プレスリリース

powered by JPubb

本ページでは、プレスリリースポータルサイト「JPubb」が提供する情報を掲載しています。

2018-09-20 15:00:02 更新

高浜発電所3号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果に対する原因と対策について)

2018年9月20日
関西電力株式会社

高浜発電所3号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果に対する原因と対策について)

高浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、2018年8月3日から第23回定期検査を実施しており、蒸気発生器(SG)の健全性を確認する観点から、3台あるSGの伝熱管全数※1について応力腐食割れ※2等を検出するために、定期検査ごとに行っている渦流探傷検査(ECT)※3を実施した結果、C-SGの伝熱管1本の高温側管板※4部で、内面(1次側)からの有意な信号指示が認められました。有意な信号指示が認められた原因は、過去の調査結果等から、SG製造時に高温側の管板部で伝熱管を拡管する際、伝熱管内面で局所的に引張り残留応力が発生し、これが運転時の内圧と相まって、伝熱管内面から応力腐食割れが発生・進展したものと推定され、対策として、当該伝熱管の高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととしました。
また、A,B-SGの伝熱管については、有意な信号指示は認められなかったものの、A-SGの伝熱管1本で外面(2次側)からの微小な減肉と見られる信号指示(判定基準未満)が認められました。このため当該箇所を小型カメラで点検したところ、伝熱管と管支持板の間に異物を確認しました。
なお、本件による環境への放射能の影響はありません。

  • ※1:過去に同様の有意な信号指示が認められ、施栓した管等を除きA-SGで3,273本、B-SGで3,248本、C-SGで3,263本、合計9,784本。
  • ※2:環境、応力、材料の3要因によって発生する割れ
  • ※3:高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物のきず等により生じた渦電流の変化を電気信号として取り出すことできず等を検出する検査。伝熱管の内面(1次側)より、伝熱管の内面(1次側)と外面(2次側)の両方を検査している。
  • ※4:蒸気発生器の伝熱管が取り付けられている部品。伝熱管と管板で、1次冷却材と給水(2次冷却水)の圧力障壁となる。

[2018年9月12日お知らせ済み]

1.原因調査
(1)小型カメラで確認した異物に関する調査

A-SGの伝熱管外面の微小な減肉の原因を調査するため、伝熱管と管支持板の間で確認した異物(長さ約13mm、幅約5mm、厚さ1mm未満)を専用工具でつかんだところ、容易に砕けたことから、当該異物は脆い性状であることが確認されました。
当該異物の一部を回収し、メーカー工場において、外観観察、金属組織観察、化学成分分析等を実施した結果、主成分はマグネタイト(酸化鉄の一種)であり、比較のために回収したSG内のスラッジ※5の分析結果と同様であったことから、当該異物はスラッジであることを確認しました。
スラッジは、内部に多数の空洞を有し脆いため、衝突等で伝熱管に減肉を生じさせることは考えられないことから、当該異物は、伝熱管の外面減肉の要因ではないものと推定しました。

  • ※5:2次系配管に含まれる鉄の微粒子が、給水系統によって蒸気発生器(SG)内に流れ集まって生成されるもの
(2)伝熱管の外面減肉の要因に関する調査

小型カメラで確認した異物(以下、スラッジという)を回収した後、減肉信号が確認された伝熱管の外観点検を行った結果、伝熱管外面に微小な摩耗痕(長さ約4.5mm、幅約2.5mm)が確認されました。
当該伝熱管について再度ECTを実施した結果、スラッジ回収前と同じ減肉信号を確認したことから、摩耗痕と減肉信号の位置は一致していたことを確認しました。
また、摩耗痕の位置は、伝熱管と管支持板穴(以下、BEC穴という)が接触する部位ではないことから、伝熱管とBEC穴が接触しない空間に何らかの異物が接触し、伝熱管外面を減肉させた可能性があると推定しました。

  1. a.外面減肉の要因となった異物

    • ・異物は、伝熱管の材質であるインコネル600を減肉させる強度を有することから、ステンレス鋼などの金属片であると推定しました。
  2. b.SG内外における異物の調査

    • ・外面減肉の要因となった異物は、運転中は上向きの水の流れにより伝熱管とBEC穴の間に留まり、停止後は当該部の下部に落下したものと推定されることから、SG内について、減肉信号が確認された第3管支持板から管板までを小型カメラで確認した結果、スラッジ以外の異物は確認されませんでした。
    • ・SGの水は、定期検査開始後にタンクに回収された後、排出されることから、排水系統内の点検を行った結果、異物は確認されませんでした。
(3)外面減肉の要因となった異物の混入に関する調査
  1. a.混入の可能性のある時期

    • ・減肉が認められたA-SGの伝熱管について、過去のECT結果を調査した結果、前々回(第21回)定期検査時では減肉信号等は確認されませんでしたが、前回(第22回)定期検査時において外面にスラッジ等の付着を示す信号指示が確認されました。
    • ・今回(第23回)の定期検査時では、外面からの減肉を示す信号指示が確認されていることから、スラッジが前々回(第21回)の定期検査以降に当該伝熱管に付着し、その後、前回(第22回)の定期検査以降に外面減肉の要因となった異物がSG内に流入し、当該部に入り込んだ可能性が高いと考えられます。
  2. b.混入の経路

    • ・SGへ外面減肉の要因となった異物が混入する経路を検討した結果、主給水系統のうち主給水ブースタポンプ※6入口のストレーナ※7からSGまでの範囲およびSGへの水張りを行うSG水張り系統が想定されました。
    • ・系統内部の機器の部品が損傷すること等により異物となる可能性は低いことから、系統外部からの異物混入の可能性を調査した結果、弁やストレーナの分解点検の際に作業員の衣服等に異物が付着していた場合、それが配管内に混入する可能性があることを確認しました。また、その弁等が配管の立ち上がり部に取り付けられている場合、作業前後の異物確認時に目視による確認が困難である範囲があることを確認しました。
    • ※6:主給水ポンプ入口圧力確保のために設置している昇圧用のポンプ
    • ※7:系統水内の固形成分を取り除くための器具
(4)その他の調査結果

B、C-SGについて、A-SGと同様に内部(2次側)を小型カメラ等で確認しましたが、スラッジ以外の異物は確認されませんでした。

2.推定原因

A-SGの伝熱管の外面減肉が認められた原因は、伝熱管と管支持板の間に異物が入り込み、運転中に繰り返し伝熱管に接触したことで摩耗減肉が発生したと推定しました。
また、外面減肉の要因となった異物は、前回(第22回)の定期検査中における弁やストレーナの分解点検時に混入したものと推定しました。

3.対 策

当該伝熱管について、高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします。
また、弁やストレーナの分解点検時に使用する機材や内部に立ち入る作業員の衣服等に異物の付着がないことを確認することについて、作業手順書に追記して、異物混入防止の更なる徹底を図ることとしました。
なお、今回の定期検査において、主給水系統のうち主給水ブースタポンプ入口のストレーナからSGまでの範囲で、弁等の分解点検を実施した箇所について内部点検を行い、目視確認が困難である範囲については、ファイバースコープにより異物がないことを確認しました。

以 上


再生可能エネルギー等に関するプレスリリース
電力会社・ガス会社等によるプレスリリース

情報提供:JPubb

プレスリリース一覧に戻る