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2017-11-17 00:00:00 更新

相反転プロペラ式潮流発電技術を開発

相反転プロペラ式潮流発電技術を開発

―実海域での曳航試験で発電性能と安全性を検証―

2017年11月17日

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社協和コンサルタンツ
アイム電機工業株式会社
前田建設工業株式会社
国立大学法人九州工業大学
学校法人早稲田大学

NEDOと、(株)協和コンサルタンツ、アイム電機工業(株)、前田建設工業(株)、九州工業大学、早稲田大学は、次世代海洋エネルギー発電の要素技術開発として、相反転プロペラ式潮流発電技術を開発しました。

本技術開発では、発電装置のコンセプト開発や水槽試験を経て、10月17日から20日までの間、長崎湾沖において、実用化時の想定実機(プロペラ直径7mで、流速4m/sの場合、定格出力500kW)の1/7スケールモデルを用いた曳航試験を実施しました。曳航試験では発電性能と安全性を検証し、設計した発電効率を上回る43.1%の発電効率を確認しました。

この発電技術は、互いに逆方向に回転する2段のプロペラを用いて発電する相反転方式を採用していることが特徴であり、従来の1段のプロペラの方式よりも高い発電効率が期待でき、同じ発電量に対して装置を小型化することが可能です。

  • 図1 1/7のスケールモデル外観

  • 図2 曳航試験の様子

1.概要

太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及が進められる中、日本の周辺にある膨大な海洋エネルギー資源(海流、潮流、波力、海洋温度差)を活用した発電技術の開発が期待されています。その中で、潮の満ち引きによる水平方向の流れを利用する潮流発電は、一定の流速ではありませんが、変化が周期的であるため発電出力を事前に予測することができます。また、陸地に比較的近い場所に設置できるといった利点があります。

NEDOでは、新たな再生可能エネルギーである海洋エネルギー発電の開発を2011年度から開始し、相反転プロペラ式潮流発電技術の開発は、2013年度から取り組んでいます。本事業では、事業全体の調整を株式会社協和コンサルタンツが担当し、発電機の設計をアイム電機工業株式会社、施工方法の検討を前田建設工業株式会社、相反転に係る基本的な技術開発を国立大学法人九州工業大学と学校法人早稲田大学が担当する体制で開発を進めています。

今般、NEDOと、(株)協和コンサルタンツ、アイム電機工業(株)、前田建設工業(株)、九州工業大学、早稲田大学は、相反転する2段のプロペラを有する新しい潮流発電装置のコンセプト開発などの要素技術を開発し、実用化時に想定される実機(プロペラ直径7mで、流速4m/sの場合、定格出力500kW)の1/7スケールモデルを用いた水槽試験で発電出力や装置の動的安定性を確認しました。これらの成果を踏まえ、10月17日から20日までの間、長崎湾沖において、同モデルを用いた曳航試験を実施し、発電装置の発電性能や安全性を実海域の環境下で検証するとともに、実用化に向けた課題の抽出を行いました。その中で、発電効率においては設計した発電効率を上回る43.1%の発電効率を確認できました。

2.相反転プロペラ式潮流発電の特徴

相反転プロペラ式潮流発電は、2段のプロペラで磁石とコイルを相反方向に回転させる「相反転方式」を採用しています。従来のプロペラ式発電では、1段のプロペラで内軸磁石を回転させ、外側コイルは固定されていましたが、相反転方式では、潮流を受けた前後2段のプロペラが外側コイルと内軸磁石を逆方向に回転させます。これによって、磁界を切る相対速度が増加するため、高い発電効率が期待でき、同じ発電量の装置に対し、小型化が可能です。また、起電圧が高くなるため、送電ロスや電力制御機器の容量が軽減できます。さらに、発電機に発生する回転トルクが逆回転により相殺されるため、外部への反作用がなくなることで支持構造を簡素化することができ、設置費用の削減が期待できます。

  • 図3 相反転方式の特徴

3.実海域での曳航試験の内容

2017年10月17日から20日に、長崎県伊王島から沖に約2kmの地点で、実用化時に想定される実機の1/7スケールモデルを用いて、曳航試験を実施しました。この地点において、発電装置を台船の船尾から深さ3.5mの位置に設置し、タグボートで曳航することによって実海域の環境下での潮流を模擬しました。その結果、前後2段プロペラの回転の安定性と、再委託先であるイーグル工業株式会社が開発したメカニカルシールによる高い防水性能を確認し、実海域での装置の安全性を確認できました。また、発電出力については、流速2m/sにおいて定格発電出力が1.38kWであるところ、試験時の流速1.3m/sの条件で、379Wの出力を確認しました。この発電出力は発電効率43.1%に相当し、設計した発電効率42%を上回るものであり、想定するプロペラ直径7mの実機の場合、流速4m/sで、543.6kWの出力が期待できる値です。今回の曳航試験で得られた種々のデータをもとに、数値シミュレーション技術を使って、流向も含めて周期的に変化する実環境下での運転を模擬し、発電コストの試算を行う予定です。

  • 図4 潮流発電装置1/7スケールモデルの概要(発電機内の磁石とコイルの配置)

  • 図5 曳航試験の実施場所

  • 図6 曳航試験方法の概要

  • (潮流発電ユニットの全体外観)

  • (潮流発電ユニットの海水突入前)

  • (潮流発電ユニットの海水突入後)

図7 曳航試験の写真

【用語解説】

※ 相反転プロペラ式潮流発電技術の開発
「海洋エネルギー技術研究開発/次世代海洋エネルギー発電技術研究開発(相反転プロペラ式潮流発電)」(2013年度~2017年度)。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:濱本、田村 TEL:044-520-5273

(株)協和コンサルタンツ 新規事業推進室 担当:左村 TEL:03-3376-3170

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、藤本、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp


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