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2017-04-22 00:00:00 更新

世界的企業10社とともに非化石価値取引市場」の導入に関して3項目を提案 ― 企業での自然エネルギー活用を促進するために ―

公益財団法人自然エネルギー財団


2017 年 4 月 22 日アースデーの日に
公益財団法人 自然エネルギー財団


世界的企業 10 社とともに
「非化石価値取引市場」の導入に関して3項目を提案
―企業での自然エネルギー活用を促進するために―


公益財団法人自然エネルギー財団は、世界的企業 10 社の賛同を得て、日本国内における自然エネルギーの利用拡大に向け、2017 年度内に創設が予定されている「非化石価値取引市場」の有効性を高める 3 項目の提案「【提案】企業での自然エネルギー活用を促進するために」をとりまとめました。


自然エネルギー財団は、企業が自然エネルギーを活用していくために必要な課題について、さまざまな機会を通し、企業、関係省庁との対話と提案を進めて行きます。


添付資料:【提案】企業での自然エネルギー活用を促進するために


「非化石価値取引市場」の導入に関する 3 項目の提案
1.電力消費者が自然エネルギー電力の利用を宣言できるようにすること。
2.非化石電源の中で、自然エネルギー電力と原子力発電を区分すること。
3.自然エネルギーの中でも、太陽光、風力、小規模水力、バイオマスなどの区分が明らかになるようにすること。


【提案賛同企業(アルファベット順)】
Apple
富士通株式会社
イビデン株式会社
イケア・ジャパン株式会社
Microsoft Corporation
パタゴニア日本支社
株式会社リコー
清水建設株式会社
ソフトバンクグループ株式会社
ソニー株式会社


【本件に関するお問合せ先】
公益財団法人 自然エネルギー財団 広報 担当:辻本・坂上
TEL: 03-6866-1020 FAX: 03-6866-1021 Email: press_rei@renewable-ei.org


自然エネルギー財団は、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故を受けて、孫正義(ソフトバンクグループ代表)を設立者・会長として2011 年 8 月に設立されました。安心・安全で豊かな社会の実現には自然エネルギーの普及が不可欠であるという信念から、自然エネルギーを基盤とした社会を構築することを目的として活動しています。


企業での自然エネルギー活用を促進するために


日本にも営業拠点を置く世界の多くのトップ企業が、自社で使う電力を 100%自然エネルギーで調達することを誓約しています。この100%自然エネルギー利用への自主的な転換は、気候変動対策への取 り組みと、将来に向けた持続可能なビジネスを促進しようとする意欲に基づくものです。 世界の電力消費量の約半分は民間企業が占めており、その需要動向は地球規模でエネルギー市場に影響を及ぼしています。


他方、日本企業の中では、100%自然エネルギーへ転換していく動きはあまり進んでいません。その大きな理由は、日本では自然エネルギーの調達と投資のコストがまだ高いことにあります。また、自然エネルギーの環境価値を明確化する仕組みが未整備であることも原因です。


パリ協定の発効をうけ、脱炭素社会への取 り組みが企業の評価にも影響を与えるようになっています。自然エネルギーの活用を進めることは、日本におけるこれからの企業のビジネス戦略にとって不可欠の要素です。


政府は2017 年度から、「非化石価値取引市場」の導入を予定しています。この制度は、適切な設計がなされれば、企業が費用効率的に自然エネルギーの活用を進めるために大切な役割を果たしうるものです。この観点から、制度の設計に関し、以下 の3点を提案します。


1.電力消費者が自然エネルギー電力の利用を宣言できるようにすること。
2.非化石電源の中で、自然エネルギー電力と原子力発電を区分すること。
3.自然エネルギーの中でも、太陽光、風力、小規模水力、バイオマスなどの区分が明らかになるようにすること。


また、日本の企業が100%自然エネルギー目標を掲げ、その実現をめざしていけるようにするためには、「非化石価値取引市場」の活用に留まらず、世界各地で企業が費用効率的に自然エネルギーを導入するために利用している多様なオプションを、日本でも使えるようにしていく必要があります。


さらに、自然エネルギーの活用を進めるための最も本質的な課題として、電力系統への接続制限や土地利用などでの規制を見直し、太陽光発電や風力発電などへの企業の投資が促進される環境の整備を進めることが必要です


