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2018-01-19 00:00:00 更新

環境影響評価準備書に対する知事意見を述べました(四日市足見川メガソーラー事業)

平成30年01月19日

環境影響評価準備書に対する知事意見を述べました(四日市足見川メガソーラー事業)

事業者である四日市足見川メガソーラー合同会社から送付のあった四日市足見川メガソーラー事業に係る環境影響評価準備書について、知事が環境保全の見地から意見を述べるにあたり三重県環境影響評価委員会へ諮問していました。同評価委員会からは、平成30年1月17日に審議結果の答申がありましたので、平成30年1月18日付けで、下記のとおり環境影響評価準備書に対して知事意見を述べました。
なお、知事意見等については、平成30年1月29日から平成30年3月14日まで、環境生活部、三重県立図書館、情報公開・個人情報保護総合窓口及び四日市地域防災総合事務所において閲覧に供します。

(事業概要)
・事業者 四日市足見川メガソーラー合同会社
代表社員 株式会社ジーヴァエナジー
・事業実施位置 四日市市山田町、波木町及び小林町地内
・面積 95.00ha(うち70.62haを改変)
・事業計画 土地を造成し、太陽光発電事業(約50MW)を行う。

※環境影響評価準備書について
環境アセスメントにおいて、調査・予測・評価した結果について意見を聴くための準備としてまとめた書類です。

以下、知事意見を掲載します。

(総括的事項)
1 環境アセスメントは、開発事業の内容を決定するにあたり、当該事業が環境に及ぼす影響について、あらかじめ事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して、住民や関係行政機関から意見を聴き、それらを踏まえて環境保全の観点から事業計画を作り上げていくことを目的とした制度であり、事業実施の可否を判断する制度ではない。
しかしながら、本事業についての三重県環境影響評価委員会の審議過程においては、事業自体を実施すべきではない、安易に本事業の実施を認めることは今後の環境アセスメントに禍根を残す等、複数の委員から極めて強い反対意見の表明があった。
この事実を踏まえ、本事業の実施にあたっては、以下に述べる各項目を参照のうえ、事業内容を十分に精査し、最大限の環境保全措置を講じること。

2 太陽光発電は、地球温暖化対策を推進するための再生可能エネルギーとして位置付けられているところであるが、本事業については、地域住民等から、環境面や災害面において、事業実施を不安視する意見や反対する意見が数多く寄せられている。また、事業者からの説明が十分に行われていないとの意見も数多く寄せられている。このことから、資源エネルギー庁の「事業計画策定ガイドライン」や、「三重県太陽光発電施設の適正導入に係るガイドライン」に基づき、地域住民等と十分なコミュニケーションを図る等、不安の払拭及び不満の解消に努めること。

3 当該事業実施区域及びその周辺は、数多くの生物が確認されており、特に絶滅危惧種のサシバが事業実施区域内及び区域付近で繁殖していることに象徴されるように、生物多様性に富んだ、四日市市に残された貴重な里山環境である。当該事業の実施により、事業実施区域だけでなく、その周辺の広範囲に生息している様々な生物に大きな影響を与えることになる。
特に東エリアではサシバ、ヒメタイコウチ、ホトケドジョウ等の絶滅危惧種が生息しており、いかなる代償措置を講じてもこれらの消失または個体数の大幅な減少といった生物への大きな打撃が避けられないことから、東エリア全体を改変せずに残すべきであること。
また、西エリアにおいても、高効率のパネルを設置することで改変面積を極力小さくすること等により、可能な限り森林を残すこと。

4 事業の実施にあたっては、ソーラーパネルが生物等に与える影響やその対策等、環境保全対策に関する最新の知見を考慮するとともに、最善の利用可能技術を導入する等、より一層の環境影響の低減に努めること。

5 評価書の作成までに、詳細な工事内容及び施設概要が明らかとなり、予測、評価及び環境保全措置に変更を生じる場合は、それら工事内容等を反映した評価書を作成すること。

(個別的事項)
1 水質
(1)施設の供用時に実施する除草等の際に除草剤等の薬品を使用する計画に変更するときは、あらかじめ住民等に周知し、同意を得るよう努めるとともに、水質に関する予測、評価及び必要な手続きを適切に行うこと。
(2)足見川及びその下流河川では洪水等の発生が懸念されている。このため、事業の実施によって、大規模出水時に洪水等の発生リスクが更に増大しないよう、調整池の容量を十分確保するとともに、調整池の堆砂状況を定期的に確認し、必要に応じてしゅんせつを行う等、適切に管理すること。
なお、調整池のしゅんせつ等の維持管理方法を評価書に明確に記載すること。

