したセキュリ機能

ルネサスは今後、本製品を核に、発電素子や応用アプリケーション別にエナジーハーベスト向けソリューションの拡充を図り、今後 各アプリケーションに合わせた仕様を盛り込んで 製品展開を図る予定です。そしてさらなる高度な性能や機能を、電源の確保や電池の交換を意識することなく実現できる世界を目指して、環境に配慮したスマート社会を実現します。

本製品およびSOTBプロセス技術については、https://www.renesas.com/jp/ja/solutions/key-technology/sotb.htmlをご覧ください。

以 上

SOTBプロセス技術について

SOTBは、従来トレードオフの関係にあった、アクティブ時の消費電力とスタンバイ時の消費電力を、どちらも極限まで減らすことができる、ルネサス独自のプロセス技術です。ウエハ基板上の薄いシリコン層の下に極めて薄い絶縁層(BOX: Buried Oxide)を形成しました。シリコン層に不純物を混入しないことにより低電圧で安定した動作を可能にしており、電力効率良く演算性能を発揮できます。一方、スタンバイ時はBOX層下のシリコン基板電位を制御(バックバイアス制御)することにより、リーク電流を削減し、待機電力を抑えることができます。

(注1)MIP(メモリインピクセル)液晶とは、待ち受け画像を表示し続けるために電力を必要とせず、特に省電力が求められるアプリケーション向けの表示デバイス。

*Arm、CortexはArm Limitedの登録商標または商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

*本製品は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られた成果の一部を活用しています。

*SOTBは、ルネサスエレクトロニクス株式会社の米国およびその他の国における登録商標です。

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