日本において企業が自然エネルギーを活用していくために必要な、これらの課題について、自然エネルギー財団は、さまざまな機会を通して提案と対話を進めて行きます。


2017 年 4 月 22 日アースデーの日に
公益財団法人 自然エネルギー財団


【提案賛同企業(アルファベット順)】
Apple
富士通株式会社
イビデン株式会社
イケア・ジャパン株式会社
Microsoft Corporation
パタゴニア日本支社
株式会社リコー
清水建設株式会社
ソフトバンクグループ株式会社
ソニー株式会社


【説明】


企業が100%自然エネルギー利用を実現するためには、さまざまなアプローチがあります。その一つである"RE100"には、Apple、IKEA、Microsoft、Google、スターバックス、ネッスル、コカ・コーラ、GM など約 90 社が参加し、各社ごとに様々な時点までに世界的な100%の達成を誓約しています。そして、すでに Apple が 2016 年に 96%を達成するなど、実現に向けた取り組みが進んでいます。


この取り組みには、これまで日本企業が1社も参加していませんでしたが*1、これは、日本の企業が、自然エネルギー導入に関心が薄いためではありません。


企業の取り組みを難しくしているもっとも本質的な要因は、日本の自然エネルギー電力コストが、世界標準に比べ高いことです。すでに世界の多くの国や地域では、風力発電や太陽光発電は従来からの火力発電と同等か、より安価になっており、価格競争力の高い電源になっています。


もう一つの要因は、日本では自然エネルギー電力の発電から利用まで の流れを明確にするトラッキングシステムが未整備であるため、欧米で企業の自然エネルギー電力の利用を促進してきた「グリーン電力」などの仕組みが、日本では十分に活用されてこなかったことです。自然エネルギーの環境価値を証書化して売り買いする「グリーン電力証書」システムは日本にも存在します。しかし、日本の「グリーン電力証書」の価格は、他の国々のものと比べ高く、その活用は企業の自主性に依存する仕組みであったため、また、固定価格買取制度によって導入された自然エネルギー電源は対象外となるため、大きな拡がりが見込めない状況で す。


日本でも十分な供給量の自然エネルギー電力が、安定的にかつ安価に得られるならば、積極的に活用したいと思っている企業は少なくありません。世界の多くの地域では、100%自然エネルギーをコストニュートラルで調達できる様々な選択肢や、投資対効果がプラスとなる新しい自然エネルギー発電所への投資の機会が存在しています。また、「グリーン電力証書」の購入など自主的なクレジット市場への参入が、費用 対効果のある形で可能となっています。


日本の企業の100%自然エネルギーの取り組みを進めるためには、自然エネルギー電力のコスト自体を安価にしていくこと、また企業が自然エネルギーに投資し活用していることを明確にできる制度の整備が必要です。


2017 年度に国が「非化石価値取引市場」を創設する直接の目的は、エネルギー供給高度化法に基づく小売電気事業者に対する非化石電源比率の調達義務(2030 年度までに44%以上)の達成を促進することであり、自然エネルギーの普及ではありません。現時点では、自然エネルギー(再生可能エネルギー)由来の非化石証書を購入した小売電気事業者が、どのような形で自然エネルギー電力を販売していると表示できるのか、その電力を調達した電力消費者が自然エネルギーの利用を宣言できるのか、明確になっていません。また非化石価値の中で原子力発電と自然エネルギー電力が区別されるのか*2、自然エネルギーの中で太陽光、風力などの区分がなされるのか、などの点も不明確です。


こうした状況を踏まえ、今回の提案は「非化石価値取引市場」が自然エネルギー電力の環境価値を明確化し、企業での利用を促進する上で有効なものと なるよう行うものです。


*1 株式会社リコーが 2017 年 4 月 21 日に参加を発表
*2 2017 年度の制度開始時点では、固定価格買取制度で認証された自然エネルギー電力のみが対象となり、原子力発電から の電力は含まれません。費用負担調整機関の販売する証書は全量、「再エネ由来証書」になるとされていますが、他の売り手(発電事業者)が原子力と自然エネルギーを区別するかどうかは、売り手が選択 することになっています。

情報提供:JPubb

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