本ページでは、プレスリリースポータルサイト「JPubb」が提供する情報を掲載しています。
80%を超える“超高効率発電”に向けて | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東京ガス株式会社
九州大学次世代燃料電池産学連携研究センター(NEXT-FC)/大学院工学研究院の佐々木一成主幹教授、松崎良雄客員教授、立川雄也特任助教らの研究グループは、東京ガス株式会社基盤技術部との共同研究で、高効率発電を特長とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)(※1)の発電効率をさらに飛躍的に向上させる革新技術の理論設計に成功しました。
燃料電池は燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが可能であり、次世代の高効率エネルギー変換技術として注目されています。燃料電池の中でも特に発電効率が高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)はセラミック材料で構成され高温下で動作することから多様な燃料を電気エネルギーに変換することが可能です。
SOFCの発電効率をさらに飛躍的に高効率化するアプローチとして、本研究グループは2つ以上のセルスタックを燃料の上流から下流へ燃料の流れに沿って多段に配置した構成において、まず、発電効率を多種の可変構成パラメータ(※5)の代数関数として定式化する手法を開発しました。次に、得られた手法を適用し、SOFCの2つのセルスタック(セルの内部抵抗=0.383 Ωcm2、温度=1000K)を燃料の上流と下流にそれぞれ配置した2段構成において、発電効率が最大化するように構成パラメータを最適化しました。この際、スタックの耐久性を損なわないように、各スタックの燃料利用率の最大値を制約条件として規定しました。 今後はこの“超高効率発電”実現のキーとなる高いプロトン輸率を有するプロトン導電性酸化物の開発とそれを電解質材料に用いた多段酸化SOFCの研究開発に取り組んでいきます。
このような超高効率で行われる化石燃料から電力へのエネルギー変換は、CO2の排出削減に大きく貢献し、環境性の高いスマートエネルギー社会の実現に向けた基幹発電技術として期待されます。また、“超高効率発電”では、発電時に発生する排熱が少ないため、熱の利用を必ずしも前提とする必要性がなく、市場適用性の極めて高い分散発電技術になると考えられます。
"Effect of proton-conduction in electrolyte on electric efficiency of multi-stage solid oxide fuel cells", Yoshio Matsuzaki, Yuya Tachikawa, Takaaki Somekawa, Toru hatae, Hiroshige Matsumoto, Shunsuke Taniguchi, Kazunari Sasaki, Scientific Reports 5, 12640; doi: 10.1038/srep12640 (2015).
本研究は、文部科学省 革新的イノベーション創出プログラム:COI STREAM(Center of Innovation Science and Technology based Radical Innovation and Entrepreneurship Program)の助成を受けて行われました。グリーンアジア国際戦略総合特区「スマート燃料電池社会実証」事業における研究開発基盤整備に対しても感謝します。 【用語解説】
|
情報提供:JPubb