2 地形、地質
(1)事業実施区域には地すべり地形が確認されているにもかかわらず、谷埋め盛土を含む大規模な土工が行われ、盛土の一部に調整池が設置される計画であり、地盤及び盛土の安定性について十分な検討がなされていない。このため、地盤及び盛土の安定性について、地すべり地形の形成メカニズムを明らかにしたうえで予測及び評価を行い、その結果を根拠とともに評価書に記載すること。
なお、予測及び評価の結果、地盤及び盛土の安定性が確保されていないと判断された場合には、事業計画を見直すこと。
(2)人家や人家立地見込み地周辺に対して、土砂災害の発生による影響を及ぼさないよう、法面の形成を避けること。

3 陸生動物
森林伐採により陸生動物の生息地が減少し、獣害による周辺地域の生活環境や農作物等への影響が懸念されることから、住民意見を真摯に受け止め、被害の防止策を講じること。

4 陸生動物、陸生植物、水生生物、生態系
(1)事業実施区域内にはホトケドジョウやヒメタイコウチ等の絶滅危惧種が多数存在している。これらの生物は森林と平地の境界に生じる湧水的環境に生息する性質があるため、森林伐採が大規模に行われれば、移植予定地や周囲に森林を小規模に残す等の代償措置を講じたとしても、湧水は止まってしまう可能性が極めて高い。そのため主要な生息地である東エリアでは伐採を行わず、非改変区域をこれらの生息地を含むように大きく設けて保全するべきであること。
(2)ホトケドジョウやヒメタイコウチ等の絶滅危惧種について、保全措置としての移植の不確実性は大きいので最大限回避するべきであるが、どうしても必要な場合には影響を受ける全数を移植の対象とするとともに移植先の環境収容力に十分配慮して行うこと。
(3)盛土、切土に伴って、地下水の流れが変化することが考えられるため、当該事業実施区域及びその周辺の湿地環境や湧水環境に極力影響を与えないよう、必要な措置を行うこと。

5 生態系
(1)「サシバの保護の進め方」(環境省)では、営巣木から概ね500m以内である「高利用域」の減少を極力回避することとされているように、大規模な森林伐採は避けるべきである。特にサシバ(波木ペア)は消失する可能性が極めて高く、近年のサシバ個体数の著しい減少も踏まえると、東エリアでは森林伐採を行うべきではなく、東エリア全体の残置の可能性を追求すること。
(2)サシバ(波木ペア)への影響に対して、残置森林の拡大によりサシバの採餌環境を創出する措置は、「サシバの保護の進め方」(環境省)に記載されている代償措置には相当しないため、現状では準備書に見られる「『サシバの保護の進め方』を参考として」といった記述を評価書に記すことは不適当である。
なお、代償措置としては、近隣地域における同規模の山林の恒久的な保全等が相当するため、適切な保全措置を検討すること。
(3)サシバ(波木ペア)の行動圏が、「サシバの保護の進め方」(環境省)で目安とされている範囲よりも過大に設定されており、その結果、餌資源量の減少について過小に評価されているおそれがあるため、予測及び評価を見直すこと。
(4)典型性の注目種として、現存量の多いコナラ群落について調査、予測及び評価すること。
(5)生態系の評価は、注目種を通してその生息・生育環境や餌資源等に及ぶ影響等、複合的な観点から評価及び保全措置の検討を行うこと。
(6)非改変区域の場所の選定や形状の決定にあたっては在来の多様な生物相を保全するように配慮し、またモウソウチク等の侵入種を排除するよう努めること。

6 景観
事業の実施にあたっては、緑化を実施し、ソーラーパネルの素材や配置を検討することにより、自然と調和した景観となるよう努めること。
特に、山田町からは事業実施区域全体が眺望でき、パネルが視認できることから、地域住民への説明や森林の確保等の環境保全対策の充実により、不安の解消に努めること。

7 その他(気温)
(1)森林を伐採し、ソーラーパネルを設置することから、気温の上昇が懸念されるため、事業実施区域及びその周辺において、気温の事後調査を実施するとともに、気温の上昇が認められた場合は、現地の状況に応じた対策を十分検討すること。
なお、気温の測定結果を評価書及び事後調査報告書に掲載する際は、その測定条件を詳細に記載すること。
(2)緑地帯による気温低下について参考とした既存の太陽光発電施設は、当該事業実施区域よりも狭いこと、また、その測定結果の一部は気温が完全には低下していない結果であること等から、当該事業の緑地帯については、十分な量と幅員を確保するよう、検討すること。


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