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2018-10-19 00:00:00 更新

再生可能エネルギー由来の水素を用いたアンモニア合成と発電に世界で初めて成功

2018 年 10 月 19 日


再生可能エネルギー由来の水素を用いたアンモニア合成と発電に
世界で初めて成功
水素エネルギーキャリア実現に前進


日揮株式会社


日揮株式会社および国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、「産業技術総合研究所」)で構成されるグループ(以下、当社グループ)は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議※1の戦略的イノベーション創造プログラム※2(SIP)「エネルギーキャリア」(管理法人:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST))のもと、共同で研究を進めていた再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成、および合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に世界で初めて成功しましたのでお知らせいたします。




<研究開発の概要>


当社グループは、水素のエネルギーキャリア※3としてのアンモニアの優位性に基づき、SIP「エネルギーキャリア」研究の中で、2014 年から『新規アンモニア合成触媒および再生可能エネルギーによる水の電気分解で得られた水素を原料としたアンモニア合成プロセス』の研究開発を進めてまいりました。


本年 5 月には産業技術総合研究所、沼津工業高等専門学校、および当社子会社である日揮触媒化成(株)と共同で、触媒に使用する担体や触媒の製造方法を改良することにより、低温・低圧下で効率的にアンモニアを合成できる新たなルテニウム触媒※4の開発に成功し、当社グループは福島県郡山市の産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所の敷地内に建設した本触媒および一時的な水素供給用に設置した高純度水素ガスボンベを用いてアンモニアを合成する実証試験装置により、実証試験(アンモニアの生産能力日量 20kg)を開始いたしました。


本実証試験を通じて、新たに開発した触媒が低温・低圧で高い活性を有することを確認するとともに、再生可能エネルギーの使用時に課題となる急な運転条件の変更によるアンモニア製造量の変動に対応できることが検証できたことを受け、このたび当社グループは実証試験時に使用した高純度水素ガスボンベの代わりに、同所の敷地内に設置されている太陽光発電設備で発電した電力による水の電気分解を通じて製造した水素を用いてアンモニアの合成試験を行い、合成したアンモニアを燃料にガスタービンによる発電試験(発電量 47kW)を実施いたしました。


なお、水素製造の本試験では産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所、アンモニアガスタービン発電の本試験では SIP エネルギーキャリア「アンモニア直接燃焼」チームのご協力をいただいております。 当社グループによる再生可能エネルギーを活用した水素ならびにアンモニアの製造とこれを燃料とした発電は世界で初めてであり、製造から発電に至るまで CO2を排出しないアンモニア(CO2フリー)を活用したエネルギーチェーンの確立に前進いたしました。


今後も当社グループは、引き続きアンモニアの合成試験を実施し、再生可能エネルギーを活用したアンモニアの製造コスト低減に向けて研究開発を行うとともに、SIP「エネルギーキャリア」研究が 2030 年を目途に推進する「日本が革新的で低炭素な水素エネルギー社会を実現し、水素関連産業で市場をリードする」ビジョンの達成を通じて、エネルギーの多様化と低炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。


<アンモニア合成実証試験装置写真>


(写真手前の赤いボンベは、再生可能エネルギーから製造した水素を貯蔵した高純度水素ボンベ)


※1 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議: 内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした「重要政策に関する会議」の一つ。


※2 戦略的イノベーション創造プログラム Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program の略。総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮し、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設されたプログラム。


※3 エネルギーキャリア 気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体にしたり水素化合物にして効率的に貯蔵・運搬する方法。


※4 ルテニウム触媒 「ハーバー・ボッシュ法」で使用されていた鉄系触媒では約 400~500℃かつ 14~30MPa と、高温・高圧下での反応が求められていたが、今回新たに開発したルテニウム触媒は、約 400℃かつ 5MPa の低温・低圧下でのアンモニアの合成が可能となった。今回開発した触媒は、希土類酸化物を担体に用いることが特徴であり、すでに工業化されている炭素系担体を用いたルテニウム触媒にくらべて安定性に優れている。


【参考】


<研究開発の枠組み>


現在、地球環境の保全および持続可能な社会の構築を目指し、エネルギーの多様化と低炭素社会の実現が世界的な課題となっており、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素エネルギーに対する期待が高まっています。内閣府は 2014 年度から「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、2030 年までに日本が革新的で低炭素な水素エネルギー社会を実現し、水素関連産業で世界市場をリードすることを目指した「エネルギーキャリア※3」の研究を開始しています。


<アンモニアのエネルギーキャリアとしての優位性>


水素エネルギーを本格的に活用していくためには、安全性やコストをはじめ、輸送・貯蔵の効率性等が課題であり、水素をアンモニアや液化水素、有機ハイドライド等のエネルギーキャリアに転換する必要があります。なかでも成分中に水素を多く含むアンモニアは、液化が容易で、アンモニアのまま直接燃焼させることが可能であり、また燃焼時に CO2を排出しない特徴を持つだけでなく、肥料原料などにも広く利用されており、既にサプライチェーンが確立されていることから、水素のエネルギーキャリアとして優位性があります。


<アンモニア製造法の課題>


現在、アンモニアの合成は、天然ガスを原料に、水蒸気と空気を用いて改質して得られる水素と窒素を高温・高圧の触媒反応でアンモニアに転換する「ハーバー・ボッシュ法」によって行われていますが、この方法では天然ガスを改質して水素を製造する過程で大量の CO2を排出するため、水素エネルギーキャリアとしてのアンモニアの課題となっています。


水素の製造過程における CO2排出量の削減方法として、再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を製造する方法の開発が期待されています。しかし、この方法で製造された水素は低圧であり、高温・高圧下でアンモニアを合成する「ハーバー・ボッシュ法」で使用するには、高圧化に伴うエネルギーが必要であることから、エネルギー効率が低下します。


<参考資料>


資料1:開発概要図
資料2:アンモニア合成プロセス
資料3:今回実証した CO2 フリーアンモニアを活用したエネルギーチェーン


以上


【お問合わせ先】


<本件について>
日揮(株)広報・IR 部
山上・藤原
TEL 045-682-8026
E-mail:yamagami.akihiro@jgc.com
fujiwara.haruki @jgc.com


<SIP の事業について>
内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付エネルギー・環境グループ
〒100-8914 東京都千代田区永田町 1-6-1 中央合同庁舎第 8 号館 6 階
TEL:03-6257-1337
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/


公式ページ(続き・詳細)はこちらhttp://www.jgc.com/jp/ViewPdf/view/2064

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